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「おかげさま」の1年

 昨年十一月に住職の任をお預かりしてから、気付けばあっという間に一年が過ぎました。若輩で不足の多い身ながらもこうして一年務められましたのは、この誌面をお読みいただいているご結縁の皆さまのお陰であると心より感謝御礼申し上げます。
 数えきれないほどのお支えがあっての一年間を振り返っていきたいと思います。さながら夏休みの宿題で書かされた日記のようになりますが、どうかご容赦ください。

 住職として行事を行うという初めての年は、常に新型コロナウイルスと向き合い続ける日々となりました。お正月にはオンラインでの除夜の鐘、越年法要を実行し、またコロナ禍での節分も厄除け祈願護摩を画面越しにお届けいたしました。これ以後の行事、牡丹千佛会や観月会などでも度々ライブ配信を活用し、離れた場所から手を合わせていただけたことを本当に嬉しく思います。

 また、三月の東日本大震災十年大法要「花あかり」に際してはクラウドファンディングによって新しい方々にもたくさんご縁を結んでいただきました。お天気にも恵まれ、花と灯りの並ぶ中で秋川雅史さんの奉納された「花は咲く」は、震災の犠牲者への追悼のみならずコロナ禍に苦しむ多くの方を励ましたのではないでしょうか。

 六月の開山会では私の晋山式も執行いたしましたが、まだまだ情勢が不安定であるにも関わらず多くの方に全国から現地まで足を運んでくださいました。お世話になった大切な人に見守られながらの表白は全身が熱くなる思いでした。

 オリンピックのあった八月には二日間の万燈会を現地およびオンラインにて開催し、そして緊急事態宣言の明けた十月には秋季大祭の千体地蔵会・川施餓鬼法要を完全に現地のみで厳修することが出来ました。

 徐々に出来ることが増えていくのと、お越しになられたご参列者のお顔が見られることがこれほどに有難いものかと、喜びを感じずにはいられませんでした。

 目に見えないウイルスの影に人は悩まされ、また同じく目には見えない陰ながらのお計らいやお調えに人は生かされています。大切なのは見えないものを想像する思いの力を養うこと、またその思いを積極的に形にしてあらわすこと。普段のなにげない「ありがとう」の一言や、願いを込めたお写経やお札にはその人の思い、すなわち命が宿ります。そしていつか抱えきれないくらいの大きな力となって自分のもとに返ってくる日が来るでしょう。それが「おかげさま」をいただく秘訣だと思っています。

 改めまして、一年間本当にお世話になりました。新しい年が皆さまにとって実り多き年となりますことをお祈りしています。
合 掌

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