2024年米国副大統領候補討論会のファクトチェック

2024年10月4日 11:46

2024年10月1日、米副大統領候補のJ.D. ヴァンス氏とティム・ウォルツ氏が、恐らく唯一と思われる生中継とテレビ中継による直接対決を行ないました。

オハイオ州選出の共和党上院議員であるヴァンス氏と、ミネソタ州選出の民主党知事であるウォルツ氏は、外交政策、移民政策、医療政策その他のトピックを巡って、ほぼ友好的に意見を戦わせました。

AFP通信は、共和党のドナルド・トランプ候補と民主党のカマラ・ハリス候補の発言をそれぞれファクトチェックしました。

イランがイスラエルに向けて約200発のミサイルを発射した数時間後、討論会の最初の質問では、イスラエルによる報復攻撃を支持するかどうかが両氏に問われました。両者ともこの質問には直接答えず、地域を不安定化させているとして対立候補のボスを非難しました。

しかしながら、冒頭のやりとりの中でヴァンス氏は次のように述べました：「この攻撃を仕掛けたイランは、カマラ・ハリス政権のおかげで凍結されていない資産1000億ドル以上を受け取っている」

この主張は誤りです。

イランの核開発を制限するために2015年に結ばれ、翌年に実施された世界的な合意の一環として、これまで制裁下にあったイランの石油販売から1000億ドルが凍結解除されました。当時カリフォルニア州の司法長官だったハリス氏は、オバマ政権の一員ではありませんでした（アーカイブはこちら）。

トランプ大統領の強制送還計画に関する質問に答え、住宅費に関する別の質問にも答えたヴァンス氏は、米国には「2500万人の不法滞在者」がいると2度主張し、2021年以降の米副大統領であるハリス氏に再び因縁をつけました。

「我々は2000万、2500万人の不法滞在者を抱えている」と彼は発言しました。

彼は後に、「ティム、我々はカマラ・ハリスが何百万人もの不法入国者をこの国に入れたことを非難したい。2,500万人の不法滞在者がアメリカ人と希少な住宅を奪い合っていることが、この国の住宅価格を押し上げる最大の要因の一つなんだ」、と付け加えました。

ヴァンス氏の数字は、入手可能なデータからは裏付けられていません。

国土安全保障省は4月の報告書で、2022年1月現在、米国には1100万人の不法移民がいると推定しています（アーカイブはこちら）。

移民政策研究所（Migration Policy Institute）は2022年半ばの時点で約1130万人と推定しています（アーカイブはこちら）。

移民政策研究所のコミュニケーション・ディレクターであるMichelle Mittelstadt氏（アーカイブはこちら）はAFPの取材に対し、「いずれも2000万から2500万人の不法滞在者には遠く及びません」と語っています。

国境職員は、ジョー・バイデン大統領の政権下で、米国国境を不法に越えようとする移民に1000万回以上遭遇しています（アーカイブはこちら）。しかしながら、このような事件は不法滞在とは異なります。

ミネソタ州で、例外なく中絶を受ける権利を成文化する法律に署名したウォルツ氏は、トランプ氏が「避妊を受けることが不可能ではないにせよ、より困難になる」と述べたと述べています。

これは誤解を招きそうな言い方です。この計画では、避妊ピル等の標準的な避妊法が制限されることはありませんが、「医療費負担適正化法（The Affordable Care Act）」の下で特定の緊急避妊薬の無料適用を廃止することを求めています。

保守派のシンクタンク、ヘリテージ財団が作成した900ページ近い政策文書である「プロジェクト2025」を参照し、ウォルツ氏はまた、トランプ政権が「妊娠の登録簿」を作成すると誤った主張をしています。

連邦政府再編の青写真は、詳細な中絶統計の収集を求めてはいますが、妊娠の追跡を連邦機関に課そうとはしていません（アーカイブはこちら）。

医療保険に関する質問でヴァンス氏は、オバマケアとして知られる医療保険法（The Affordable Care Act）が「崩壊」していたとして、トランプ氏がそれを「救済」したと示唆しました。

この主張は誤りです。

トランプ政権は同法の廃止を繰り返し試み、2020年には共和党が主導する10以上の州が追及した裁判で、同法の破棄を連邦最高裁判所に対して求めました。最高裁は2021年にこの訴えを却下しています。

多くの公約にも関わらず、トランプ政権はオバマケアに代わる代替案を打ち出すことは一度もありませんでしたし、トランプ氏とヴァンス氏の2024年の構想も現在に至るまでありません。

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