最高裁判所へ要請書の提出を行いました
去る2023年10月19日、女性の定義を守る会より、最高裁判所へ要請書の提出を行いました。
報道では手術要件の堅持を求めたとされていますが、
当会は、性同一性障害特例法自体が女性の生存権や尊厳を著しく侵害しているという立場から、要件に関する「合憲」判決を求めるとともに、個別判断を含むいかなる要件の緩和や憲法解釈の変更も行わないことを要求しております。
下記に要請書全文を掲載します。
要請
「(ク)第269号 性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件」
最高裁判所
裁判官 戸倉三郎様
「(ク)第269号 性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件」の最高裁判所弁論に対する当会の見解と要請
9月26日、最高裁判所で「(ク)第269号 性別取扱い変更の特別抗告事件」の弁論が代理人により行われた。
当会は性同一性障害特例法自体が女性の生存権や尊厳を著しく侵害しているという立場から要件に関する「合憲」判決を求めるとともに、個別判断を含むいかなる要件の緩和や憲法解釈の変更も行わないことを要求する。
以下に、弁論に対する見解を示す。
・「要件のみなし緩和」に関する見解:
抗告人の弁論によれば、特例法の本質を考慮すると、家庭裁判所の柔軟な判断で要件の緩和が望ましいとの主張があった。
特例法の目的は、性同一性障害を対象とし、戸籍上の性別と自己認識の性別を一致させることで、その苦痛を軽減することである。
この観点から、抗告人の「柔軟な判断が必要」との主張は理解できる。
しかし、当会は特例法制定時の際に「女性・女児の生存権や尊厳」に関して全く議論された形跡がない事実を指摘したい。
特例法の目的に則った判決は「女性・女児の生存権・尊厳」を明確に侵害する。
また、今回の判決の影響は、抗告人個人だけでなく、広範な社会全体に及ぶ。そのため、特に性同一性障害者の実体験については、佐倉智美著『性別解体新書――身体、ジェンダー、好きの多様性』(現代書館)を参照いただき、その上で十分な考慮を求める。
オートガイネフィリアのようなケースでは、性同一性障害が女体化願望を伴う場合があり、これは女性の尊厳の侵害に繋がっている。
・「憲法解釈の変更」に関する見解:
抗告人の弁論内容によると、憲法第13条(基本的人権)・第14条(平等権)に基づいて違憲判決を求めていた。
①憲法第13条(基本的人権)について
抗告人は憲法第13条に基づいた基本的人権を根拠として、「性別のあり方を自分で決められる権利」・「自覚する自身の性別を否定されない権利」を主張し、それに基づき「自身が自覚する性別の取り扱いを他者に求めることが許される」と主張していた。
しかし、憲法13条については、「公共の福祉に反しない限り」尊重されるとある。
「自分自身をどの性別だと思うか」については内心の自由の範囲に留まるが、自身が自覚する性別の取り扱いを他者に求める権利は生来と反対の性別の取り扱いを他者に強制するものであり、他者の行動様式を変容させ、公共の福祉を著しく損なうものである。
また、身体的弱者である女性・女児にとって、男性を女性として扱うことを強制されることは憲法第25条生存権の侵害にも繋がる断じて許し難い事態が生じうる。
②憲法第14条(平等権)について
抗告人は憲法第14条を根拠として、「『女性としての社会生活』を送っている抗告人」に対して要件を適合しないことは違憲であると訴えていた。
しかし、憲法第14条については「『性別』において差別をされない」とある。
特例法においても生物学的に性別は明らかであるとされており、性別とは生物学的性別のみを指す。
加えて、「女性としての社会生活」とは社会的性役割に基づくものであり、女子差別撤廃条約第5条においても、「男女の定型化された役割に基づく慣行の撤廃の実現」が求められており、これを訴えとして認めることは女性差別を助長するものであり、認めてはならない。
以上のことから、当会は今回の判決に伴う「要件のみなし緩和」や「憲法解釈の変更」によって女性・女児の生存権や尊厳が著しく侵害される可能性を指摘する。
また、「要件のみなし緩和」「憲法解釈の変更」についてはどちらも特例法の趣旨に則ったものであり、法の目的からすれば、いわば当然の訴えである事を指摘したい。
特例法は既に憲法第13条(基本的人権)、憲法第14条(平等権)、憲法第25条(生存権)を侵害している女性迫害法であり、その存続は断じて許されない。
以上のことから、最高裁判所に対しては、
⑴特例法制定時に「女性・女児の生存権や尊厳」が議論されていないこと
⑵「性別のあり方を自分で決められる権利」は他者の人権を侵害すること
⑶「女性としての社会生活」は社会的性役割そのものであり、これを判決に考慮することはすなわち女性差別の助長に繋がること
を踏まえ、いかなる要件の緩和や憲法解釈の変更も認めない旨の判決を下すことを強く求める。
以上、当会の見解と要請とする。
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