ワクチン未接種だったおかげで、米国の乳幼児突然死率が減少したわけではありません。

米国CDCのデータによりますと、ワクチン接種を受けなかったために乳幼児突然死症候群(SIDS)は殆ど存在しなくなったと主張する投稿に反して、子供のワクチン接種率が低下しているにも関わらず、2020年に米国で乳幼児の突然死が大幅に増加したのだそうです。

Facebook Instagramの投稿では、2020年のCOVID-19パンデミック・ロックダウンの間、「何百万人もの乳児が予定されていたワクチンを接種しなかった」おかげで、SIDSが「殆ど存在しなくなった」と主張する文章の一節が取り上げられています。ワクチン接種が米国の乳幼児死亡率を高めている、と投稿者達は暗示しているのです。

Preventive Medicine誌に発表された研究によりますと、COVID-19パンデミックの最初の年は小児用ワクチンの接種率が低下し、3分の1の親が子供が予防接種を受けなかったと報告しています。

しかしながら、2020年にSIDSが「ほぼ存在しなくなった」というのは誤りです。

SIDSとは、乳児の呼吸が止まる原因不明の死亡のことで、多くは睡眠中に発生するとさ れています。原因は不明ですが、呼吸や 覚醒といった自律的な脳機能に影響を及ぼす問題が関係している可能性があります。SIDSで死亡した乳児には、最近の呼吸器感染症の既往歴もしばしば見受けられます

乳幼児突然死に関する米国CDCのデータによりますと、米国では2020年に約1,389人がSIDSで死亡しました。

医学誌《Pediatrics》に掲載されたCDCの研究者による分析によりますと、乳児死亡率全体は2020年に過去最低を記録しましたが、SIDSの割合は「2019年から2020年にかけて大幅に増加」しました。5年間減少していたSIDS死亡率は15%上昇し、2019年の33.3人から2020年に生まれた乳児10万人あたり38.2人となったことが判明しています。

この上昇がCOVID-19パンデミックの影響によるものなのか、診断の変化によるものなのかを理解するために、研究者らは、SIDSと原因不明、事故による窒息と寝返りによる窒息といった、より広いカテゴリーの乳幼児突然死(SUID)率を調査しました。

分析結果によりますと、SUID率は全体的に減少したが、2020年には黒人乳児で有意に増加しましたが、その理由は不明でした。

論文によりますと、SIDSの急増は診断法の変更によるものである可能性が高いとのことです。2019年、全米検死官協会は死亡診断書での乳幼児突然死の分類方法を変更しました

ワクチン接種とSIDSの因果関係を示す「証拠はありません」とCDCの広報担当者は電子メールで述べています。

しかしながら、呼吸器感染症との関連性から、呼吸器疾患に対するワクチン接種がSIDSの予防に役立つ可能性があると広報担当者は述べ、睡眠に関連した乳児の死亡を減らすために、AAPとCDCのガイドラインに沿って乳児にワクチン接種を推奨する米国小児科学会(AAP)の勧告を示しました。

【評定:誤解を招く表現がされています】

  • 米国CDCの分析によりますと、米国における乳幼児突然死症候群の割合は2020年に15%増加しており、ワクチン接種がSIDSによる死亡を増加させるという証拠はありません。

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