Re:ステージ! Unveiling PARTY!! ~Trium Tone×Archouchou~を振り返って



○トライアムトーン、アルシュシュ
Re:ステージ!がはじまってから8年、なんとこのタイミングで新たなユニットが2つも登場した。どちらもアイドルユニットであるが、既にRe:ステージ!には個性が強いアイドルユニットが5つもあり、実績も十分。アスタレーブはオルタンシアの後継ユニットとして活動を開始したが、トライアムトーンとアルシュシュにはバックグラウンドが何もない。個人的にはこの2つのアイドルユニットは既存のユニットに潰されるのではないか、そんな危惧すらあった。彼女達にはどのような役割が求められているのか、なぜRe:ステージ!はこのユニットを推し出したのかを考察していく。

○KiRaRe=リステの歴史
Re:ステージ!というコンテンツはKiRaReと共に成長してきたコンテンツである。新人ばかりのユニットがリメンバーズと共に様々な困難を乗り越えて、最終的にはアニメ化までたどり着いた。楽曲で言えば、何も無かった彼女達に、Startin' My Re:STAGE!!、リメンバーズ!、憧れFSと少しずつ色がついていき、367Daysを披露した時にはエモいユニットとしての地位を確立した。そして1つの完成形がOvertuRe:である。今回の新ユニットも新人声優を中心に構成されており、KiRaReがデビューした時と同じような状況である。色の無い彼女達がどのような成長を遂げるのかが焦点となる。
新ユニットに色がつくためには、様々なイベントが必要となり、また回数をこなすほどこの色は濃くなる。Unveiling PARTY!!前後のトライアムトーンやアルシュシュはお渡し会やライブを多く行っており、この点もKiRaReの1年目と同様である。しかしキャストもキャラクターも違うユニットなので、同じようなイベントを行ったとしても、最後にはKiRaReとは異なる色を持ったユニットになる。どの様な輝きを見せてくれるのかは楽しみであるが、今回は初めて色の付いたイベントであるUnveiling PARTY!!を振り返る。

○トライアムトーンとアルシュシュの初ライブ
まずは一言、小宮山さんが可愛すぎる!小宮山さんのダンスの大きさ、ポーズの豊富さ、会話の節々に出るポーズからアイドルを感じる。天真爛漫で純粋なキャラクターをしているのに、舞台の上ではかっこいい。そんな小宮山さんは私の心を明るくしてくれる太陽だった。ただ他のキャストも輝いていた。和泉さんは、さすがの一言。トークが本当にうまい。めちゃくちゃ先輩をたてる。必要の無いことをいってしまうところはご愛敬。Re:ステージ!の歴史も踏まえ、リメンバーズにどのようなパフォーマンスが求められているのかを理解し、挨拶ではこれを言語化する。一方ダンスでも空手やスパイの振り付けも激しいのに、小宮山さん同様かっこよくこなしてしまう。トークパートも含むライブ全体を通してプロフェッショナルなパフォーマンスに尊敬の念すら抱いた。齊藤さんは「佐倉未雨」というキャラクターとイニシャルや性格等被る点も多く、オーディション前から心から愛していた。今回のライブに対しての思い入れは人一倍であった。これが涙として語られたのがライブ最後の挨拶。リメンバーズから認められるために、仲間として受け入れてもらうために練習を必死に繰り返していたことを鑑みると、感謝の気持ちでいっぱいである。トライアムトーンはそんな気持ちの入った3人によるダイナミックなパフォーマンスを中心とする熱いライブであった。
一方アルシュシュはライブ前後で大きく印象が変化した。ライブ直前のお渡し会での平塚さんは、頭が真っ白になり何を言えばいいのかわからない状態となっていた。中林さんは小指と薬指を間違えるくらいには、あるいは逐一と都度を間違えるくらいには天然で、こちらもまた緊張していた。そんな二人の先頭に立つ吉竹さんは、男気があって可愛くてぶりっ子なお姉ちゃん。ダンスも二人に教えているらしく、その姿はまさにリーダー。今回のライブでも笑顔がはじけ、その存在が二人を引っ張っていた。泡白昼夢では吉竹さんはダンスがキレキレ。Merry go Wonderでは完璧なアイドルジャンプも披露する。アニメ声なのに声が強く、圧巻のパフォーマンスであった。ライブが進むにつれて平塚さんも笑顔が増え、中林さんの歌声もどんどんハスキーでかっこよくなっていった。3人ともライブをどんどん楽しんでいる姿にリメンバーズとしても嬉しくなっていた。自信を持って歌うようになったアルシュシュの3人は純粋な可愛さが詰まった楽しいライブであった。

