Microsoftが過去の会社と言われた時代のCEO,スティーブバルマーについて
こんにちは、このブログではマイクロソフトの2代目CEOであるスティーブ・バルマーについて紹介したいと思います。スティーブ・バルマーは、マイクロソフトを世界最大のソフトウェア企業に成長させた功労者であり、熱狂的なリーダーシップとユーモアあふれるキャラクターで知られています。
半生
スティーブ・バルマーは1956年にアメリカのミシガン州デトロイトに生まれました。父はスイスからの移民でフォード・モーターのマネージャーを務めていました。高校時代には数学に秀でており、SATの数学で800点満点を取るなどの成績を残しました。1973年にはハーバード大学に進学し、数学と経済学の学士号を取得しました。ハーバード大学では、後にマイクロソフトを設立するビル・ゲイツと同じ寮に住んでいました。
卒業後はプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)でアシスタントプロダクトマネージャーとして働きました。その後、経営学修士を取得するためにスタンフォード大学に進みましたが、ビル・ゲイツに説得されて中退しました。1980年にはマイクロソフトに入社し、同社の30人目の従業員となりました。
マイクロソフトでは、オペレーティングシステム開発、経営、販売、サポートなどの部門を歴任しました。1998年には社長に昇進し、2000年にはビル・ゲイツの後を継いで最高経営責任者(CEO)に就任しました。バルマーは、XboxやBingなどの新規事業への巨額な投資を承認したほか、WindowsやOfficeなどの主力製品の開発や販売も推進しました。バルマーの在任中、マイクロソフトの売上高は3倍、利益は2倍に増加しました。
バルマーは、技術者肌であるビル・ゲイツとは対照的に、経営や販売に強みを持つ人物として評価されています。また、基調講演で舞台を跳ね回ったり、「I love this company!」と叫んだりするなど、情熱的でエネルギッシュなパフォーマンスで知られています。
一方で、携帯端末やクラウドなどの分野でAppleやGoogleなどの競合企業に遅れを取ったという批判もあります。
2014年2月4日にCEOを退任し、サティア・ナデラに後任を譲りました。同年8月にはNBAのロサンゼルス・クリッパーズを買収し、オーナーに就任しました。2015年10月にはTwitterの株式を4%保有していることを明らかにしましたが、2018年5月には全て売却したことも公表しました。
スティーブ・バルマーは、マイクロソフトの歴史と発展に大きく貢献した人物です。彼の熱意や情熱は多くの人々を魅了し、彼の業績やキャラクターは今も語り継がれています。
その一方で,先ほど述べましたように,もちろん彼に批判がなかったのかと言われると,そうではありません。
よく比較される2人のMicrosoft CEO
バルマーとサティア・ナデラです。バルマーは、2000年から2014年までMicrosoftのCEOを務めました。ナデラは、2014年から現在までMicrosoftのCEOを務めています。この二人のCEOは、Microsoftの方向性や戦略に大きな影響を与えましたが、そのやり方や結果はかなり異なります。では、どのように異なるのでしょうか?それを見ていきましょう。
まず、バルマーについてです。バルマーは、1979年にハーバード大学でビル・ゲイツと出会い、1980年にMicrosoftに入社しました。彼は、営業やマーケティングの分野で才能を発揮し、Microsoftの成長に貢献しました。1998年には社長に就任し、2000年にはゲイツからCEOの座を引き継ぎました。バルマーは、Microsoftを世界最大のソフトウェア企業に育て上げたゲイツの後継者として、多くの期待とプレッシャーを背負っていました。
バルマーは、Microsoftの強みであるWindowsやOfficeなどのコア製品を守り抜くことに注力しました。彼は、PC市場や企業市場での優位性を維持するために、競合他社と激しく争いました。例えば、AppleやGoogleとスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス市場で対決したり、オラクルやIBMとクラウドコンピューティングやビッグデータなどの分野で競争したりしました。また、XboxやBingなどの新規事業にも積極的に投資しました。
しかし、バルマーの時代は、Microsoftがイノベーションや変化に遅れを取る時代でもありました。彼は、新興技術や市場動向に対応する能力や柔軟性が不足していたと言われています。例えば、iPhoneやiPadなどのApple製品が世界中で大ヒットした時、彼はそれらを軽視したり批判したりしました。また、GoogleやFacebookなどのインターネット企業が急成長した時、彼はそれらに対抗する戦略やビジョンが明確ではなかったと言われています。さらに、Microsoft内部では、彼のリーダーシップや経営方針に対する不満や反発が高まっていきました。特に、彼が導入した「スタックランキング」という評価制度は、社員同士の協力や創造性を阻害すると批判されました。
