WHOはCOVID-19ワクチン接種が多発性硬化症の原因になるとは言っていません。
WHOは、COVID-19ワクチン接種が多発性硬化症を引き起こす可能性があると言ったのでしょうか?いいえ、そんなことはありません: WHOはCOVID-19ワクチン接種が多発性硬化症やその他の重篤な慢性疾患の原因になるとは述べておりません。世界中の公衆衛生機関がLead Storiesに対して、「多発性硬化症(MS)とCOVID-19ワクチン接種との間に明確な関連性はありません」と述べています。
この主張は、ポッドキャスターのGarrett Goldsberryが2023年8月24日にInstagramで公開した投稿と動画(アーカイブはこちら)に掲載されていたものです。投稿のキャプションには次のように書かれています:
記事執筆時のインスタグラムでの投稿は以下のようなものでした:
動画
Instagramの投稿にある56秒のクリップは、2023年5月29日にYouTubeに公開されたもっと長い動画(アーカイブはこちら)を大幅に編集したものです。この動画には、チャンネル登録者数280万人を超える人気ユーチューバー、John Campbellが出演しています。Campbellは医師ではなく、救急部を退職した看護師です。
彼のYouTubeチャンネルの「概要」ページによりますと、彼の博士号は「国内外の看護師のためのオープン・ラーニング・リソースの開発に焦点を当てた」ものです。2007年にチャンネルを開設して以来、彼は様々な医療トピックについて何千もの動画を投稿してきました。しかしながら、彼はパンデミックが始まって以来、主にCOVID-19に焦点を当て、イベルメクチンのような証明されていない 治療法を喧伝し、犠牲者の数を最小限に抑えるような誤解を招く死亡統計を拡散し、ワクチンの安全性に関するデータを誤って解釈してきました。
以下は、CampbellがInstagramに投稿した動画での発言内容です:
定義
Campbellは、多発性硬化症、ミエリン、CD4 Tヘルパー細胞といった、医療専門家でない人が聞き慣れない用語をいくつか用いています。その定義は以下の通りです:
多発性硬化症は自己免疫疾患であり、身体の免疫系が神経線維を覆っている物質であるミエリンを誤って攻撃する病気です。
ミエリンは神経線維を取り囲んで保護する脂肪物質です。
CD4 Tヘルパー細胞は白血球の一種で、免疫システムにおいて重要な役割を果たしています。
この細胞は、他の細胞傷害性T細胞を誘導して異物に対抗することで、身体を感染から守ることに貢献しています。
WHO
動画の中でCampbellが言及している「リリース」は、 WHOによるものでは一切ありません。映像で紹介されている研究は「WHO COVID-19研究データベース」には掲載されていますが、WHOの委託を受けたものでも、WHOの研究者が実施したものでもありません。つまり、この研究結果は世界的な公衆衛生機関の見解を代表するものではありません。
この研究の著者はチューリッヒ大学病院に勤務しており、その研究結果(EP0942)は《Multiple Sclerosis Journal》誌の2022年10月号に掲載されました。
2023年8月29日の電子メールで、WHOの広報担当者はLead Storiesに対し、「多発性硬化症(MS)とCOVID-19ワクチン接種との間に明確な関連性はありません」と述べています。この声明は更に、Instagram上の投稿で言及された研究についても触れています。次のように語っています:
WHOによりますと、COVID-19ワクチンは130億回以上接種されています。同機関によりますと、ワクチンはCOVID-19との闘いにおける重要な資産であり、安全かつ効率的であることが確認されているということです。
全米多発性硬化症協会
全米多発性硬化症協会の臨床革新・戦略担当副会長であるJulie Fiol氏によりますと、ソーシャルメディアへの投稿には、研究の背景となる重要な情報が含まれていないということでした。2023年8月30日にLead Storiesに送られたEメールの中で、彼女はこの研究の抄録から次の部分を強調しました:
メールの中で、Fiol氏は、この研究がInstagramやYouTubeの動画で主張されていることをいかに支持しないかを続けて説明しています:
米国CDC
CDCの予防接種安全対策室は、2023年8月29日にLead Storiesに送った電子メールの中で、ソーシャルメディア上の主張に対して次のように回答しました。それによりますと:
CDCは、ブースター接種も含め、6カ月以上の全ての人にCOVID-19ワクチン接種を引き続き推奨しています。
米国FDA
2023年8月30日、FDAからのLead Storiesに対する電子メールでの回答で、FDAは、「この動画での主張は、研究者が論文で報告した内容を不正確に反映しています」と述べました。回答は次のように続きます:
ワクチン有害事象報告システム
米国FDAが米国CDCと共催しているVAERSは、粗雑な早期警告システムとして運用されており、ワクチン接種後の特定の転帰を定量化するためのデータベースではありません。
インターネットにアクセス可能な人なら誰でも、VAERSの報告リストに報告を追加することが出来ます。このリストでは、ワクチン接種後に経験するあらゆる健康事象に関する未検証のメモを集計しているだけであるため、VAERS資料に基づいて不当な結論を出さないよう、VAERSへの一般アクセスリンクで明示的に警告しています。
このリストが示すのは時系列的な相関関係だけであり、より立証が困難な因果関係ではないからです。このリストは、警察署が警察活動の出発点として使用する「記録簿」に相当するものであり、終着点ではありません。
詳細情報へのポインタ
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