JOSLER症例登録のコツ

はじめに

みなさん今日も元気にJOSLERやってますか?
症例登録に際してわからないことがたくさんあると思います。聞ける先生がいればいいですが、環境によっては情報がなかなか入ってこない先生も多くいると思いますので、某が後輩向けに作った資料を公開しようと思います。
2021年7月時点で作成したものになりますので、みなさんが実際に受ける際には使用が変わっている可能性もありますので、規約はよく確認するようにしてください。

症例編

症例に関しては締め切り年度の8月末(COVID-19関連の特例適応者は10月末)までに120症例/200症例の登録が必要になります。3年次終了までに160症例以上必要になりますので、この時点で160症例登録する目標で早めに登録しておくことが望ましいです。
以下に実際に症例を登録する場合の注意点を記載します。

・同一症例を年度別で違う専攻医が使用する場合には、必ず受け持ち期間をずらしてください。
例)2人の専攻医が同一症例を10日間受け持っていた場合は、前半5日間を1人目が、後半5日間を2人目が受け持ったことにしてください。
・初期研修医と後期研修医が同一症例を持つことが不可能という噂もありますが、これに関しては現時点で前例がないため断定しかねます。すいません。
・症例に関しては機構が直接見るというものではなく、担当指導医が機構に対してちゃんとこれらの症例を経験していたという保証のような扱いであると思われます。なのでよっぽど酷い誤字脱字や支離滅裂なことを書いていなければ多少言葉足らずでも問題なかったです。一応ほとんどちゃんと書いてはいるものの、数例は1行サマリーのものを提出していますが今まで特に機構から指摘されていません。
・上記を加味し、ここの一番のキモは担当指導医を懐柔することです。これは誤字脱字と辻褄があっているかどうかだけ確認してもらうようにして、病歴要約に全力を投じることが時短かつ労力削減につながります。
・噂ではありますが、将来的にランダムピックアップで症例開示を求められる可能性もゼロではないので、カルテ情報と大きく相違の内容に登録してください。特に受け持ち期間と入院であれば担当医に登録されていた期間を証明できるかどうかが最重要です。

病歴要約編

病歴要約は知っての通り施設内部でのチェックの後に外部のチェックも入りますのできちんと書いたほうがいいです。施設内部の先生にどのように言われるかわかりませんが、以下に記載する書き方のお作法(仮)は機構が提示している病歴要約の参考資料から訂正箇所を抜き出したものと、実際に修正依頼をされた先生の情報を取り入れていますので、内部の指導医の先生があたおかの場合を除き以下のお作法を守ることが推奨されます。ちなみに以下のルールを守ったところ一部薬品名が商品名になっていた箇所を除き二次評価はほぼ一発クリアでした(正直指導医ガチャの要素もあるとは思いますが、、、)
以下に病歴要約用の注意点になります。
==========
<基本情報>
・タイトル(80文字以内):●
・転帰:●
・確定診断名:●
<病歴>
・主訴(25文字以内) :●
・既往歴(100文字以内) :●
・病歴(1000文字以内) :●
<主な入院時現症>(350文字以内) :●
<主な検査所見>(1000文字以内):●
<プロブレムリスト>(300文字以内):●
<入院後経過と考察>(1500文字以内) :●
<退院時処方>(300文字以内) :●
<総合考察>(1000文字以内) :●
==========
記載の際の注意点
・「●なし」「●あり」などの体言止めは修正が入る可能性が高いので、「●はない」「●を認める」などで語尾を統一することが望ましいです。
・文字数制限がかなり厳しいので、文献引用の際には「著者. 雑誌. 発行年; 巻(号): ページ.」のみの方がいいと思います。タイトル省きましたが問題なく承認されました。→上記の書き方が手引きで推奨されており、タイトルを省く前提が正式な書き方のようです!間違えないようにお願いします!
・確定診断名とプロブレムリストの病名は異なっていても問題ありません。確定診断名は●●癌で、●●癌の気管転移による閉塞ためステントを留置した外科転科症例で使用したためプロブレムリストは転移性気管腫瘍というように書いた病歴要約がありますが、特に何も言われませんでした。
・糖尿病など、プロブレムに載せてはいるものの特に治療調整をしていない場合には、「●は今回入院で特に問題になることはなかった.」と記載すればOKです。特に原疾患のリスク因子であったりする場合には文字数稼ぎに使えます。
・A4 2ページに収めないといけないので、指導医に提出前に必ず印刷のボタンを押して、ちゃんとA4 2ページに収まっているか確認しておいた方がいいです。
・これは諸説ありますが、現病歴を日付で書きたい場合もあると思います。通常の学会と異なりJ-Oslerに登録時点で既に受け持ち日時は添削する医師は見ているので、日付を書いたとしても個人情報漏洩にはならない可能性が高いと思います。気になるようならDay Xなどで濁してもいいと思います。