スタートラッキング制度とは、従業員の働き方やパフォーマンスを評価するためのシステムです。Microsoftでは、この制度を導入して、従業員の能力や成果に応じて報酬やキャリアパスを決めています。スタートラッキング制度のメリットは、従業員のモチベーションや生産性を高めることや、優秀な人材を確保することです。しかし、デメリットもあります。例えば、従業員同士の競争や不満が生じることや、短期的な目標に偏ることです。スタートラッキング制度は、Microsoftにおける事例として参考になるかもしれませんが、他の企業にも適用できるとは限りません。
その結果、バルマーの時代は、Microsoftが市場シェアや株価などで低迷する時代でもありました。彼は、「過去の会社」とまで言われるようになりました。2013年8月には、「One Microsoft」という組織改革を発表しましたが、その直後にCEO退任を表明しました。2014年2月には正式にCEOを辞任しました。
次に、ナデラについてです。ナデラは、1992年にMicrosoftに入社しました。彼は、クラウドコンピューティングや機械学習などの先端技術分野で活躍しました。2009年はBing,2011年からはクラウド事業部門の責任者として、「Azure」や「Office 365」などのサービスを拡大しました。2014年2月にはバルマーからCEOの座を引き継ぎました。ナデラは、「Mobile First, Cloud First」というビジョンを掲げて、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more」というミッションを宣言しました。
ナデラは、Microsoftの弱点であったモバイルやクラウド分野で大きな転換を図りました。彼は、「Windowsだけではなく,すべてのプラットフォームでサービスを提供する」という方針を打ち出しました。例えば,AndroidやiOS向けにOfficeアプリを提供したり,LinuxやDockerなどオープンソース技術と協力したり,GitHubやLinkedInなど外部企業を買収したりしました.また,AIやIoT,MR,量子コンピューティングなど未来技術への投資も積極的に行いました.
最近では,Chat-GPTの開発元Open-AIとの提携が評価されていますね。
また,ナデラの時代は,Microsoftがイノベーションや変化への適応力を高める時代でもあります.彼は,新興技術や市場動向への対応力や柔軟性が優れていると評価されています.例えば,iPhone Xが発売された時,彼はそれを称賛して自分も購入したことを明かしました.また,GoogleやAmazonなどインターネット企業とも協調的な関係を築こうとしています.さらに,Microsoft内部では,彼のリーダーシップや経営方針への支持や信頼が高まっています.特に,彼が廃止した「スタックランキング」制度に代わって導入した「成長マインドセット」という考え方は,社員同士の協力や創造性を促進すると評価されています.
彼が口を酸っぱくして社内に行っていたのは,
「ようやく人々が『大事なのは稼いだ金額だけじゃない。もっと自分を取り巻く世界の状況に目を向けよう』と言い始めた。それを聞くと、我々は最良の時を過ごしているのだと感じられるんだ」
ということ。
iPhoneと対決するのではなく,Apple製品でOfficeを使えるようにしたり,Windows11では,Androidアプリが使えたりと,協力を増やします。
その結果,ナデラの時代は,Microsoftが市場シェアや株価などで好調な時代でもあります.彼は,「未来志向的な会社」として再評価されるようになりました.2021年10月時点では,世界最大級(約2兆5000億ドル) の企業価値(時価総額) を誇っています.
まあでも,Microsoftの成長の原動力となった,クラウド事業もバルマー氏がMicrosoft Officeをサブスク化したのもバルマー氏ですし,検索エンジンBingやSkype,X-boxなど功績も大きいものの,iPadとの対決姿勢を鮮明にしたsurfaceやWindows Phoneなどは大成功?とも言えないのは事実です。
また,iPhoneを叩き壊しかねないとまで言われたスティーブバルマー氏のあの怒鳴りっぷりもじつは,社員にある程度恐怖感を持たして,大人な会話,ビジネス的な礼儀のある会話を促すために,会議の前に部屋の前で待っている人たちに聞かしただけで,会議中は温厚だったという話もあります。
スティーブバルマーの功績ももちろんあるものの,サティアナデラ氏の社内文化を変革したことがより大きな成功へと導いたのではないでしょうか。
こんな感じでしばらくGAFAMの創業者について考えてみようと思います。
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