「令」の意味を。

「令和」について何か言わなきゃ、と何かに言われましたので、
(本当に、正体が何か分らんのです。)
昨日に下書きしたものを基に、書きます。

「令和」の発表の後に、「令」の字についての批判が出たのですね。

「命令」などで使われている「令」という言葉の意味は、
現在、日本語を使う人たちにとって主な意味そのものです。

その意味でお使いになったのであれば、
ご批判の趣旨はある程度は正しいのかしらとも思います。

さて、この「令」の意味を私の家にある漢和辞典で調べると
一つ目に「命ずる。いいつける。法令などを発布する。」という説明から始まります。
私は、いいんじゃない?との感想を持ったものの、
ご批判になる方のお考えは一理ございましてよ。

ただね、この「令」の意味は
「律令」政治が行われ始めたあとのことではないかしらん?
と思いますがいかがでございましょうか。ご高名な先生の皆様方。

だってさ、典拠として出て来た万葉集の現代語訳では、
「令」を「命ずる。」の意味で訳していないからです。

私が持っている、普通の漢和辞典でも、
「令」という言葉の意味がどうだったのかを調べることは出来ます。

まず、「レイ」という読みの漢字の中から「令」を作りに含む文字を調べるんです。

例えば、「怜」。字義の最初に、「さとい。かしこい。」とあります。
さらに、字解の部分には「音符の令は、澄み透るの意味。心が澄む、さといの意味を表す。(以下略)」と説明がありました。

「冷」という字があるよ?と思われるかもしれないのですが、
まず、この漢字の部首である「にすい」に、
「冫を意符として、凍る・寒いなどの意味を含む文字ができている。」
という意味があります。

そして、「蛉」を調べてみると、
「音符の令は、冷に通じ、冷たいの意味。透き通って涼しげな羽の、とんぼの意味を表す。」と書いてあります。
「つめたい」の意味における使われ方が、「透き通る」に通じたもののようなんです。

涼しい音の「風鈴」という言葉から思い出される「鈴」も調べてみました。
「鈴」には、「音符の令は。冷に通じ、すずしいの意味。すずしい音のする、すずの意味を表す。」

この「鈴」と字義が重なるモノが「玲」です。

一つ目に、「玉や金属の触れあって鳴る音。」とあります。
そして、二つ目には、「すきとおるように美しいさま。さえてあざやかなさま。」

そう、「令」は「すきとおる」の意味が前に出てくる雰囲気のある漢字。

そして、「怜」にあるように「心が澄む、さとい」って何だろう?
を考えた方が、多分、良い。

「鈴」の字義の後ろの方には、「鉢の形をした小型の仏具。」との説明もあります。
そして、「羚」には、「音符の令はひざまずくの意味。ひざまずくようにして休む、かもしかの意味を表す。」とあるのを見つけました。

さらにさらに、「聆」には、「①聴く。②さとる。(③は省略します。)」との字義の後に、「音符の令は、神意を聴くの意味。耳を付し、きくの意味を表す。」とございましてよ。

つまり、「令」は人の世界でのルールなどを意味するというより、
神様から受け取る、授かることに焦点が当たっている。
(これに関することを近いうちに書くかも…。)

澄んで、さとい心をもつとは、神様を聴こうとする。

もう一つ。「零」には、「音符の令は、神意を聴くの意味。神意にかなって雨がおもむろに降る・おちるの意味を表す。」

(調べた辞書は、新版 漢語林 第六版です。「齢」の「令」は別の漢字の意味とのことです。こちらは省いています。他は、気が向いたら書くかも。)


ていうかさ、
お名前に「令」をつくりに含む漢字を使う親御様方が相当数いらっしゃる時点で、
「令」は批判されている意味で使ってないんじゃないかって、
オバちゃんでも何か感づくよ?

何でもかんでも批判すりゃいいもんじゃないって、
心から身に染みました。しみじみ。気を付けたい。


結局それは漢籍からでしょ?ってお話は、
今まで漢籍から取っていた流れからすれば、マイルドな流れです。

今までの典拠は、漢籍。
今回の典拠は日本のもの。でも、元をたどれば、漢籍。

すごくいいよね、という素直な感想はそこから来ています。

しかも、「令」という意味を、
大陸から多くを学んで積み重ねた現代でのイメージがあるんだけれども、
大陸から政を学ぶ前から使っていた意味で使っているんです。

奥ゆかしいよね。

素直な感想を持ったところに、
「令」の話が出てまいりましたから、
簡単にしか調べられていませんが、さらに嬉しいな、との気持ちが重なりました。

変化はゆっくりが好みなので。


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