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第11回交流会レポート

■ 日時 :2024年8月17日(土)20:00~21:20
■ 参加者:13名


1.獣医の池田先生のヤギの健康管理講座⑦ 
   「胃について」


ヤギには4つ胃があります

第一胃が最も大きな胃。
 ザーネンだと20リットルくらいあります。デカイ!!!
第2胃は反芻を促すポンプの役割
第3胃は水やミネラルを吸収
第4胃は人間の胃と同じ機能。ここで栄養を吸収。
 胃酸があり,粘膜で保護されています。
右と左でお腹の形が違うので病気ですかという質問がありますが,病気ではありません。
第一胃が身体の左側にあり,草を食べると左側のお腹から膨れていくからです。

ヤギを後ろからみて,お腹を輪切りにしてみると,身体の大部分が胃。
大動脈や横隔膜などのすぐ近くまで胃が占めていることが分かります。

ヤギの胃の中は細菌や原生動物,真菌などの微生物がいっぱい住んでいます。
胃の中で草などのセルロースをこれらの微生物が発酵させ,酢酸やプロビオン酸などのVFAという成分に変えていきます。
これが胃壁から吸収されて,ヤギのエネルギー源になります。
また発酵によって生じたCO2やメタンなどのガスはげっぷで外に排出されます。

第1胃は弱酸性から中性でPhが6~7程度。
VFAは酸性。
唾液はアルカリ性。
たくさん餌を食べてVFAが大量に生成されて,胃の中が酸性に傾いても,反芻でアルカリ性の唾液と混じることによって,酸度が調整されます。
つまり,唾液は緩衝剤の役割を果たしています。
そのような意味でも反芻って重要ですね。


消化しやすい炭水化物やタンパク質が多く繊維質が少ないたべものが胃に大量に入ると,発酵が急激に進み大量のCO2やメタンが発生。
これが横隔膜を圧迫して呼吸困難になったり,動脈を圧迫しショック死することもあります。

 特に粒子の細かい食べ物が泡を発生しやすので注意が必要です。
コメヌカ,おから,くず米,ペレット状のものをあげるときは,十分に唾液が出てきてから上げることや,様子を見ながら一握りづつあげるなど工夫が必要。タンニンは柿や栗,枇杷の葉などに含まれています。
いろんな植物をまんべんなく食べることが予防にもなります。

2.交流会

Q.バナナ好きなんだけど,あげてもよい?

A.個体によって大丈夫な量が違います。少しづつあげるようにしましょう。

Q. 身近にあるものをヤギがなんでも食べてしまうのですが,どうしたらよいでしょうか?

ビニルテープの切れ端やゴムやシールなど,なんでも食べてしまい,健康に影響がでないか心配です。
A.消化しないので,小さくなってはいくけど胃の中に溜まっていきます。実際に解剖すると胃の中から様々な人工物が出てくるヤギもいます。
ヤギがこのような物を食べて慌てる飼い主を見て,気を引こうとしている可能性も考えられます。
対策としては,ヤギの暮らす環境と人間の暮らす環境を分けることが考えられます。ヤギの暮らす環境には口に入れて困るものを置かないことで防ぐことができます。

3.お知らせ

今年の全国山羊サミット
11月16日 17日 沖縄の宮古島で開催予定
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