会社で働くとはどういうことか?

 大学を卒業後、ほとんどの方は企業に就職されると思います。私も大学を卒業後、誰もが名前を知っている大手企業に就職しました。なぜ大手を選んだかというと、単にネームバリューや給料、安定性が良いと思ったからです。これがしたいと思って入社したわけではありませんでした。
 ただこれが大失敗だったのです。ですから大手なら安泰だと思うのは大間違いだということをお伝えしたいと思います。

 私が入社したのは、大手電力会社でした。私は当時化学系だったので化学枠で応募しました。化学枠では主に原子力発電所と火力発電所の2つのうちどちらかの配属となります。案の定私は、望んでなかった原子力発電所への配属が決定してしまいました。ただ私は当時、原子力発電所へ配属になったとしても後々火力発電所に移動させてもらえるものと都合のいいように楽観的に考えていました。
 しかし、よくよく考えてみるとそれは全く無理であるということに気づくべきでした。まず、発電する仕組みが全く違います。なのでそれぞれに専門的な知識が必要になるため、会社は膨大な時間をかけて社員を教育します。また現場の機器がどこにあるのかをパトロールを通じて覚えていきます。所内は非常に広いため、何かあった時すぐに駆けつけるためには、どこに何があるのかを知っていることがものすごく重要なのです。そのため簡単に移動などできるはずがないのです。ましてや原子力に来たがる社員はいないためトレードオフすることもできません。
 結果私は何度も上司にかけあいましたが火力発電所への移動は敵わず、原子力関係の子会社に移動されただけで結局3年で退職してしまいました。その後手に職をつけたいと薬学部に編入しました。
 この失敗は、私自身が会社というものを全く理解できてなかったことが原因だと思います。まず会社は従業員の願いを叶えるために存在するのではありません。会社は代表者、すなわち社長の願いを叶えるためにあるものなのです。社員はあくまで社長の願いを叶えるためのお手伝いにすぎません。従業員は願いを叶えるために社長がやりたくないめんどくさい業務や難しい専門的な業務を肩代わりしているだけなのです。なので当然従業員が配属先に文句があったとしても会社はそれ聞く必要はないのです。
 つまり会社員として働く上では、業務上、自分のやりたいことが無い人が最もサラリーマンとしての適正を持つ人といえます。一方で自分のしたい仕事がある人は会社員として働くことは非常に辛いことなのです。実際に会社に入ってみると思っていた仕事をできる人はほとんどいないのが現状だと言えるでしょう。たとえ面白いことをやっている会社だとしてもそこは人気の部署となっているでしょうから、なかなか配属は叶わないでしょう。
 このようにやりたいことを明確に持つことは自分自身を苦しめることになります。なぜなら会社は社長がやりたくないめんどくさい仕事を従業員にやらせるからです。重要な仕事や面白い仕事は全て役員の方が取っていくと思った方が良いでしょう。社員の方は毎日好きでも無いうえにめんどくさいつまらない仕事をしないといけないので、多くの方は嫌々会社に行くことになるのです。お金のためならなんでもしますという姿勢を持つことがサラリーマンの本来あるべき姿勢なのです。

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