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神社とお寺

どうも、福住職の村上定運です。

4月から薬師寺東京別院での臨時駐在を続けて3ヶ月、後任の担当僧侶の移動が決まり、荷物をまとめて彦星のごとく七夕の夜に潮来へ帰ってまいりました。

東京別院が開院してからは個人での活動はどうしても後回しになってしまい、SNSやnoteでの更新が滞ってしまっておりましたが、ぼちぼちとのんびり再開させていただきますのでお付き合いくださいませ。

さて、今回の質問箱はこちら。

「神社のお札やお守りをもったりするのですか?」

これについてご紹介していきたいと思います。

神社大好き福住職

結論から先に言うと、私の家には神社のお守りがいっぱいあります。お付き合いでいただいたものや自分で参拝した証として授かってきたものなど様々ですが、神棚を用意して目立つところにお祀りしてあります。

まずそもそも、こういう質問の根底には「神社(神道)とお寺(仏教)ってそれぞれが独立した宗教だから、お坊さんは神社と縁が無いんじゃないか」なんていう考え方があるんだろうなと思っています。

確かに今の日本では、明治時代ごろの影響により神社とお寺は無理やりバラバラに分かれました。その結果として双方の宗教間でのお付き合いは希薄になり、ほとんどの神主さんとお坊さんに絡みがないのが現状です。

しかも、時代が進むにつれてお互いの思想が発展して、少々排他的な印象を受ける決まりがあるせいで神道と仏教のみならず他の宗教・宗派との関りが持てない人たちも一定数存在します。

神様と仏様のキューピッドは天皇様

ただ、奈良に都があった時代は神道にも仏教にもいわゆる宗教を構成する要件が未整理な状態でありました。また、天皇さまが仏教を受け入れたことによってそれぞれが共存することが可能になったとされています。

当時の日本人は、世の中のすべての存在には神様が宿っている、または神様が姿を変えて現れていると考えていました。つまり、命の源は神様が授けてくださっているのだという思想です。

そんな人たちがより良い生き方をするために取り入れたのが仏教でした。外国から登場した仏様という存在もまた、日本人の中では神様の一人として受け入れられて来たのです。

別の言い方をすれば、国産の神様は自分たちにとって親のような存在で、外国の仏様は生き方を学ぶ学校の先生といった感じで共存が適っていったのです。しかも現代よりもずっと近い距離間での共存です。

今も苗字にある「神宮寺」などはその字のまま神社の中にあるお寺のことで、またお寺の中にも神社が造られ、そのお寺の鎮守の神様として祀られて来ました。

そんな状況ですからもしもお坊さんが神社をお参りしたらバチが当たる、なんてことは考えられませんね。むしろ積極的に関りを持っていたと考えられます。

奈良のお寺と神様の昔といま

薬師寺をはじめ大寺院では神道の象徴である天皇さまから命じられて経典を勉強する法要が行われて来ましたし、奈良時代のお寺のお坊さんたちは出家するときも修行するときも神社に参拝して護ってもらう、という歴史がありました。

私が4年前に受けたお坊さんとして最大の試験も期間の前後には春日大社に行ってお祓いを受け、神火をお預かりしてその灯りで勉強するという伝統を守っています。その時の様子を密着取材していただいた動画があります。

https://www.youtube.com/watch?v=l4k8rFAZPVM

試験会場で登壇する前に柏手(手をパンパンと2回叩くあれ)をしているところが映っています。これは今となっては珍しい光景だと思うので良かったらご覧ください。

宗教はフルコースで

色々とお話しましたが、要点をまとめると
・神社(神道)とお寺(仏教)はうまく共存し、関係も良好だった。
・だからお坊さんも神社でお札やお守りを授かることに問題はない。
・皆さんも気にしないで大らかに、年末はクリスマスからの除夜の鐘、初詣というフルコースを味わうべきである。
ということになります。気軽に、気楽に、気が向いたときにどこへでもお参りしてください。

今回は少し話がそれてしまったので書きませんでしたが、そもそもお札やお守りなどについてその扱い方や有効期限なども別に出させてもらいます。

他にも、神社とお寺の関係が進化して生まれた「神仏習合」という思想や、私が最近の日本を見て感じる神道と仏教のよく似た価値観なんかもそのうち紹介したいと思います。

最後に

いま、九州を皮切りに全国で豪雨被害が報告されています。一般家庭の方もそうですが、恐らく多くの神社仏閣も被災していることと推察します。

困っている方へのお見舞い、お祈りに境目はありません。被災されたすべての宗教施設の方々に心から早期復興を祈ります。

ではでは合掌。

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