イーロン・マスク氏は、AI暗号通貨取引プラットフォーム「Bitsoft 360」を設立・推進したわけではありません。
イーロン・マスク氏がAI暗号通貨取引プラットフォーム「Bitsoft 360 AI」を発表したのでしょうか？いいえ、それは事実ではありません： このマスク氏の動画は、2018年9月7日にJoe Roganポッドキャストにゲスト出演した際のもので、その記録によりますと、マスク氏が「Bitsoft 360というAI暗号通貨取引プラットフォームを立ち上げました」と言ったことはありません。捏造された音声は、5年近く前のYouTubeの動画に追加されています。
Joe Rogan Experienceのエピソード1169は、2018年9月7日にライブ配信されました。2:37:02の長さの動画がYouTubeに投稿されています。歌手のRex Evansの認証済みアカウントは、2023年6月13日、キャプション付きの動画をFacebookに投稿しました：
🏃イーロンは、GBにいる全ての人🏃に、大銀行が完全に閉まる前にこの素晴らしい機会を利用するよう促しています。
滅多に目にしないけど
🏃
テスラ社の新たな秘密プロジェクトが発表された
🏃
そして、経済は崩壊しようとしている
このファクトチェックの執筆時点では、この投稿はFacebook上で以下のように表示されました：
この動画の捏造された音声の書き起こしは以下の通りです：
最近、私はBitsoft 360 AIというAI暗号通貨取引プラットフォームを立ち上げました。ソフトウェアを使えば、たった300ドルの投資で、毎日最大5,000ドルを稼ぐことが出来ます。だから、私は皆さんに参加することをお勧めします。このユニークな機会についてもっと知るには、このビデオをクリックして下さい。
Lead Storiesは、Googleの逆画像検索を利用して、《OCCUPY》の文字が入った黒いTシャツを着たマスクの動画と、YouTubeのRoganのポッドキャストを照合することが出来ました。Lead Storiesは、ポッドキャストの記録から「暗号通貨取引プラットフォーム」というフレーズと"crypto", "cryptocurrency"という用語を検索しましたが、これらの単語は一度も出てきませんでした。
Google検索でイーロン・マスク氏と Bitsoft360 に関する情報を検索しても、この会社がマスク氏によって立ち上げられたことを確認出来るものは何もありませんでした。
business2community.comの記事等によりますと、この会社は匿名で運営されており、FacebookやRedditの詐欺広告では、マスク氏だけでなく、起業家のジェフ・ベゾス氏（こちらはReddit）、リチャード・ブランソン氏、ジャーナリストのMartin Lewis氏がこの会社に誤って関連しているとしています。Bitsoft360.comのウェブサイトの概要欄には、創業者の名前も、会社役員の名前も書かれていませんでした。
nasdaq.comの記事には以下のように書かれています：：
イーロン・マスク氏はBitsoft 360を使用していますか？TeslaとTwitterのCEOであるイーロン・マスク氏は、存命中の最も裕福な人物の一人です。彼は以前、DogecoinやBitcoinといったミームトークンへの支持を表明しています。マスク氏が就任してから、Twitterが暗号通貨を展開するかもしれないという噂があります。
複数のRedditスレッドやオンラインウェブサイトを調査した結果、イーロン・マスク氏やテスラ社とBitsoft 360を結びつける情報は発見することが出来ませんでした。
Lead Storiesは、bitsoft360.comのウェブサイトのコンタクトフォームからBitsoft360に書き込み、これらの偽広告についてコメントを求めました。返信があれば、このファクトチェックを更新する予定です。
デスクトップ・コンピュータから閲覧した場合、Rex Evansが投稿したビデオは、リスナーにビデオをクリックして詳細を知るよう求めているにも関わらず、リンクがあるようには見えません。しかしながら、モバイル機器では、ビデオの表示が異なり、下に「もっと詳しく」のリンクがあります。
このリンクはbitsoft360.comではなく、mankindalike.topというサイトにあるスポーツ衣料品店のようです。(このストアは《mankindalike》とは呼ばれていません)。
このウェブサイトは、Gym Kingという実在のブランドのウェブサイト《https://thegymking.com/》（⇦悪用防止のため僕の方でリンクを外しています）からミラーリングされたものです。
これは、《cloaking》の事例と思われます。マスク氏の名前を使った似て非なる暗号詐欺に関する記事で、セキュリティ企業Avast社の説明により、以下にcloakingがどのように使われるかを示します：
隠蔽工作をしています。
このキャンペーンに使われたサイトは、サイトへのアクセスにVPNが使われているかどうかを検知し、使われていればeshopのコンテンツを表示することが可能です。eshopは機能せず、サイト訪問者は商品を閲覧することは可能ですが、カートに入れたり購入したりすることは出来ません。これは、不要なアクセスから詐欺ページを隠すため、またフィッシングハンターやセキュリティソフトウェアを回避するための措置として実施されています。
Lead Storiesは以前、マスク氏や彼の会社テスラの名前を使った偽の暗号通貨プロモーションに関するファクトチェック（こちら）をいくつか発表しています。
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