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ゴールドシップの引退式を見に行った話

上の記事で書いたように僕はゴールドシップで競馬にハマりました。

しばらくはステイゴールド産駒の応援を主にして競馬を見ており、G1や重賞で産駒が勝つたびに喜んだりしてました。

いつかゴールドシップを実際に見たいと思い最初は宝塚記念を見に行こうとしていました。
ですが当時の僕は競馬行くためだけに大阪まで行くのに抵抗があって、結局行かなかった。
今では日帰りで阪神競馬場行くんですがね。

まあこの年の宝塚って120億事件なので行かなくてよかったです。

秋ぐらいになってゴールドシップが今年で引退とのニュースを見た。
僕は秋こそは絶対競馬場でゴールドシップを生で見に行こうと心に決め、まずはジャパンカップを観戦。初めてゴールドシップを生で見て感動した。
あと無事にゲートを出て安心した。

ラストラン

有馬記念で引退し、当日に引退式が行われると発表された。これは行くしかない。

そして当日、初めての中山競馬場。
始発で電車に乗り船橋法典へ。

朝8時前です
まだ1R目くらい

すでに人多いんですがそれは・・・。

当時は若く、当日朝の開門時に走れば観戦場所確保できると思ってました。
府中ならともかく中山は席少ないし、そもそも有馬記念デーは徹夜レベルで並ばないとダメみたいですね。

しょうがないので8Rくらいまでパドック行ったり馬券買いに行ったりウロウロしてました。
ついでに途中で大学のサークルの友達であるSと合流した。

9Rくらいから人の数が尋常じゃなくなってきたことに気づく。
「もしかしてこのまま馬券買いにスタンド戻ったら観戦できる場所無くなるんじゃね・・・?」
そう思った僕はSに
「ここからはこの場所にどっちがかいるようにしよう。このままだと有馬記念の時見れなくなる」
と提案し、Sもそのほうが良いと了承。

ここからが地獄の始まりだった。

12月の中山競馬場
日中の気温は大体7度くらいになる。
更にこの日は風も強かった。

僕は死にそうになりながら立っていた。
寒すぎて手の感覚があったりなかったりしていた。交代でスタンドに避難してた時に温かいものをとにかく買って暖を取っていた。
しかしここで帰るわけにもいかない。
何のためにここにいるのか。
「俺はゴールドシップの最後の走りを見に来たんだろ?」そうやって自分を奮い立たせ耐えた。

本馬場入場

有馬記念の本馬場入場が始まった。
ゴールドシップは久しぶりに鞍上に内田博幸騎手。3年前に見た有馬記念のコンビだ。
サブちゃんの馬で菊花賞を勝ったキタサンブラックもいる。
今年のダービー馬ワンアンドオンリーもいた。
オーシャンブルーには裕紀人が乗っている。

もうすぐ有馬記念が始まると思うと興奮して寒さが多少マシになったような気がした。

今年最後のG1ファンファーレが中山競馬場に響いた。僕はもうすでに興奮と期待でワクワクしていた。

1週目の直線、ゴールドシップは定位置のような最後方。
すっかり真っ白になった馬体が目の前を過ぎていく。僕は馬券を握りながらそれを目に焼き付けていた。

向こう正面でゴールドシップが動いた。
内田博幸騎手がグイグイ押して最後方から捲っていく。まるであの日見た有馬記念のように。

3・4コーナーで3番手まで上がってさあ直線!
先頭を・・・捉え・・・られなかった。
ゴールドシップは先頭を走るキタサンブラックの前に出ることはできなかった。
対照的に横を走っていたゴールドアクターはキタサンブラックを飲み込むような差し脚だ。
更に後ろからサウンズオブアースが追い込んできた。

あぁ・・・これが今のゴールドシップなのか。
これが引退ってことか・・・。
そう思わずにはいられなかった。

「ゴールドアクターゴールイン!」
その数秒後、ゴールドシップがゴール板を通過した。

僕はきっとどこかでゴールドシップはまだまだ走れる。まだG1を勝てる力はあると思っていた。
でもそれは僕の空想であり、願望でしかなかった。
有馬記念が終わったとき、やっと僕はゴールドシップが引退することに納得してしまったのだ。


引退式

引退式が始まった。
ゴールドシップがやってきた。
僕はその瞬間から涙が止まらなかった。

ゴールドシップがあの日、有馬記念で勝たなかったら。
いやそれ以前にゴールドシップがいなかったら、僕は競馬にここまで深くハマることはなかっただろう。
僕の人生を大きく変えてくれた偉大なる名馬ゴールドシップ。
彼の競走馬としての最後の姿を見届けることができたことができて良かった。


そして今はゴールドシップの産駒に出資し一口馬主になっている。
一頭はOP馬になってくれた。その話はまたいずれ。


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