EUROMOMOで用いられている手法の説明の和訳

【モデル】

死亡率ベースラインは、過大な分散を補正したglmポアソンを使用してモデル化されます。このモデルは、ユーザーが定義した有効な過去の期間(最大5年間)にあてはめられますが、以下の期間は除外されます:

  • 遅延を補正する期間(ユーザーにより定義)

  • 2009-34週以降のデータ(これはH1N1パンデミックの影響を受ける可能性がある以前のデータを除外するためです。この条件は、EuroMOMOハブおよびパートナーとの合意により、疫学的状況に応じて将来的に変更される可能性があります)。

【アルゴリズム要件】

要件は、EuroMOMO パートナーの合意に基づいて定義されました。

アルゴリズムは以下のことが可能でなければなりません:

  • 全ての原因による週間観察死亡率、期待死亡率、超過死亡率を計算のこと

  • 合計、年齢層別であること

  • 様々な死亡パターンを持つ国々に適用可能であること

  • 過去の短い期間、少ないカウント数に対してロバストであること

  • データ送信の遅れを補正すること

  • 人口のサブグループ間の比較のための標準化された指標を計算すること

加えて、アルゴリズムは以下のことが可能であるべきだと考えます:

  • 国家レベル(NUTS 2)の性別毎の全原因週間観察死亡率、期待死亡率、過剰死亡率を計算すること

  • 選択した期間にわたる累積過剰死亡率の計算をすること

  • 過去の事象に対する遅延補正と検出の性能をテストするために、過去に遡って実行すること

【遅延の補正】

遅延補正の方法は、定義された期間中の死亡登録の割合が、行政が開かれている日数に比例するという仮定で実施されます。

遅延のモデルは、登録の有効な日付を含む過去の期間に従ってのみ計算されます。遅延の補正が必要な各週について、集計日に既に登録されている死亡の比率を計算し、登録期間(死亡から集計日までの期間)の「休業日」(行政機関が閉鎖されている)の数と傾向に従って、glm(二項族)を用いてモデル化します。

次に、この割合とポアソン族のglmを用いて既に登録されている死亡者数を用いて、総死亡者数をモデル化します。補正された死亡数は、ユーザーによって定義された補正する期間について予測されます。

重要なのは、集計が実施された曜日が、修正死亡数のモデル化において考慮されることです。水曜日に集計した場合、全ての過去データは、毎週水曜日に集計されたものとして分析されます。

妥当性:

遅延の補正は、報告遅延が非常に大きくても、データの送信がスムーズで規則的であれば、上手く機能します。一括報告や不規則なデータ送信がある場合、システムの性能は低下し、予想される変動ではなく、平均的な死亡率を予測する可能性が高くなります。CONTROLグラフは、情報の流れの規則性を評価し、遅延の補正を必要とする期間の長さを決定するのに効果があります。

【ベースラインのモデル化】

モデルを作成するために立てた仮説は非常に単純で、実際に起こることを説明することを目的としておらず、モデリングのための単純な原理を提供することを目的としています。

【仮説】

  • ヨーロッパ諸国における主な死亡パターンは、トレンドに従うポアソン分布の時系列であり、場合によっては1年の周期で正弦曲線を描いています。

  • 冬と夏には、主にインフルエンザ等の冬の感染症や夏の熱波に関連する追加的な要因によってこの過程が変化し、変動幅のある年間過剰死亡を引き起こしています。

  • 春と秋の一部は、過剰死亡につながる追加的なプロセスの影響を受けにくいので、これらの期間だけを用いて死亡率の主要パターンをモデル化することが可能であり、その結果、特定のプロセスが死亡率を増加させない場合に予想される死亡数を基準値とすることが可能となります。

  • 安定した時系列過程は、時系列の標本だけを用いてモデル化することが可能です。

【モデルの種類】

地域のパターンや特定の人口のサブグループに適合するように、4つの微妙に異なるモデルをユーザーが選択することが出来ます。トレンドは、直線または2つのノットを持つ線形スプラインによってモデル化さ れ、非線形のトレンドは、データセットに沿って等間隔でノットで結合する3つ の異なる線形セグメントを使用してモデル化されることを意味します。季節性は、周期1年のサインカーブでモデル化されますが、季節性のないモデルを設計することも可能です。

EuroMOMOで定義された年齢層については、デフォルトで以下のモデルが使用されます。

  • 0〜4歳、5〜14歳:トレンド=線形トレンド、季節性なし

  • 15歳から64歳、65歳以上、合計:線形トレンド、季節性25

【モデルの適合に使用する系列のサンプル】

ベースラインの適合には、超過死亡に繋がる追加過程が起こりにくいと想定される時期のみを選択しました。参加国の多くでインフルエンザや熱波の発生の変動に適応するため、これらの期間は系列全体と比較して比較的短く、15週目から26週目までを「春」、36週目から45週目までを「秋」と定義しています。

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