退院の日 (20)
家に帰れる!
いよいよ退院の日。
朝早くから落ち着かないが、迷惑にならないように6時までベッドで待機していた。
その後、音を立てないように荷物の整理をして、なるべく部屋をきれいに片付けて、いつでも家に帰られるようにしていた。
腹部はまだ痛むが、短期間で身の回りのことを自分で出来るようになるとは、この9日間を振り返り驚くばかりだった。
お世話になった医師や看護師さんや看護助手さん、一人一人にお礼が言いたい気持ちはあるが、皆さん私のように暇では無い。
せめてもと病室に来た方に感謝の気持ちを伝えていた。
仕事のお邪魔にならないように、
「お世話になりました。」
「ありがとうございました。」だけ。
言葉は少ないが、気持ちはたくさん。
女の人は無理をしがち
病棟の看護長さんが退院前日と退院の日に病室に来てくれた。
入院の時とスマホが壊れた時に少し話していたので顔を見たら直ぐに分かった。
退院してから女の人は直ぐに動いてしまうけれど暫く家事は家族にやってもらうように、買い物は家族が無理ならネットスーパーを利用するといいよなど具体的に教えてくれた。
そういえばこの看護長さん、夜勤の時間に2日連続でナースステーションにいた気がする。
この日も夜勤のようで、出勤前に3日分のおかずを作ってきた、と笑いながら話していた。
この方も随分身体を酷使しているのだろうな、と感じた。
ご自分の身体も気を付けてください、と言いたかった、が余計なお世話かな!?と黙っていた。
兎に角、女の人は無理をしてしまう。
それに母になると、仕事をフルタイムでしていても、家事と育児が当たり前のように付いてくる。
男の人が家事や子育てをしてくれるようになった時代とはいえ、今はまだ女の人の負担が大きいと感じているのは私だけでは無いはず。
看護長さんは同じ位の年齢かな!?聞き上手の話上手、もっと色々聞きたかったが私からのお喋りは程々にした。
薬
「〇〇さんしっかりしているので。」と、昨夜看護師さんから薬を渡されていた。
しっかりしてる?
そういえば、産婦人科といえども高齢者で入院している方が多い。
妊婦さん以外の患者さんの中では、私は若い方なのかな?と思った。
あとは退院だけなので、自分で管理して服用してください、ということらしかった。
そして退院
7時半過ぎても朝食が届かない。
何もすることがないので、ただただ朝食が待ち遠しい。
食欲が出てきたことが嬉しかった。
当たり前なのかもしれないけれど、この9日間、出されたものしか食べなかった自分が誇らしかった。
痛みが強く食べられなかっただけなのだが、体はデトックスされている、と思いたい。
お待ちかねの朝食をいただき、忘れ物チェックをしてもらい、会計をして、10時半頃ようやく退院した。
家に帰ることが、とてもとても嬉しかった。
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