遺伝子組換えトマトと穀物が水中を泳ぐと主張する動画の元ネタは、CG技術を駆使したチャンネルの制作したものです。

SNS上にアップされた動画は、遺伝子組み換えのトマトや穀物が水の中を泳いでいる様子を映しているのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。TikTokで共有されている動画は、「CGIエフェクト」を使って動画を作成し、そうした動画は「娯楽専用」であるというYouTubeチャンネルから発信されています。動画には、映し出されたものが本物かどうか、どこから来たものなのかは一切書かれていません。ある園芸科学の教授は、この記事を書いている時点では、遺伝子操作されたトマトや小麦はアメリカに(少なくとも合法的には)存在しませんとLead Storiesに語っています。

2023年8月18日にTikTokに投稿された動画(アーカイブはこちら)に端を発するこの主張は、「オーガニックで自然な」製品と遺伝子組み換えによって作られた製品の違いを示すものだと主張するものでした。この投稿には次のようなテキストが添えられていました:

同胞よ!浄化の時だ

#duet with @RedPillDistributor #listenandlearn #think #iamthedonbreed ... | TikTok (archive.md)

本稿執筆時点では、投稿は次のように表示されていました:

( 出典:2024/06/26 水曜日 06:43:24 UTCに取得されたTikTokのスクリーンショット)

フロリダ大学の園芸科学教授であるKevin Folta氏(アーカイブはこちら)がLead Storiesに語って下さったところによりますと、この原稿を書いている時点では、アメリカでは「遺伝子操作されたトマトは市場に出回っていない」そうです。同様に、アルゼンチンで栽培されている一部の小麦(アーカイブはこちら)を除いて、遺伝子操作された小麦は存在しないとのことです。

この「魚の遺伝子」という主張は、「北極ヒラメの遺伝子を使ってトマトやイチゴの凍結を止めようとした実験に由来する古い言い伝え」です、とFolta氏は2024年6月27日に受領したEメールに書いてくれいます。

「それは上手くいきませんでした」と彼は言い、その製品が「商品化に近づくことはなかった」と付け加えています。

Lead Storiesは、TikTokの投稿で共有された映像がYouTubeチャンネルのViral Video Labから引用されたものであることを逆画像検索⇦リンクが切れています)(アーカイブはこちら)で突き止めています。このチャンネルの「概要」セクション(アーカイブはこちら)には、「現実にはありえないような動画を紹介しています」と書かれており、中には「コンピューターグラフィックス(CGI)効果」を使って作成されたものも含まれています。これらの動画は「娯楽専用」であると、このチャンネルは述べています。説明文は次のように続きます:

加えて、このチャンネルで紹介される動画にはCGI効果が含まれている場合があり、そのため、動画の内容が現実と一致しない場合があります。このチャンネルにはエフェクトを使用していない動画もあります。

ViralVideoLab - YouTube

どちらの動画にも編集の痕跡が見られます。例えば、泳いでいるはずのトマトと小麦が水の中を移動する際、波紋が周囲を取り囲んでいません。

TikTokの動画の上部には、2023年7月16日に投稿された「GMO遺伝子組み換え小麦は水に触れると泳ぐ!」と題された動画からのクリップが含まれていました(アーカイブはこちら)。動画のキャプションには次のように書かれていました:

今週末、我々は実に不思議な現象を発見した。遺伝子組み換えの小麦の穂を水につけると泳ぎ始める。この小麦の穂は、遺伝子組み換え穀物が栽培されている小麦畑から収穫されたばかりのものである。

Watch GMO Tomato Swim in Saltwater - The Fish Gene Effect Exposed! - YouTube

TikTokの動画の下部には、「遺伝子組み換えトマトが『魚の遺伝子効果』によって塩水の中で泳ぐ様子を映した」というタイトルの動画のクリップが含まれています。動画に添えられた見出しには次のように書かれています:

スーパーで売られている遺伝子組み換えトマトの一部を海水に入れるとどうなるか見てみよう!だから私はもうスーパーのトマトは食べない!

Watch GMO Tomato Swim in Saltwater - The Fish Gene Effect Exposed! - YouTube

Lead Storiesは、YouTubeチャンネルに関連する商品を販売しているViral Video Labのウェブサイト(アーカイブはこちら)を通じて問い合わせを行ないました。返答があれば、このファクト・チェックは更新される予定です。

2024年6月27日に届いた電子メールで、米国FDAはLead Storiesに対し、遺伝子組み換え食品に関するより詳しい情報について、この情報ページ(アーカイブはこちら)を紹介してくれました。

これが書かれた時点で、Full Factも同じ主張を検証していました。

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