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東海林直人のゴロテマ日本史◇古代7(民部省~道鏡)*

※ 語呂合わせでテーマ史を記憶するので「ゴロテマ」です。

日本史試験では、暗記が大きなウェイトを占めています。事件・事項・人物・年代を覚えるのが第一歩。一問一答だけで、高校受験には足りるでしょう。しかし大学受験ともなれば、その知識の質を突いてきます。語句を流れの中において論述できるくらいになっていなければなりません。ここまできて漸く合格点をとれる準備が整ったことになります。

でもいざ本番になると、「江戸時代の~〇〇年から〇〇年の△△について述べよ」などで徳川将軍の順番に混乱が起きるでしょう。また「昭和〇〇年から〇〇年の……を述べよ」では歴代首相の就任順の記憶があやしくなることがあります。この些細なことが受験生の頭を悩ませます。「どういう順番だったかなあ!」 長文の問題文を読みすすめながら、頭が混乱してきます。まるで霧の中を歩いているようになることがあります。制限時間はどんどん経過します。これを曖昧にしたまま不安のなかで進めると論旨まで危うくなってきます。こういうパニックに陥りたくないですね。

じゃあもっと勉強しとくんだった? しかし「英語」も「数学」も時間がかかるのです。社会科にこれ以上の時間をかけられない、というジレンマに陥るでしょう。こういうとき確実な知識、たとえば「ゴロ」句で覚えていれば、事項の異同、順番などは迷わずoutputできます。

ゴロテマをやれば、問われたテーマに沿った語句・事項が自然に浮かんできます。そして、自分なりの考えで味付けをすればなんとか書けます。合格点にはギリギリとどくでしょう。日頃からゴロ句をたて糸に歴史を見る練習をするのです。自分なりの考えや感想を練習しておくとよいと思います。

※ S←A←B←C←Dは重要順ランクです※ 「note」は下線を引けないので太字を代用します(以下同じ)


◇古代61.民部省の覚え方(省名から職掌が分からない左弁官4省)◇B

[ゴロ]民のブーブー戸籍
民部省)(戸籍・租

[句意]戸籍と租税は結局、中央政府に農民情報が把握されて重税の元になるのでブーブーと不満を言う、という句。

[point]
1.民部省は戸籍と租税(租庸調)などをあつかう。
[解説]
1.民部省は、諸国の戸籍租税および田畑・山川・道路などの民生を掌(つかさど)る官司。所管する役所に税つまり調・庸・雑徭をあつかう主計寮、租をあつかう主税寮があった。
2.「卿(かみ)一人。掌(つかさど)らむこと。諸国戸口の名籍・賦役……諸国の田の事。」(『令義解』職員令)とある。

2013学習院大・文:「
 律令制による支配組織ができあがった8世紀には、布帛が人々から調や庸として徴収され、中央に集められて官吏の俸禄や雇用者の給与、さらには官庁での物資購入の財源などに使われた。調として全国から都に集められる布は、戸籍・計帳を管轄する ③〔イ式部省 ロ治部省 ハ民部省 ニ大蔵省 ホ宮内省)の下で主計寮が納入状況を監査していた。布は麻の織物であり、東日本では貨幣的な役割を果たすものとしても広く流通していた。いっぼう、絹や絁と呼ばれた生糸の織物は、より高級な織物として、役人や貴族たちの用途のために生産されていた。さらに、この時代には衣服の内側に入れる綿も使われていたが、これは真綿であり、大宰府の管轄する ④〔イ畿内 ロ西海道 ハ山陰道 ニ山陽道 ホ南海道〕が産地として著名であった。」_________________________________________
(答:③ハ、④ロ)〉

2012早稲田大・文化構想:「下線gその領有は公と私のはざまにあってしばしば社会的な問題となったについて。戸籍や田畑を管轄した中央の役所は何と呼ばれるか。解答欄に漢字で記入しなさい。」_________________________________________
(答:民部省)〉

