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ボーイングさん,B777の後継争いにも負けてしまう。

こんにちは。今回は、航空業界で話題になっているボーイングの次期大型旅客機「777X」について、その開発状況や日本企業の関与、そしてライバルであるエアバスの「A350」との競争についてお話ししたいと思います。

ボーイングは常にライバルである,エアバスを意識して,開発が進められてきており,B737MAXの連続墜落事故はそのライバルへの焦りが部下の焦りにつながり,問題を解決することができない状態です。

B737MAXの印象が最悪なのもあって,A320neo-Familyに関しては,コロナの中でも売れに売れ,とくにB757の後継として導入が進んでいる航続距離延長型,A320-LRなどの機種に関しての売り上げが非常に好調です。(下の動画を参照してください)

ボーイングは、1995年から運航を開始した300席以上の大型旅客機「777」の後継機として、「777X」を開発しています。この機体は、新型の主翼や最新鋭エンジンの採用などで燃費性能の大幅な改善を目指しており、2020年から機体の引き渡しが始まる予定でした。

かし、開発にはさまざまな困難が伴っています。まず、エンジンの製造元であるGE社が、エンジンの信頼性に問題があるとして、納入を遅らせることを発表しました。これにより、初飛行が2019年1月から同年12月に延期されました。次に、2019年9月には、地上試験中に主翼の先端部分が破損するという事故が発生しました。この事故では、人的被害はありませんでしたが、主翼の設計や製造に問題がないか再検証する必要が生じました。さらに、2020年1月には、米国連邦航空局(FAA)が、「777X」の認証プロセスを厳格化すると発表しました。これは、2019年3月に起きたボーイング737MAX型機の2度の墜落事故を受けて、ボーイングの安全性管理に対する信頼が失われたことによるものです。これらの要因により、「777X」の引き渡しは2023年以降にずれ込む見通しとなりました。また、新型コロナウイルスの感染拡大によって航空需要が急減したこともあり、「777X」への注文数は現在350機程度にとどまっています。

一方、エアバスは、「777」のライバル機として「A350」を開発しています。この機体は、「777X」と同じく新型主翼や最新鋭エンジンを採用しており、燃費性能や快適性に優れています。また、「A350」は2015年から運航を開始しており、「777X」よりも先行して市場に参入しています。

A350は、2006年に開発が発表されたエアバス社の最新鋭機で、2015年に初就航しました。A350は、主に2種類のモデルがあります。A350-900は、約300席から350席を収容できる標準型で、B777-200ERやB787-10と競合します。A350-1000は、約350席から400席を収容できる長胴型で、B777-300ERやB777Xと競合します。

A350は、以下のような特徴を持っています。- 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を多用した軽量な機体- 大径で高効率なロールス・ロイス製トレントXWBエンジン- 翼端にウィングレットを備えた長く細い翼- フライ・バイ・ワイヤやサイドスティックなどの先進的なコックピット- 広く快適な客室やキャビンクルー用休憩室など「A350」は、「777X」と比較しても遜色ない性能を持ちながらも、価格や納期面で優位に立っています。

そのため、「A350」への注文数は現在900機以上に達しており、JALやカタール航空やユナイテッド航空、シンガポール航空などが、A350をB777の後継機として導入するなど、B777Xの遅れで中型機のB787のライバルだったはずのA350が大型機のB777の後継機需要に答えているという、ボーイングさんがかわいそうになってくる事態です。

B777XとA350の比較

B777Xは,B777-200LRとB777-300ERの2つのモデルを置き換えることを目的とした新型機です。B777Xは,最大収容人数が406人から426人に増え,航続距離も15,185kmから16,170kmに延びました。また,翼端が折りたためるようになり,空港での運用性も向上しました。さらに,新型エンジンや複合材料の採用により,燃費効率も10%向上したとされています。

一方,A350は,B787と競合することを目指した新型機です。A350には,最大収容人数が253人から369人の3つのモデルがあります。航続距離も15,000kmから18,000kmと幅広くカバーしています。A350も,新型エンジンや複合材料の採用により,燃費効率や快適性を高めています。

B777XとA350の違いは,主にサイズと価格です。B777Xは,A350よりも大きくて高価な機体です。B777Xは,2クラスで406人から426人を収容できますが,A350は最大で369人です。また,B777Xは,1機あたり4億ドルから4.5億ドルですが,A350は3億ドルから3.5億ドルです。

A350がB777Xに勝っている理由

では,なぜA350がB777Xに勝っているのでしょうか?その理由は,主に市場ニーズと納期です。

市場ニーズとしては,航空会社はより小さくて安い機体を求めています。コロナ禍で航空需要が減少したこともあり,大型機よりも中型機の方が運用コストやリスクが低いからです。また,環境問題への意識も高まっており,より省エネルギーな機体を求めています。この点では,A350がB777Xよりも優位です。

納期としては,ボーイング社はB777Xの開発や認証に遅れを取っています。当初2020年に就航する予定だったB777Xは,現在では2023年以降になる見込みです。一方,エアバス社はA350を即納入できる体制にあります。

実際、カタール航空やヴァージン・アトランティック航空などは、B777-300ERからA350-1000に乗り換えることを決めています。日本ではJALが2019年からA350-900を国内線用に導入しましたが、これも国内線用のB777-200やB777-300の後継機として計画されています。

2020年には,コロナで需要が蒸発したこととB777のエンジントラブルで,の運行に対して規制がかかったこともあり,JALはB777-200ERをすべて退役させるなど,A350を新たなフラグシップに据えて,機材搬入を進めている一方で,ボーイング大好きでB787のローンチカスタマーである,ANAはB777Xの導入を決めており,老朽化が進むB777をつなぎとしてそのまま使っている現状にあります。

では、なぜJALはエアバスに乗り換えたのでしょうか?その理由はいくつかありますが、主なものは以下の通りです。

・ 燃費効率や整備費用などの運航コストを削減するため
・ 二酸化炭素排出量の削減や,環境への負荷を減らす。
・機内の環境をB777より向上させる。

それ以外にも,B777xの開発遅れも大きく影響したといわれています。
B787より一回り大きいA350。その少し大きいところや胴長機であるA350-1000などのラインナップなどを鑑みて,JALはエアバス機を選んだのではないでしょうか。

ボーイング大好きANAさんはJALでは世代交代した,B777をいまだフラグシップと据えているわけですから,JALの先見の明には感心させられますね。

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