内科を志す医学生・初期研修医向けまとめ

はじめに

JOSLERという非常に煩わしそうな制度のせいで内科にしようか困っている先生方も少なくないと思います。初期研修の間に内科がいいなと思った場合にJOSLERは避けては通れませんが、早めに対応しておけば対策は可能です。
JOSLERを見据えてマッチングや初期研修期間中のローテートの計画を組む際に重要と思われる事項を記載してみますので、参考になればと思います。

※自分はまともなマッチングの経験がないので追記が必要な内容があれば連絡いただけましたらと存じます。ローテートの計画はかなり周到に計画して上手く症例が稼げた(と思っている)のでそちらの方はより参考になるかもしれません。

共通事項

JOSLERでは後期研修の間に1年間以上は他施設で研修することが要求されています。主たる研修施設が大学病院の場合はこの他施設研修の期間で市中病院に勤務してcommon diseaseを経験できる可能性がありますし、主たる研修施設が市中病院の場合には日々の診療で幅広い疾患群を経験することは容易です。

JOSLERでしばしば問題となるのは、狙って取りにいかないと経験できない疾患群が一定数存在することです。特に内分泌、血液、神経、膠原病は一般内科で遭遇する機会が少ない疾患群が多く含まれ、また外来で経験したとしても得られた情報のみで病歴要約まで持っていくのが困難となる場合が多いようです。

初期研修は初期研修で大変ですが、後期研修の方が業務内容的にも時間的にも余裕がない場合が多いため初期研修のうちに特に上記4科の病歴要約まで作成しておくか、症例をピックアップしておくことを強くお勧めします。

1. 将来内科を専攻する希望があり、専攻科が全く決まっていない

内科に進む可能性が高く、専門科が決まっていない場合、最も重視するのは後期研修で何科を選んでもいいように自由度を高くする必要があります。なので共通事項に記載している4科を優先的に選択の上、取れるだけ幅広く満遍なく各内科を研修するようにしてください。マイナー科や外科も魅力的ではありますが、2年間という期間は意外と時間がありません。こればっかりはどうしようもできないので、どうしても回りたい科でなければ内科を優先しましょう。

2. 将来内科を専攻する希望があり、専門科もほぼ決まっている

専攻する科を心に決めている場合には、初期研修でその科を長期間回る必要はありません。自分の専攻科以外で後期研修での経験が難しそうな科の研修を優先的にしてください。
例えば、血液内科や膠原病内科の同期・後輩は治療や原疾患に関連した様々な病態を主病名にすることで疾患群を稼いでいましたが、消化器内科や循環器など単一臓器を専門にしていた同期は、後期研修の症例に偏りが出やすいという感想だったようです(G調べ)。
あともう一点あるとすれば、人生で内科以外の科を研修できる期間は実は初期研修の間しかないです。後期研修先で幅広く疾患を取り扱う職場であれば、初期研修の間は割り切って自分が進む科と関連のある外科を勉強したり、一般内科として知っておきたい皮膚科や泌尿器科などのマイナー科をローテートしても全然いいと思います。

3. 内科と他の科で迷っている

この場合が一番時間の余裕がないです。しかし人生の岐路ですので、保険をかけて内科であれこれ、悩んでる科の関連であれこれ、などでローテートを組むと必ずどっちつかずになります。同期も後輩も同じようなことをして後悔したと言う声をしばしば聞きます。

初期研修の2年間で他の内科をみなくても後期研修の3年間でJOSLERの全疾患群を網羅することは不可能ではありません。志望科が決めきれない場合は何も考えず、思い切って迷ってる科と興味ある科を優先的に研修してください。

4. 後期研修における併診・共観症例の考え方

当施設JOSLER統括担当者からのコメントですが、注意事項として、併診・共観していた症例を使用する場合、主病名は併診依頼の原因となった疾患になります。糖尿病内科を例として挙げると、関節リウマチに対するステロイド投与時の血糖管理のみを診療した場合に使える病名はステロイド高血糖になりますし、心筋梗塞の間の血糖管理だけ行っていた場合には使える病名は糖尿病になるようです。カルテチェックが入らなければ問題になることはありませんが、将来的にランダムピックアップで経験症例の裏付けがされるようになった場合アウトになりますので、併診・共観症例はサマリーに名前が入っていたとしても使わない方がいいです。上記の注意点など考慮してローテート考えてみてください。

5. 初期研修病院の選び方

内科を目指す場合の初期研修病院の選び方としては、やはり神経内科、血液内科、内分泌内科、膠原病内科を診ることが可能な病院での研修が後々有利になります。初期研修病院でこれらの科がなかった場合には、後期研修先あるいは地域医療の1年間の研修期間で足りない疾患群を補わなければなりません。

終わりに

情報に不確定な要素が非常に多くなっておりますので、追加事項などありましたら適宜コメントいただけましたらと存じます。考え方は人それぞれで上記の考え方が全てではないので、信頼のおける先生と相談することが一番だと思います。内科を志すすべての研修医に幸あれ。

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