COVID-19ワクチン接種はニュルンベルク綱領に違反なんかしねえよ。
PolitiFactのファクトチェック記事
の和訳です。
「ワクチン・ポリス」を名乗る男が、ミズーリ州のウォルマート薬局を会場として実施されているCOVID-19ワクチン接種と接種作業担当者に対して、根拠のない主張をするビデオをFacebookに投稿しました。
8月16日にアップロードされたビデオは30分以上に及び、最初にChristopher Keyと名乗る男性がウォルマートの駐車場に車で向かい、車の中で自分を撮影しています。
「これからウォルマートに向かい、薬剤師に書類を提示して、自分たちのやっていることが人道に対する罪であり、ニュルンベルク綱領に違反していることを知らせ、すぐに身を引かなければ処罰される可能性があることを伝えます」と語っています。
ビデオの後半では、この男性に他の数人の支援者が加わり、彼らが店内を通り抜けて、従業員がサービスウィンドウを閉めている薬局エリアまで歩いていく様子が撮影されています。ビデオには、Keyが他のウォルマート従業員と対立し、脅している様子が映っています。Keyは、「自分はワクチン接種を受けるために来た」と主張しています。最終的に、Keyと彼の支持者は店を出て、警察が外で待ち構えています。逮捕された人はいないようです。
ワシントン・ポスト紙は、Keyが 『信用性に乏しい医学的主張をしてきた』と報じています。
Key氏のFacebookの投稿は、Facebookのニュースフィード上の偽ニュースや誤報に対抗するための取り組みの一環としてフラグが立てられました。(Facebookとのパートナーシップについてはこちら)。
COVID-19ワクチンを投与する薬剤師が「ニュルンベルク・コードに違反している」というKeyの主張はデマです。
ニュルンベルク綱領
Keyが言及しているニュルンベルク綱領は、米国の法律ではなく、第二次世界大戦後に合意された、戦争犯罪や人道に対する罪を犯した個人を起訴するための条約を指していると、ノートルダム大学ロースクールの法学部教授Mary Ellen O’Connell氏は述べています。その原則の1つは、「人間は自発的な同意なしに医療実験の対象となってはならない」というものです。
O’Connell氏によると、この綱領に基づいて、強制的な医療実験を行ったとして起訴された人物がいるが、このような強制的な実験は、武力紛争法に関する現行の条約、特に1949年のジュネーブ条約と1977年の追加議定書で明確に禁止されているという。
Keyの主張は、COVID-19ワクチン接種が医学実験であるという誤った前提に基づいているとO’Connell氏は述べています。
彼女は、COVID-19ワクチンは、自発的なボランティア参加者による治験を経て開発されたものであり、それらの臨床試験が安全性と有効性に関する法的・倫理的に許容される基準を満たした場合、FDAから緊急使用許可が与えられたと述べています。
「ワクチンを受けた人が実験にさらされることはありません」とO’Connell 氏は言います。「更に、誰もがワクチンの接種を強制されることはありません。医学的な問題や宗教的な教え以外の理由で拒否した場合、他の人を感染させる可能性のある特定の活動を合法的に禁止することが出来ます。それはあなたの選択であって、政府が強制するものではありません。」
ハーバード大学の法学部教授でブルームバーグ・オピニオンのコラムニストであるNoah Feldman氏も6月に、『ワクチンの義務化は実験的ではなく、ニュルンベルク綱領は連邦法でもテキサス州法でもないため、ニュルンベルク綱領に違反しない』と書いています。この投稿は、病院が従業員にCOVID-19ワクチン接種を義務づけたことに異議を唱えたテキサス州の訴訟に基づいています。
「しかし、このコードが実際には法律ではないという事実は、ワクチンに懐疑的な人達にとって何の慰めにもなりそうにありません。そして、原告が本当に主張したいのは、同意の欠如という点ではありません。彼らはワクチンが実験的なものであるという見解を広めたいのです」とFeldman氏は書いています。
PolitiFactが報じたように、ワクチンに懐疑的な人たちは、ワクチンについて言及する際に「実験薬」という言葉をよく使いますが、FDAはワクチンを「治験薬」と呼んでいます。
FDAはワクチンメーカーに対し、「治験薬 」の追跡システムのもと、「1ヶ月間隔で定期的に安全性報告書」を提出するよう指示している。
米国で販売されているCOVID-19の3種類のワクチンは、緊急使用許可を得て投与されています。
コロナウイルスのパンデミックのような公衆衛生上の緊急事態において、FDAは、特定の基準を満たし、病気を治療するための適切で承認された利用可能な代替手段がない場合、特定の製品に緊急使用許可を与える法的権限を持っています。その目的は、人々が緊急に必要とする時に、製品を迅速に入手出来るようにすることです。FDAでは、科学者や医師がこの認可を下すかどうかを決定します。
ノースウェスタン大学のSeema Shah教授(医療倫理学)は以前、PolitiFactに「緊急使用許可は完全な承認よりもハードルがやや低いが、データを総合的に検討した上で出されたものだ」と語ってくれました。
米国で販売されている3種類のCOVID-19ワクチンのうち1種類を開発したPfizer社とBioNTech社は、5月に16歳以上への使用を目的としたFDAへの完全承認申請を完了しました。FDAの決定は1月までに下される予定です。
Moderna社は、6月に完全承認申請の一部を提出し始めたと発表しました。Johnson & Johnson社は、まだ申請書を提出していないが、今年中に提出する予定だということです。(本記事は2021/08/16現在のことを書いています。)
【評定】
Facebookの投稿で、COVID-19の予防接種は 『ニュルンベルク綱領に違反している 』と主張しています。
ニュルンベルク綱領の一つは、『人間は自発的な同意なしに医学実験の対象となってはならない』というものです。このワクチンは、同意を得た人を対象にした臨床実験です。また、この投稿は、COVID-19ワクチンの接種が医療実験であるという前提で書かれていますが、専門家によるとそれは事実ではないとのことです。
私たちはこの主張をデマと評価します。
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