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ダイナミック美少女――大沢瑠璃乃【蓮ノ空感想文】


次世代のキャラクター:大沢瑠璃乃

突然だが、あなたにとって最も「動き」が可愛いキャラクターは誰だろうか?

こう聞かれて即答できる人は少ないと思う。
「見た目」が可愛いキャラクター
「声」が可愛いキャラクター
「性格」が可愛いキャラクター
などであれば、比較的答えやすいだろう。しかし、「動き」が可愛いキャラクターというのは、なかなか思い浮かべにくいのではないだろうか。

しかし、私はこの質問に対してノータイムでこう答えることにしている。

世界一動きの可愛いキャラクターは大沢瑠璃乃である

これは、単なる私の好みの話ではない。動きが可愛いというのも、単に可愛いポーズをとるとか、そんなちゃちな話ではない。

大沢瑠璃乃は「動き」という表現について、従来の二次元コンテンツにはなかった新しいチャレンジをしている。

動き」「佇まい」といった次世代のキャラクター表現に興味のある方は、騙されたと思ってこの記事を読んでみて欲しい。

ただし、可愛いポーズもとる


Who is 大沢瑠璃乃?

「そもそも大沢瑠璃乃って誰?」という方向けに、簡単に彼女のことを紹介する。「知ってるよ!」という方は読み飛ばして頂いても構わない。

大沢瑠璃乃

大沢 瑠璃乃(おおさわ るりの)は「Link!Like!ラブライブ!」というアプリゲームに登場するキャラクターだ。ラブライブ!の世界では「スクールアイドル部」という部活が一般化しており、女子高生がアイドル活動をしている。瑠璃乃は蓮ノ空女学院のスクールアイドル部のメンバーである。

瑠璃乃というキャラクターの新しさを語る上で、「Link!Like!ラブライブ!」の説明は避けて通れないので、この斬新なアプリについて少々説明させて頂きたい。「Link!Like!ラブライブ!」は、スクールアイドルたちの挫折と努力を見守り、応援するためのツールで、主に4つのコンテンツで構成されている。

  • 活動記録(ストーリー)

  • With×MEETS(キャラクターによる配信)

  • Fes×LIVE(キャラクターによるライブ)

  • スクールアイドルステージ(カードゲーム)

初めての方は、とりあえずストーリーから見始めることを勧める。特にゲームをプレイしなくても、最新話まで視聴可能だ。「アイドルものだし、可愛い女子高生たちがキャッキャウフフしているんでしょ?」と思っているかもしれないが、侮ることなかれ。

彼女たちは "スクール" アイドルであり、未熟な高校生ならではの弱さや脆さを秘めている。私たちがかつて乗り越えた(あるいは乗り越えられなかった)ような悩みを抱き、それに各々のやり方でぶつかっていく。客観的には全然賢くないやり方ばかりだが、だからこそ目が離せない。

物語の中で問われるのは、歌やダンスといったアイドル活動の"技術"ではなく、自分や仲間の弱さとの"向き合い方"だ。数々の試練を乗り越えた先にライブがあるので、彼女たちのパフォーマンスには生き様が表れ、強い説得力がある。

間違いなく、スクールアイドルでしか味わえないライブの良さがある。

それを体感するためにもストーリーは必見。常にシリアスなわけではなく、コミカルな漫才やキャッキャウフフ要素も完備。無理なく見ることができて、夢中になっていくうちに気がつけば最新話に追いついているだろう。

「でも、わざわざアプリ落とすのは面倒…」というあなたに朗報。
活動記録・With×MEETS・Fes×LIVE は YouTube でも視聴できる。

こちらから「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ公式チャンネル」に飛んでもらえば、ストーリーも配信もライブも楽しめる。

「YouTube 開くなら、推しの YouTuber 見るわ…」という方もいるかもしれないので、最後にダメ押しを。蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ部長のビジュを貼っておく。

こう見えて、おもしれー女


"動き"の神髄――少女がそこに"居る"

話を瑠璃乃の魅力に戻す。彼女の「動き」という魅力が遺憾なく発揮されるのは、「With×MEETS(キャラクターによる配信)」である。

百聞は一見に如かずなので、とりあえず下記のリンクから配信を少し覗いてみて欲しい。

【2023年4月2日】蓮ノ空YouTube特別配信!/ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ (Link!Like!ラブライブ!)
YouTube 「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ公式チャンネル」より

VTuber…?

