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王冠

小さい頃は、道端によく白詰草が咲いていた。

田舎の親戚の家の周りは見渡す限り田んぼで、畦道には白詰草の白い花がいっぱいあって、暑い日向でその花を一生懸命摘み王冠に編んだ。花束にもして、妹と遊んだ。

そんな何気ない光景が、断片的だがはっきりと思いだされる。


花を見つけた喜びと、ひたすらそれを摘み夢中で王冠を編んでいる自分。そして綺麗な王冠ができた喜びとともにある、真昼の明るい日差しと虫の声。

何となくけだるい空気


作った花束や王冠で遊んだ後は、きっとそこにそのまま置いて来てしまったのだろうけれど、透明だが濃厚なあの時間が、私にとって大きな安らぎとなって今も蘇るのはとても嬉しい。

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