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宝くじ

「南江さん、宝くじを買ってます?」
と後輩から電話があった。
「おう、いつも買ってるよ。当たったことはないが、夢を見させてもらっている。なんや、1000万でも当たったのか?」
「それが、、当たったんですよ」
「え~、ほんまに!いくら?」
「2000万」
「すご~本当か」
「いやあ、僕じゃないんですが、お袋が買っていて、昨年亡くなり、家を整理していると、今まで買っていた宝くじが出てきたんです。
見たら、かなり前からのもあって、期限も過ぎているし、見ても仕方ないとほっておいたんです。でも女房が一度調べたらっていうもんで、調べたんです。もう、一枚一枚、当たるな、当たるなって感じで見てたら、なんとその内の一枚が二等に当たってたんで、びっくりするやら、情けないやら、腰が抜けました」
「そんなこと、二度とないで」
「でしょう、もう今後、絶対ないわと女房に見せると、組が違うと言いだして、よく見ると、組の番号が違ってたんです。もう、ヤッター良かった!って二人で叫びましたよ」
「なんや、外れか?」
「いやあ、外れてこんなに喜んだのは、初めてでしたよ!」
いつも、当たるか当たるかと、ドキドキしながら見ているが、何十年、一度も高額当選などにかすったことすらない。
 宝くじでこんな楽しみ方もあるだろうが、わざと期限を過ぎて見ようとは、そんな勇気などありはしない。やっぱ貧乏人のサガか。究極のゲームか!
 
てな話を会社でしていると、いつもは全く話にのってこない無口な若者が、
「僕、宝くじ1000万円当たったんですよ。三年前ですが、、」
と平然と言いだす。皆が一斉に注目する。
「ええ!本当?本当に当たる奴がいるんだ」
「で、その金で一体何買ったの?」
「宝くじです」
「宝くじ?また、買ったの?」
「給料じゃなく、不労所得ですから、汗水たらして得た金じゃないので、また、宝くじ買いました」
 『まあ、不労ちゃあ不労だが、あまり汗水たらしていないお前に言って欲しくない言葉だが、、』
「1000万円じゃ足りなかったってこと?他に何か買いたかったの」
「ポルシェを買いたかったのですが、足りなかったので、また宝くじを買うかと」
「へえ。でそれから当たったの」
「いや、当たってないです。少なくなったけど、不労所得なんで、無くなっても惜しくありません」
 『いちいち不労所得だと気にいらないが、やっぱこういう奴が当たるんだろうなあ』
「で、もし、また当たったら本当にポルシェ買うの」
「もちろんです。そのポルシェの横っ腹に、よく献血車などに貼ってある例の『宝くじ収益金購入車』ってシールを貼るんです。すごい、おしゃれでしょう!」

不労所得で、究極のおしゃれ?
まあ、その前にしっかり汗水ながせよ。


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