第一印象は「VTuber みたい」だろうか。次世代のキャラクター表現を期待していた方は拍子抜けしたかもしれない。しかし、たった今あなたが見た配信では凄まじい神業が行われていた

確かに、3Dモデルのキャラクターが配信をしている、という形式は VTuber と同様だが、よく見ると瑠璃乃の動きが表現であることに気づくだろう。

配信中、瑠璃乃はあらゆるタイミングで軽く跳ねたり、何度も頷いたり、腕をブンブン振ったりしている。こうしたアニメ的な動きは、生身の人間が行うには違和感のあるものであり、「瑠璃乃を表現する」という意図が感じられる。ぴょこぴょこした動きによって、落ち着きのない性格や、小動物的な可愛さを醸し出しているのだ。

瑠璃乃、喜びのジャンプ
静止画でも髪から躍動感が伝わってくる

さらに、この配信を見続けていると「ある異常な事実」に気がつく。

瑠璃乃がずっと瑠璃乃として動いている

「当たり前でしょ」と思うかもしれないが、これは凄まじいことだ。

3Dモデルの動きは、プログラムに従っているわけではなく、瑠璃乃の声優である菅叶和さんの動きをトレースすることで実現している。つまり、配信中の声優の何気ない動き全てがキャラクターのものとして出力される。それでも、配信内で瑠璃乃が瑠璃乃でなくなる瞬間は1秒たりとも存在しなかった。

瑠璃乃本人が話している時は勿論のこと、他人の話を聞いている時さえも瑠璃乃として振舞っている。さらに、キャラクターに徹した配信スタイルは上記の配信に限ったものではなく、今日の配信まで一切崩れることなく続いている。あり得ないくらい長期的な演技だ。

私は色々な VTuber の配信を見るが、ここまでキャラクターに徹した存在は見たことがない。誰しも多かれ少なかれ素が出る。多くの VTuber はキャラクターである前に配信者だ。

しかし、蓮ノ空女学院の面々は配信者である前にキャラクターだ。この差は見た目以上に大きい。アニメ的な動きを巧みに使い、キャラクターの性格や感情を生き生きと伝えてくる。これは従来の VTuber とは異なった魅力だ。

「アニメ的な動きが魅力ならアニメでいいじゃん」という意見もあるかもしれない。しかし、作られた動きと生身の人間の動きでは迫力が違う。瑠璃乃たちの動きには人間的な無駄があり、ブレがある。そのことが彼女たちに臨場感を与えている。これはアニメにはない"味"だ。

また、アニメや漫画、ゲームでは、どうしても行動しているキャラクターがフォーカスされる。そのため、発言の少ないキャラクターは影が薄くなりがちだ。

一方で、With×MEETS では、発言していないキャラクターもそれぞれの性格を反映した立ち振る舞いになっている。「佇まい」の表現によって、ただ居るだけで可愛く、存在感がある。

こんな何気ない立ち姿でも、各キャラの性格が表現されている。

総括すると、瑠璃乃の可愛らしい動きはアニメ的でありながら、人間らしさを備えている。これは、声優がキャラクターになりきって動くことで初めて実現した。

文章にするとこれだけだが、これを実現するためには、キャラクターの内面だけでなく、動き方や癖まで理解しなければならない。当然、声優にかかる負荷は相当なものだ。

それでも、この凄まじく高い表現コストによって、瑠璃乃はアニメ的な可愛さを失わずに、真に迫るリアリティを獲得した。既存のキャラクターとは一線を画した実在感であり、まさしく次世代のキャラクターと評するに相応しいだろう


結び

これまで蓮ノ空に関する記事を結構書いてきたが、今回の記事には少々特殊な思惑がある。今さらだが、この記事を書くに至った経緯を述べておきたい。切っ掛けは、蓮ノ空公式から出された以下のキャンペーンだ。

このキャンペーンに参加すれば、もしかすると、私のメッセージを声優さんに届けられるかもしれない。そんな期待から、この記事を執筆した。

瑠璃乃を演じる菅叶和さんに「瑠璃乃を演じてくれてありがとうございます」と伝えたい。

瑠璃乃に限った話ではないが、蓮ノ空メンバーを演じるには、キャラクターを深く理解し、全身で演じる必要がある。舞台役者のような技能が必要な上、時にアドリブまで要求される。

それでも瑠璃乃はずっと瑠璃乃だった。
頭の先からつま先まで全身が瑠璃乃だった。

私如きがこのようなことを言うのも烏滸がましいが、
瑠璃乃が瑠璃乃であることが、菅叶和さんが真剣に瑠璃乃と向き合ってきたことの何よりの証左だと思うのだ。だから、私の一番の推しである瑠璃乃を菅叶和さんに演じてもらえることは、凄く幸せなことだと思う。

ありがとうございました。


出典

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