VCR GTA における問題点

・ざっくり言うと
そもそもTake-Twoのポリシー違反
警察のシステム的な役割の実態がMMORPGにおけるPKであること

VCR GTAも最終日を終え、配信者の皆様におかれましてはお疲れ様でした。
ですが、このVCRGTAは問題を抱えた状態での運営であり、改めて
(個人的には同様の方式で二度と開催してほしくない)
問題点だったところをそこそこGTAオンラインをプレイしているプレイヤー視点で語ってみようと思います。

このVCRGTAにおいて、使用されているサーバーおよびクライアントは
「FiveM」という有志が作った改造サーバーおよびクライアントです。
過去にFiveM開発者のアカウントがロックスター運営によってBANされています。
現在も開発は続けられていますが、
GTAオンラインのアセット(3Dデータ)などをそのまま使用しており
ロックスターの著作権物を無断使用している状況です。
このFiveMを大々的に使用し配信させていることは、今後のゲーム業界からのゲーム配信許諾に影響するのではないか、という勝手な予想をしています。

上記より2点引用します。

そもそものGTAオンラインの配信条件として
「非営利」であることが条件であり、下記の文言か記載されています。
以下引用

一般に、Take-Two Interactiveは故意に他のプレイヤーにネタバレをするようなものでない限り、ファンがコンテンツを非営利に使用することに反対いたしません。

「非営利」とは、投稿したゲームの動画でお金を稼いだり、製品やサービスの宣伝の一環としてコンテンツを使用しないことを指します。Take-Two Interactiveは著作権のあるコンテンツをいつでも削除できる権利を有します。
引用ここまで

全ての配信を追っているわけではないですが、YoutubeにおけるスーパーチャットやTwitchにおける広告配信などが散見されました。
例外的に、Take-Two社に許可を得ている場合は収益化ONでの配信が認められる場合があるようですが、
そのような許可を得た、という明言は運営であるVaultRoomからは確認することができませんでした。
もし確認漏れなどありましたら指摘願います。

2点目の引用は
以下引用

削除対象になりうる動画の例として
不正行為を奨励するもの:オンラインタイトルで次のような不正を行う方法を説明、表示、推奨する動画。
(中間省略)
「GTAオンライン」や「レッド・デッド・オンライン」でのサードパーティーが作成したMODメニューやツールの使用。
引用ここまで

この点がFiveMを使用した配信はしてはならない根拠です。

この2点において、GTAオンラインの著作物を不正に利用して、配信者の収益のための配信を行っていることは、問題です。

配信者の中には、以下のような発言を行っている方もいらっしゃいました。

VCRGTAに参加されておられた渋谷ハルさんの配信の切り抜きですが
3:12 からのお話で
ほとんどの場合ゲーム配信におけるスーパーチャットなどは「その人のパーソナルのお陰」
と発言されていますが、不正なクライアントを使用し、禁止されている収益(スーパーチャット)などを得ていることは
「その人のパーソナル」のお陰で収入を得ているかと考えると
上記のようなゲーム会社が配信、動画投稿における禁止事項に触れている配信でも収入を得てもいい、という考えに基づいて配信を行っているように感じます。
切り抜きに渋谷ハルさんのものを利用したのは問題をわかりやすくするためのものでしたが
ゲーム配信にかかわらず他者の著作物を用いて配信、動画投稿する場合は
著作権者の許可もしくは協定の締結が必要という大前提を今の配信者の皆様は忘れている、もしくは意図的に無視している場合があるというように感じました。

(渋谷ハルさんはネオポルテというVtuber事務所の運営を行っていますが、事務所の運営者の資質としてどうなの、という話はありますが、そこは今回は触れません。)

以上、今回のVCRGTAのそもそもの問題であるゲーム開発者から許諾を得ていない配信について問題提起させていただきました。

2点目は、もし上記の著作権の問題が「クリア」されていた場合のVCRGTAの問題点ですが、
Grand Theft Auto というタイトルは直訳すると
自動車の重窃盗となります。 平たく言えば「車泥棒」です。
タイトルから判断できるようにGTAのゲーム内での「犯罪行為」は推奨されており、GTA5本編のストーリーも犯罪を行う前提での展開となっています。
GTA5の本編ストーリーの舞台をオンライン上で遊ぶようになっている
「GTAOnline」でも、ほとんどの場合犯罪行為を行いプレイヤー資産を積み重ねていくような設計になっています。

このことから、GTAの世界観では犯罪行為そのものがゲーム上「正しいこと」として取り扱われてると感じています。

これに対し、VCRGTAにおけるプレイヤーが操作する「警察」の役割が登場したことにより、
警察プレイヤーが犯罪者プレイヤーを拘束および逮捕し、罰金および一定時間の拘留が可能となりました。

一般に、現実では警察は法の執行者として犯罪者を取り締まる立場です。
しかし、その執行には多数の制約に基づいた正しい手続きが必要とされています。これは日本においても、GTAの舞台とされているアメリカでも同様です。

VCRGTAにおける警察は、犯罪者を拘束後罰金を科すことができますが、
その罰金は逮捕者の懐にはいります。そもそも罰金は、(現実では)国庫に納付することになっており、これは汚職そのものです。
警察官(または公務員)が犯罪を犯すと追加の罰金が発生するようですが、
その罰金も逮捕者が取得できるようになっています。

そして、その罰金を徴収できるのは警察官のみです。
これを一般的なMMORPGなどの役割に置き換えると、「正義」をかざしたプレイヤーキラー(PK)の扱いと考えることができます。

古くから、多くの場合オンライン上の(プレイヤーが同士戦う前提の設計以外の)ゲームでプレイヤーキラーは相当に嫌われる存在です。
理由は様々ですが、私が挙げる大きな理由は「プレイヤーの時間を直接奪う」ことです。
他のプレイヤーが得たゲーム内資産を直接奪う立場ですから、被害者のプレイヤーが奪われた資産を得るまでの時間を奪っている。という考え方です。
このようなプレイヤーキラーのシステムを適用する場合、プレイヤーキラーキラー(PKK)の存在も必要とされる場合がありますが、
VCRGTAの警察の場合はそのPKKすら罪に問うことができ逮捕できればさらに資産を奪うことができる立場になっています。
このように「システムで保護されている」PKというのは、どうやっても理不尽に感じることが視聴者としてあるのではないかと感じます。

どうしても、「警察」という立場、役割において犯罪者に対して厳しくなるのは当然ではありますが、「GTA」の世界観のなかでプレイヤーに警察の役割をさせることは、相当に無理があるように見受けられました。

この理不尽(に感じること)を配信者に直接ぶつけてしまうのは、配信の妨害になりますので、批判するようなコメント、SNSなどへの投稿はしないことは重要です。

この場合は、VCRGTA運営の調整不足、視聴者の反応の見込み間違いがあると感じています。

以上、今回のVCRGTAにおける問題を記述させていただきました。
最初にも述べましたが著作権の問題、ロールプレイの問題があり、
GTAを舞台にしたこのような配信者を集めて行う企画はもう二度とやってほしくない、と強く思います。

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