○KiRaReとトロワアンジュのリーダー
牧野さんや日岡さんはこの2ユニットを引っ張る立場であり、お手本となるパフォーマンスが期待されていた。その答えはソロ曲でいきなり魅せた。Blooming,Bloomingや優しい風では、ステージ上での移動がほとんどない。歌と手振りだけで観客を魅了させる。そしてTime and Spaceでは全身で踊っているが、こちらもポジションは一切動いていない。この迫力は貫禄の成せる技であった。また牧野さんは相方の、日岡さんはライバルリーダーの楽曲を歌い上げている。反対の立場から歌っている姿からは、お互いの想いやプライドが強く表現されており、舞台上での存在感は圧倒的であった。
この存在感はトークパートでも発揮されていた。日岡さんは頼れる先輩という立場であり、ステージ上で安心を与えてくれる存在となっていた。その姿に和泉さんは思わずママと言ってしまうほどであった。
一方牧野さんはステージで見える形でのサポートは少なかったが、本番前に手紙やギフトをプレゼントしており、新ユニットが自信を持ってパフォーマンスができるように陰ながらサポートしていた。
この2人がいなければ、今回のライブはここまでの成功を収めていなかったのは間違いない。先輩ユニットのリーダーとしての立ち振る舞いに、1人のリメンバーズとして感謝の念を抱いた。

○ Unveiling PARTY!!
Re:ステージ!がお披露目という単語を使うことは珍しい。なぜならこのコンテンツは「もう一度」のコンテンツだからである。初めましてともう一度、この対極と言ってもいいこの2つの単語をどのように表現しているのかを考察していく。
今回のライブのトップバッターはアルシュシュであったが、なかなか静かな立ち上がりだった。ファンも体の準備ができていなかったこと、カラリコロリ、泡白昼夢というアルシュシュの内面性にフォーカスしており落ち着いた曲がスタートだったこと、アルシュシュの3人が緊張していたことなど、様々な原因が重なり合い、コールや声援は少なめだった。
一方トライアムトーンはいきなり強い色が出た。wantedでリメンバーズからコールが飛び交い、サンダーレスキューでは暴れまくっていた。強烈な色がついた瞬間である。かっこいい近代的な(電波的な、ボカロ的な)曲で激しいコール&レスポンスの応酬。テトラルキアに似てはいるがロック感はなく、またStellamarisの王者の雰囲気とも異なるユニットである。YOASOBIさんのアイドルを代表とする変則的な構成や転調の多さを特徴とする曲は、元々ボーカロイドの分野で若者の間のみで人気あったが、2020年代前半になり世間一般にも浸透している。トライアムトーンがこのトレンドを全面に出していくユニットであるということを考慮すると、これからとんでもない曲が出てくるのではないかという期待すら抱かせる。
アルシュシュは一部の最後に山場が待っていた。Merry go wonderである。とにかく合いの手が入れやすいことがこの曲の特徴である。大まかな1番の構成は、1イントロ→サビ→2イントロ→Aメロ→Bメロ→Aメロ→Bメロ→サビ。サビ後にクラップ、2イントロでは掛け声、BメロではPPPH、サビ前にまたクラップ、サビではFuFuu、Fuwa Fuwa。Aメロはソロパートで、各個人が楽しく可愛く踊って歌う。王道の可愛いさ、楽しさを詰め込んだ楽曲となっているが、Re:ステージ!には意外と王道の構成をしている楽曲が少ない。特にPPPHやFuFuu、Fuwa Fuwaに関しては、KiRaReやオルタンシアの中でも一部の曲にしか入らない。ステラマリスは掛け声、テトラルキアはクラップが中心となっており、トロワアンジュに関してはもはやコールという概念すら超越している。アルシュシュはMerry go Wonderではちゃめちゃに楽しく可愛い王道アイドルという路線を確立した。この色はKiRaReのエモを詰め込んだ、昔と今と未来を繋ぐというコンセプトであり、感動的なコード進行を中心とする楽曲とは大きく異なり、同じ王道アイドルではあるが差別化ができている。ライブで楽しく盛り上がる王道アイドルユニットという存在は、プリキュア楽曲を歌っている吉武さんとは特にイメージがマッチしている。少女から大人まで夢中になるあのプリキュアをも超える楽曲、それをアルシュシュが歌う。そんな未来のステージを見てみたい。

