飛行機雲が、1分以上持続しているからといって、それが「ケムトレイル」だと言い出すのはあたおかです➡持続性は大気の状態に依存します。

元パイロットが動画で主張しているように、「不自然なケムトレイル」は、「飛行機雲は1分以上続くことはない」という理由で、飛行機の「通常の結露跡」と区別することが出来るのでしょうか? いいえ、そんなことはありません: 飛行機雲が見える時間は、その飛行機が飛んでいる場所の大気の状態、気温、高度での湿度に左右されます。相対湿度が高ければ、飛行機雲の氷の結晶はより長い時間見え続けますが、空気が乾燥していれば、氷の結晶はすぐに目に見えない水蒸気に戻ってしまいます。「ケムトレイル」という用語は、陰謀論者たちが飛行機雲に適用した間違った呼び方です。

映像は、2014年7月15日にカリフォルニア州レディングで開催されたシャスタ郡監督会議(アーカイブはこちら)でのパブリックコメントです。Jeff Nelsonは、元民間航空会社のパイロットであり、飛行教官であると名乗り、33分45秒からマイクを握っています。別のアングルから撮影された2014年の映像は、2024年1月9日にgeoengineering.is.evilによって公開されたInstagramの投稿(アーカイブはこちら)で表面化しました。投稿には次のようなキャプションが付けられていました:

これ以上の証拠があるだろうか?土壌と大気の検査によって、これらの痕跡は自然なものではなく、毒であり、私達を殺そうとしていることが証明された!みんな目を覚ませ!!!

@look_up_toronto

#geoengineering #climatemodification #weatherwarefare #chemtrails #chemtrailspraying #weathermanipulation

What more proof do you need? Soil and air test have proven that these trails are not natural, they are poison and it’s literally killing… | Instagram
(画像出典:2024/01/15 月曜日 21:05:01 UTCに取得されたInstagramのスクリーンショット)

動画に重ねられたテキストには次のように書かれています:

元パイロットと科学者が、我々の空に散布された飛跡について語る!

GEO ENGINEERING IS REAL!!! (@geoengineering.is.evil) on Instagram | Ghostarchive

この映像は、2022年10月2日にgeoengineering.is.evilによって以前にも投稿されたもので、以前の映像のキャプションは、上のスクリーンショットでは切り捨てられていますが、次のように書かれています:

元パイロット
空に毎日撒かれている毒について暴露する

Former pilots, scientists and meteorologists share what they've seen in our skies. #StopGeoEngineering - - - Please SHARE this with your… | Instagram

このファクトチェックの対象範囲は、飛行機雲は1分以上続かないというNelsonの主張のみに焦点を当て、Instagramの映像の後半で別の男性が述べたコメントについては言及しません。Nelsonの発言の重要な部分は映像に含まれていますが、以下の括弧内の言葉はInstagramの映像からカットされたものです。Nelsonは次のように述べました:

化学物質ではなく飛行機雲が発生するのは、マイナス30度の冷たい空気のせいだ。30,000フィート前後の高高度が必要なんだ。その排気には二酸化炭素と水蒸気が含まれていて、それが氷の結晶になる。それが後ろに見える白い流れだ。この白い氷の結晶が温まり、溶けて煙が消える。
今我々が目にしているもの、私はまずそれを信じられず、空を見始めた。これは普通ではなく、自然なことでもなく、何かが起こっている。それが誰なのか、彼らが何故このようなことをしているのか、私には分からないが、私が証言出来るのは、これは自然なことではないし、普通のことでもないということだけだ。何か外部からの影響を受けているに違いない。ご清聴ありがとうございました。

GEO ENGINEERING IS REAL!!! (@geoengineering.is.evil) on Instagram | Ghostarchive

Nelsonの飛行機雲の形成に関する簡略化された説明の多くは、かなり正確なものです。多くの情報源では-40℃が引用されていますが、飛行機雲は高度が低かったり気温が高かったりすると形成されないのは事実です。氷の結晶は「煙が消える」ように「暖まる」必要はありません。Nelsonは煙という言葉を使っていますが、これは口語的に飛行機の背後にある氷の結晶の白い軌跡のことを指しているのであって、文字通りの煙のことを指しているのではないと理解されています。昇華によって、目に見える飛行機雲を作る氷の結晶(固体)は、溶けることなく目に見えない水蒸気の気体状態に戻ることが出来ます。飛行機雲が消えるのに、暖まる必要はないのです。

Nelsonの主張によりますと、通常の飛行機雲は数秒、長くても1分以上続くことはなく、それ以上続く飛行機雲は何か不自然な、あるいは異常な、外部の影響によって引き起こされた証拠であるということですが、これは間違いです。

飛行機が飛んでいる場所の空気の相対湿度こそが、飛行機雲が発生する方程式を構成する重要な要素なのです。この相対湿度は気象条件によって日々変化します。一日を通して変化することもあれば、パッチ状に変化することもあれば、高度によって変化することもあります。このため、上空を2機の飛行機が飛んでいて、1機だけが飛行機雲を残していることがあるのです。

グローブ・プログラム(Global Learning and Observations to Benefit the Environment)は、「科学リテラシーの促進に焦点を当てた国際的な科学・教育プログラム」で、4つの政府機関がスポンサーとなり、米国航空宇宙局(NASA)が管理しています。他の機関は、全米科学財団(NSF)、アメリカ海洋大気庁(NOAA)、アメリカ国務省(DoS)です。globe.govの記事《Science of Contrails(=飛行機雲の科学)》では、3種類の飛行機雲の名前と画像が紹介されています。飛行機雲の形成に関与する変数を示す技術的な図のPDFへのリンクが含まれています。

飛行機雲は全て同じ物質で出来ており、同じ方法で形成されますが、存在が持続出来る時間は異なります。飛行機雲の「寿命」の違いから、飛行機雲は、短命種、拡がりのない持続種、拡がりあり持続種の3つのグループに分けられます。飛行機雲がどのように形成されるかについては、飛行機雲形成ガイド(PDF)を参照して下さい。

The Science of Contrails - Clouds Protocol - GLOBE.gov

2000年9月、米国環境保護庁(EPA)は、NASA、NOAA、連邦航空局(FAA)と共同で、飛行機雲に関する6ページのPDFファクトシート(アーカイブはこちら)を作成しました。

湿度が高ければ(氷の凝縮に必要な湿度よりも高ければ)、飛行機雲は持続します。新しく形成された氷の粒子は、周囲の大気から水分を取り込んで大きくなり続けます。その結果、線状の飛行機雲が航空機の後方で長距離に渡って拡がります(図2及び図3参照)。持続的な飛行機雲は、幅数km、高さ200~400mに成長しながら数時間続くこともあります。飛行機が通過する際に発生する乱気流、飛行コース上の風速の違い、そして太陽熱の影響によっても、飛行機雲は拡がっていきます。

contrails.pdf (faa.gov)

Lead Storiesでは、飛行機雲とケムトレイルの陰謀に関する様々な主張に関するいくつかのファクトチェック(こちら)を発表しております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?