ゼレンスキー夫人が2023年9月22日に、ニューヨークでカルティエのジュエリーに110万ドル以上を費やした事実はありません(=カナダに滞在されていました故)。

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の妻であるオレナ・ゼレンスカ大統領夫人が、先日の夫の米国公式訪問に同行した際、ニューヨークでカルティエのジュエリーに100万ドル以上を費やしたのでしょうか?いいえ、それは事実ではありません: 買い物三昧とされたその日、ゼレンスカ夫人はカナダに滞在中でした。メディアはオタワとトロントでのウクライナ大統領夫妻の多忙なスケジュールを大々的に報道しました。

この主張は、2023年10月4日にX(旧ツイッター)の投稿(アーカイブはこちら)に掲載されていました。そこには次のように書かれていました:

🚨‼️🇺🇸 速報:「オレナ・ゼレンスカがニューヨークでカルティエのジュエリーに110万ドルを使い、販売員をクビに!」。
-> 少なくともお金はアメリカに残る 🤷‍♂️

XユーザーのLord Beboさん: 「🚨‼️🇺🇸 BREAKING: “Olena Zelenska spends $1,100,000 on Cartier jewelry in NYC and gets sales employee fired!” -> At least the money stays in the US 🤷‍♂️ https://t.co/zOZoFozRR2」 / X (twitter.com)

記事執筆時のXでの投稿は以下のようなものでした:

(出典:2023/10/06 金曜日 15:03:41 UTCに取得されたXのスクリーンショット)

エントリーには、2023年9月22日付のマンハッタンの5番街にあるカルティエのレシートのような画像が含まれていました。 そのレシートと思われるものには、オフラインでVISAカードが支払いに使われたことが示されていました:

(出典:2023/10/06 金曜日 14:20:02 UTCに取得されたXのスクリーンショット)

しかしながら、2023年9月22日、ゼレンスカ夫人がは別の国に滞在していました:カナダです。彼女の夫がその日の午後、オタワの国会で演説を行なったからです(アーカイブは)。記録された演説の録画を見ますと、ゼレンスカ夫人は演説の間ずっと議場に滞在されていたことが確認出来ます。例えば、夫が演説している間、黒いスーツに身を包み、ジャスティン・トルドー首相の右隣にお座りになっておられるのがこちらから確認出来ます:

(出典:2023/10/06 金曜日 17:57:16 UTCに取得されたYouTubeのスクリーンショット)

2023年9月22日は金曜日であり、その日の午前0時過ぎにAP通信のウェブサイトにアップロードされた映像のキャプションには、ゼレンスキー夫妻がオタワに到着したのはその数時間前、木曜日遅く、つまり2023年9月21日であったことがはっきりと書かれています:

(出典:2023/10/06 金曜日 18:12:23 UTCに取得されたAPニュースのスクリーンショット)

カナダ議会への出席に加え、ゼレンスカ夫人は複数の議事録の残される会合に参加しました。

2023年9月22日午後4時40分頃(アーカイブはこちら)、ゼレンスキー大統領夫妻はオタワでの滞在を終え、カナダのビジネスの中心地であるトロントに移動し地元紙が報じていますように(アーカイブはこちら)、夫人はゼレンスキー大統領と一緒に居る所を目撃されています。

カナダで丸一日人目に晒されていたゼレンスカ夫人には、2023年9月22日にニューヨークで直接買い物をする機会はありませんでした。

5番街にあるカルティエの店に立ち寄ったという話が本当なら、ファーストカップルが行くところ、特に海外旅行中はどこでもセキュリティー対策が施されていることを考えれば、気づかれないはずがありません。

その「領収書」に記載されていた3つの特定のジュエリーモデルは、カルティエのウェブサイトに掲載されていたものですが、その参照番号には、販売されたと思われる書類の参照番号に見られる「CR」がありませんでした。

カナダに旅行する前、ゼレンスキー夫妻はニューヨークワシントンD.C.を訪れています。カルティエに行ったという信憑性のある報告は一切ありません。

カルティエの店舗に立ち寄ったとされる話の発端は、《goorgeous.bb.jeanette》というハンドルネームのユーザーが、カルティエのインターンと思われる彼女がファーストレディの店舗訪問を提案した際、ゼレンスカ夫人が彼女に「キレた」と述べた、現在は非公開のInstagramアカウントでした。《gorgeous.bb.jeanette》は、カルティエの店は翌日彼女を解雇したと主張しました。(この記事を書いている時点では、同じ動画がYouTubeでまだ公開されています)

この女性は、その後どのようにしてゼレンスカ夫人が購入したと思われるレシートのコピーを入手し、オンラインで苦情とともに投稿したのかについては説明しませんでした。

彼女は自分のフルネームを明らかにすることもなく、信憑性のある報道機関に話をすることもありませんでした。

ナイジェリアのニュースサイト《The Nation》(アーカイブはこちら)が、動画の内容を独自に検証することなくInstagram上で紹介したことで、この話がネット上で評判になり始めたのです。その記事の最後の行には次のように書かれていました: 「広告」

ウクライナやその他の話題で概ねロシア政府の路線を宣伝している多くのロシア語メディアサイト(例えばこちら)も、この主張を繰り返しました。

以前、Lead Storiesは、ゼレンスカ夫人がパリで買い物をしたとされる同様の噂を論破しました

ゼレンスキーやその妻、或いはウクライナ政府高官が贅沢品や不動産を購入したという主張は、ウクライナが欧米の援助をどのように使っているかに疑念を投げかけるためにロシアが流布している物語の一例となっています。

Lead Storiesはカルティエ社に追加コメントを求めています。同社は文書で要請を認めましたが、それ以上の回答はありませんでした。回答が得られた場合、このファクト・チェックは適宜更新されます。

ウクライナの戦争に関連する主張に関する他のLead Storiesのファクトチェックは、こちらでご覧頂けます。


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