○他のユニットの色
ユニットが誕生するたびにそのユニットには色がつく。今回はトライアムトーンがサンダーレスキューで、アルシュシュがMerry go Wonderで色がついた。Re:ステージ!はいままで5ユニットで活動していたが、どの様にして色がついたのかを振り返る。ステラマリスは1stライブが初ライブであったが、既に色がついていた。王者としての隙のない圧倒的なパフォーマンスで、その存在感がステラマリスの色であった。テトラルキアとトロワアンジュは科学技術館サイエンスホールでの合同ライブの形であったが、1曲目でカナリア。最後もカナリア。強烈すぎた。トロワアンジュはSTORIA。もっと壮大で浄化される曲もあるが、ライブでの盛り上がりはこの曲が1番である。オルタンシアは恵比寿クレアートでのDream a gate。2人の内面性を重視したFlowersとは異なり、アイドルの曲であった。KiRaReはリメンバーズである。KiRaReの自己紹介曲であるにも関わらず、ファンとの繋がりについて歌っている。タイトルが既にエモい。
今回のライブでは、上記で紹介した各ユニットの色となった初期の曲も披露しつつ、新ユニットはしっかり3曲ずつ歌い上げ、自分たちの色もみせた。ユニットごとに色を見るには最高のセットリストであり、対比が鮮やかであった。またSTORIA、カナリア、リメンバーズ!というRe:ステージ!の中でも代表的な3曲を6人が歌ったことはアルシュシュ、トライアムトーンにとっては大きな経験となり、コンテンツとしては大きな収穫となった。
ここまでは初めましての部分にフォーカスした話をしていたが、このコンテンツはRe:ステージ!。続いてもう一度の部分について考察していく。