※数字と単位の間、および英単語の前後、コンマの前には半角スペース開けてください。%と/と単位が日本語のものの前には半角スペースはいりません。JOSLERに限らず学会発表や論文執筆などでも重要なお作法です。コンマと点、丸とピリオドも必ず全体で統一してください。

病歴要約テンプレート(ご自由にお使いください)

【主訴】(25文字以内)
【既往歴】(100文字以内)●歳時 ●,●歳時 ●,●歳時 ●.食物・薬物アレルギー歴はない.
【社会生活歴】(100文字以内)
「飲酒:日本酒 ●合/日.」「飲酒:ビール ● mL/日,週3回.」
「喫煙:●本/日×●年間(●歳から●歳).」「喫煙・飲酒はない.」
【家族歴】(100文字以内) 「●に●の家族歴がある. 」「●の家族歴を認めない. 」「特記すべきことはない. 」
【病歴】通常通り書いたらいいと思いますが、体言止めをなくすことと、「入院となった」ではなく、「入院となる」の方が良さそうな印象です。
【主な入院時現症】身長 ● cm, 体重 ● kg(●kg/週の増加). 体温 ●℃, 脈拍 ●/分, 整●. 血圧 ●/● mmHg. 呼吸数 ●/分. 眼瞼結膜に貧血はなく●、眼球結膜に黄疸はない●.
「心音:Ⅰ音は減弱し, Ⅱ音は性状の呼吸性分裂を認める. 心尖部にてⅢ音と全収縮期雑音(LevineⅢ/Ⅵ)を聴取する. 両肺野下部●において湿性ラ音を聴取する●. 」
「胸部:肺音に異常はない.心音に異常はない.」
「腹部は柔らかく●, 肝臓・脾臓を触知しない●. 」
「両側下腿に軽度の浮腫を認める.」「下腿に浮腫はない.」
「皮膚や関節に異常はない.」
【主要な検査所見】
尿所見:
血液所見:
血液生化学所見:
免疫血清学所見:
動脈血ガス分析(自発呼吸, room air):pH , PaCO2 , PaO2 , HCO3-, SaO2
骨髄病理:

の順番で書いてください。
「胸部X線写真:左3・4弓の突出を主体とした心拡大(CTR ●%), 肺うっ血, 両側胸水.
「胸部X線写真:肺野に異常影はない.心拡大はない.肋骨横隔膜角は鋭.」
「十二誘導心電図:心拍数 ●回/分、同調律、ST変化はない.心房細動と左胸部誘導の高電位差およびT波の平低化を認める. QRS幅は●ms」
「安静時心電図:正常範囲内」
「Holter心電図:総心拍数●/24hrs, 心房細動. 平均心拍数●/分(最高●/最低●)
心室性期外収縮:●個, 最大●連発の心室頻拍.」
「心臓超音波検査:左室の拡大とびまん性の壁運動低下を認める. LVDd ● mm, LVDs ● mm, IVS ● mm, LVPW ● mm, LVEF ● %, LAD ● mm,MR中等度(ERO:●),推定PA収縮期圧 ● mmHg.」

以下、何もない場合のテンプレート
身長 ●cm,体重 ●kg,体温 ●℃,脈拍 ●回/分,整,血圧 ●/●mmHg,胸部:肺音に異常はない.心音に異常はない.腹部:平坦,軟で肝・腎・脾は触知しない.下腿に浮腫はない.
尿所見: タンパク (-),潜血 (-).沈渣:赤血球多数,硝子円柱はみられない.
血液所見: 赤血球 ●万/μL,Hb ● g/dL,Ht ● %,白血球 ●/μL(NE ●%,LY ●%,MONO ●%,EOS ●%,BAS ●%),血小板 ●万/μL,PT ●%(基準 70~140),PT-INR ●(基準 0.80~1.15),APTT ●秒(基準 25~40),血漿フィブリノゲン ●mg/dL(基準 150~400),血液生化学所見: TP ● g/dL,Alb ● g/dL,AST ● U/L,ALT ● U/L,T-Bil 0.6mg/dL,BUN ● mg/dL,Cr ● mg/dL,Na ● mmol/L,K ● mmol/L,Cl ● mmol/L,免疫血清学所見: CRP ● mg/dL,プロカルシトニン ● ng/mL




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?