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Mo’xtra Archive『912・3R/3C・ス』

下巻「サイクルサークルクロニクル」観劇。

須貝英さんの脚本・演出での作品。普遍的なタイムリープとは少し異なる、人それぞれの時(時間)へ意識や概念により出来上がった時間軸が、サークルクロニクル内に存在するものの…交わらない葛藤。

現実世界では、一度起きてしまった事は変える方が出来ない。過去や未来に行く事も勿論出来ない。自分自身も、人生のターニングポイントに戻りたいと思った事はある。しかし、戻って別の選択肢を選んだとしても自分の理想とする結果になったのだろうか、それとも今より悪くなっているのでは?と思ってしまう自分もいる。

俯瞰で物事を考える事は、大事であると思う。人生を後悔しないように生きる為にも(人生に対しても)大小様々な問題に向き合い答えを出す事は、決して悪い事ではないと思うし、選択した自分自身へ納得と責任が生まれると考えているからである。

この作品を観る年齢層によっては、作品の受け取り方が違うのかも知れない。この世界には、様々な時を過ごしてきた(時の過ごし方をした)人がいるから、当然と言えばそうかも知れない。人生は戻る事は出来ないが、リカバリーする事は出来る。確固たる自信を持って(自身の)人生の選択をする事で、原因が明確になる。そして、リカバリーが必要になった時の近道を示してくれる。この作品を見ながら…自分自身は考えていた。

作品に登場する俳優さんは、独特の雰囲気を纏っている人が多い。

特に大澤彩美さんは、初舞台とは思えない思い切りの良さが演技や所作、笑顔がとても印象的でした。小林桃香さんは、感情表現のピックアップが素敵な人だなと思いました。東出薫さんは、目線や動きで感情を表現するのが素敵な俳優さんでした。高見駿さんは、堕ちていく人生に感情を乗せて演じられていて…妙なリアリティ感がありました。松本卓也さんは、普遍的な演技をするのは難しいのではと思っていましたが…。良き塩梅の存在感を出されていて良きでした。吉田紗也美さんは、瞬間的に自分の世界へ引き込める不思議な空気感、顔の表情や所作(演技)が素敵でした。特に目線で演じる感情表現が、とても魅力的な俳優さん。李勇雅さんは、コミカルに演じながらも作品の核とも言えるキーパーソン。滲み出ている雰囲気と台詞とのギャップがとても好きだった。渡邉力さんは、とても表現力が繊細で舞台上に出てきた時の雰囲気の変化が、個人的に好きでした。

須貝英さんの脚本・演出。そして、俳優さん同士のバランスの取り方。脚本と俳優さんとの表現反応が心地よい作品に感じました。

素敵な時間をありがとうございました。これからも楽しみにしております!

2021年12月19日 20時 APOCシアター


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