○歴史を紡ぎ、継承していくコンテンツ
前述の通り、各ユニットの色となった楽曲を数多く歌っているが、今回特に着目するべき楽曲は、君に贈るAngel Yell、リメンバーズ!、Dream a gateである。上記楽曲はKiRaReの2ndシングル、そしてオルタンシアの1stシングルであるが、リリース時期は同じ。どちらも重みのある楽曲である。そしてこの時はKiRaReとオルタンシアが合同でリリースイベントを実施した。恵比寿クレアートで実施したこのライブはリステ初のオルスタであり、初めはファンにも戸惑いがあった。しかし最終的にはオルタンシアに鮮やかな色がつき、KiRaReの輝きは一層明るくなっていったライブであり、リメンバーズが一帯となって作り上げたライブでもあった。この雰囲気を今回のライブでも感じ取ることができた。
この三曲の中で、Dream a gateは新ユニットでは無く、牧野さんと日岡さんで歌っている。先述の恵比寿クレアートのリリースイベントでは、牧野さんはKiRaReとしてオルタンシアのパフォーマンスを見ていた。しかし既にオルタンシアというユニットの活動は終了してしまった。オルタンシアというユニットの色を伝えていく必要がある。牧野さんはRe:ステージ!というコンテンツのリーダーとして、オルタンシアという仲間の気持ちも背負って、この楽曲を歌い上げる。そしてこの楽曲の最後の一言は「続くよDream stage」。オルタンシアは終わらないという強いメッセージで締めくくっている。これにはオルタンシアの今までの活動を思い返すと共に、これからオルタンシアの楽曲をどのようにRe:ステージ!の中で伝えていくのかという期待感すら抱かせた。
君に贈るAngel Yellは一部の最後に出演者全員で披露している。Re:ステージ!を背負ってきた牧野さんと共にKiRaReの楽曲、それもリメンバーズと共に紡いできた歴史のある楽曲を歌った。これは牧野さんがアルシュシュとトライアムトーンにRe:ステージ!というコンテンツへの参加を認めたことを意味している。
そして2部アンコールで披露したリメンバーズ!ではトライアムトーンとアルシュシュの6人だけがステージの上にたった。リメンバーズはRe:ステージ!ファンの名称だけで無く、スタッフや声優を含めた全員の関係性を表現した単語である。この輪に入るための自己紹介、これがリメンバーズ!という楽曲であり、この楽曲でトライアムトーンとアルシュシュはリステファンに受け入れられた。この姿はKiRaReが活躍し始めた最初期と同じ様な雰囲気であり、アルシュシュとトライアムトーンがリメンバーズ!という楽曲を通してKiRaReの活動を回顧させている。またKiRaReの中でも昔の楽曲を披露している姿は、KiRaReが辿ってきた道を追いかけている、そのようにも捉えられる。だがKiRaReとは違うユニットであり、リメンバーズ!の自己紹介パートでも各キャラクターやユニットの色がはっきりと出ている。KiRaReがアニメという成功を収めたが、トライアムトーンとアルシュシュがどのような活躍を見せるのかこれからが楽しみである。

○今回のライブでの挑戦
アスタレーブのリリースイベントではOvertuRe:を披露している。OvertuRe:という楽曲はKiRaReとしての1つの完成形であり、小澤亜季さんのオルタンシアというユニットとの決別、そしてアスタレーブとしての再出発を期して、立花さんや岩橋さん、そして新しくパートナーとなった篠原さんと歌い上げた。
しかし今回のライブで披露したのは同じ曲でもきらめきFutureの方である。アニメでは初めての大舞台で披露した楽曲であり、輝き始めた瞬間を描いた楽曲でもある。
この対比関係をまとめると、アスタレーブが再挑戦である一方、トライアムトーンとアルシュシュは初挑戦である。同じ曲ではあるが、ここでもライブのコンセプトがはっきりと浮かび上がっている。
リステ初のデュエット曲であるGROWING!!も夢に挑戦する姿やその想いについて歌っている。Sin Cityは初のユニット混合曲であり、歌詞からも今は全力で挑戦するというメッセージが詰まっている。この2曲も今回のライブのコンセプトには最適である。
個人的にはSin Cityという挑戦的な曲を新しいユニットに任せた運営こそが1番のチャレンジャーだと思った。
今回のライブの表向きのタイトルはお披露目会であるが、リメンバーズ向けには色、そして出演者やスタッフには挑戦というタイトルが相応しいライブであった。

○今後のトライアムトーンとアルシュシュ
今回のライブは、和泉さん曰く「ユニットの色を見せることができた」日であり、さらに言えば「色」がついた日である。最古参リメンバーズとしては、KiRaReを応援し始めた頃の童心を取り戻す、「好き」という感情がよみがえる、そんな素晴らしいライブであった。今後もKiRaReと同様に、ライブ、お渡し会、朗読、公開録音、(今のご時世厳しいとは思うが) 3000枚サイン等、様々なイベントを行って欲しいところである。そして最後にはこれらのイベントを通じてトライアムトーンとアルシュシュにどの様な色が見られるのかを期待したい。
またこのライブを通して、改めてKiRaRe6人でのイベントが欲しいとも思う。やはりユニットとしての活動が大事であり、これがこのコンテンツのコンセプトでもある。今後のRe:ステージ!がどのような展開をしていくのか、楽しみである。


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