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忙しい広告代理店営業が突然、源氏と平家にハマった理由①


そもそもの話、私は歴史という教科が苦手である。

世界史はかろうじて受験でも通ってきた道ではあるが、暗記手法は得意な反面、歴史の推移を動的に捉えるのが甚だ苦手である。
世界史の小論文が苦手の最たる例だ。あまりに苦手だったゆえ、あらゆる年号を全て語呂合わせで覚えまくり、小論文で出題される「◯世紀××国の対外政策について述べよ」等の問題に関しては、当該の世紀の年号を覚えている限りひたすら書き出し、試験中にそれらの事象を想像で繋ぎ合わせて勝手にストーリーを構築して回答していた。
意外となんとかなるもんである。だが、邪道だ。

高校の時、「おい、みんなでクラブを乗っ取ろうぜ」という盗賊の親分のような親友の掛け声に応じ、前年まで部員ゼロだった「歴史研究部」を総勢6名ほどで乗っ取ったこともある。
が、前述の通り、私は歴史がすこぶる苦手である。
「砂上楼閣」と名付けた、いかにも青春時代の美意識とロマン溢れるタイトルの季刊紙を編纂することが主な活動内容であったが、私は専ら「木元さんは心配性」という顧問の先生の日常のずっこけエピソードを面白おかしく描写したコラムを寄稿することに執心していた体たらく。

世界史でそれなら、いわんや日本史をや、である。政治把握力が皆無であるゆえ、とにかく動きやつながりといったものがどうしても把握できないのである。

そういうわけで、私は歴史に関わりのあるコンテンツを避ける傾向があった。

閑話休題、時は2012年。
私は忙しい仕事の合間の現実逃避として、通勤途中などにいわゆる「恋愛シミュレーションゲーム」なるものをスマホでプレイする日課があった。プレイは一日一話という制限があるので、ちょうどいい片手間の息抜きとなっていた。
とある仕事の閑散期、時間の余裕に任せアプリストアで新たなゲームを探していた時にそれは偶然目に留まったのだった。

「トキメキ幻想 恋する源平」


これまではははん、歴史ものだな、とタイトルを目にするだけで一顧だにしなかったゲームだったが、なにしろその時、私はヒマだったのだ。
…いっちょやってみるか。

期待ゼロで始めたゲームにここまでのめり込むとは、一体誰が想像し得ただろうか。

(つづく)

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