2012学習院大・法:「
下線部10戸籍に登録に関して、この時代の八省のうち戸籍の管理を担当したのはどの省か。省の名称を答えなさい。」
_________________________________________
(答:民部省)〉

二官八省

◇古代62.主な令外官8職 の覚え方◇C

[ゴロ]中三感性に/けばい苦労の/陰ないだ
納言(ちゅうなごん)・議・白(かんぱく)・夷大将軍(せいいたいしょうぐん))(検非違使(けびいし)・蔵人頭(くろうどのとう))(勘解由使(かげゆし)・内大臣)

[句意](ふつう)中三の感性にはけばい、つまり派手で目立った苦労の陰は認められない、という句。
[point]
1.主な令外官には、中納言・参議・関白・征夷大将軍・検非違使・蔵人頭・勘解由使・内大臣がある。
[解説]
1.内大臣は左右大臣に次ぐ要職で、初の藤原鎌足以来後続なく、光仁天皇の時復活された。
2.勘解由使は、新任国司が旧国司に出す解由状(げゆじょう)の 審査を行う役職。
3.蔵人は、嵯峨天皇薬子の変に際し、藤原冬嗣巨勢野足(こせののたり)を蔵人頭(くろうどのとう)に任じたのが始まり。
4.検非違使は、京都で犯罪の取り締まりにあたる。

2018早稲田大・文化構想2/12:「
問8.下線e王朝の制度のうち、京内の警察にあたる令外官があらたに置かれている。それは何というか。漢字4字で記入しなさい。」
_________________________________________
(答:問8検非違使)〉

2018明治大・商2/16:「
 日本の律令は唐律からの継受法とはいえ、実用上は、日本の実情に合わせ修正をしていることが特徴である。それは、科挙の制も宦官の制も受け入れなかったことにみてとれる。むしろ、日本国では氏姓制度が強く残り、父祖の位階によって一定の位階を与えられる制度である[ 3 ]の制や、令外官が設置され日本独自の律令制に変容していった。なかでも典型的な制度は令外官である。これは、養老律令制定後から平安時代にかけて新設された、令には規定されていない官職のことである。令外官の中には後に重職となったものもあるが、c【①外記 ②蔵人頭 ③参議 ④中納言 ⑤内大臣】はそこには含まれない。」
_________________________________________
(答:3-蔭位、c①)〉

2016早稲田大・法:「
 嵯峨天皇は蔵人頭や[ C ]などの令外官を設けるとともに、弘仁格式を編纂するなどの法整備も進めた。
問7 空欄Cには、嵯峨天皇が設置した令外官の役職が入る。設置当初、この役職は京内の治安維持にあたったが、のちには訴訟や裁判も行うようになり、都の警察・裁判権を司る要職となった。この役職の名前を、漢字4字で記述しなさい。」
_________________________________________
(答:問7検非違使)〉

2016早稲田大・社会科学:「
 吾身の栄花を極るのみならず、一門共に繁昌して、(2)嫡子重盛、内大臣の左大将、次男宗盛、中納言の右大将、三男知盛、三位中将、嫡孫維盛、四位少将、惣じて一門の公卿十六人、殿上人三十余人、諸国の受領、衛府、諸司、都合六十余人なり。世には又人なくぞみえられける。
問2 下線部(2)に関する説明として、不適切なものはどれか。2つ選べ。
  イ 内大臣は令外官である。
  ロ 中納言は令外官である。
  ハ 左大将、右大将、中将、少将は衛門府の官職である。
  ニ 平重盛は保元・平治の乱で活躍した。
  ホ 平維盛は、壇ノ浦で平家の大将として戦った。」
_________________________________________
(答:問2ハ×※いずれも左・右近衛府の長官、次官、さらに下位の次官で衛門府の官職ではない。ホ×※平維盛は一ノ谷の戦(1184)前後に陣中を離脱し行方不明。壇ノ浦の戦の総大将は平宗盛)〉

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