ナットウキナーゼはCOVID-19の「スパイク・プロテイン解毒剤」としての実績はなく、米国では投与量さえ定められていません--これは食品サプリメントです。

ナットウキナーゼはCOVID-19ワクチン接種による「スパイクプロテイン解毒」に効果があるのでしょうか?いいえ、それは違います: COVID-19ワクチンには毒性は認められていませんので、「解毒」する必要はありません。ナットウキナーゼは大豆のサプリメントで、米国ではモニタリングされておらず、2023年8月現在、専門家はその摂取を避けるよう勧めています。更に、証拠として引用された研究は、ヒトではなく実験室の細胞培養で行なわれたものであり、その結果はヒトには適用されません。専門家がLead Storiesに語ってくれたところによりますと、ナットウキナーゼがCOVID-19ワクチンや感染症、或いはそれに関連するスパイク・プロテインに影響を与えることを示唆する科学的証拠はないとのことです。

この主張は、2023年8月7日に公開されたInstagram上の投稿で共有されました。

以下は記事執筆時の様子です:

(出典:2023/08/09 水曜日 06:39:00 UTCに取得されたInstagramのスクリーンショット)

上記の投稿は、ナットウキナーゼがSARS-CoV-2のスパイク・タンパク質を効果的に阻害し、ウイルスがヒト細胞に感染することを可能にするというものです。

この主張は、ナットウキナーゼのサプリメントを販売するウェブサイトに所属する心臓専門医、Peter McCulloughが2023年2月21日に発表したSubstackブログの投稿(アーカイブはこちら)に基づいています。

彼のSubstackの投稿「ナットウキナーゼによるスパイク・プロテインの分解」において、McCulloughは「SARS-CoV-2のスパイク・プロテインに対するナットウキナーゼの分解効果」と題する2022年の研究を引用し、ナットウキナーゼが「SARS-CoV-2のスパイク・プロテイン」を分解することが可能であり、それが「COVID-19ワクチン無毒化の聖杯」になると主張しています。

2023年7月14日にInstagram上で共有された動画のキャプションで、McCulloughは次のように述べています:「ナットウキナーゼは、スパイク・プロテインを溶解する、我々が今知っている唯一の酵素だ」

ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の分子微生物学者・免疫学者であるKari Debbink氏は、2022年の研究結果はヒトには当てはまらないことをLead Storiesに明言しています。

「この研究は細胞培養で行なわれたものであり、ナットウキナーゼによる治療がワクチン接種や感染症においてどのような効果をもたらすかについては、何も分かりません」と、Debbink氏は2023年8月11日付の電子メールでLead Storiesに述べています。

「細胞培養でウイルスを分解出来る物質は数多くありますが、毒性、投与経路、投与量といった多くの理由から、生物学的システムで同じように作用する保証はありません」

引用された研究は試験管内、つまり実験室内で行われたものであり、ヒトで行なわれたものではありません。

アイオワ大学カーバー医科大学のStanley Perlman教授(微生物学・免疫学)は、SARS-CoV-2を含むコロナウイルス感染症の発症について研究しています。彼は、ナットウキナーゼが実験環境においてスパイク・プロテインを分解する可能性があることを確認しました。しかしながら、「分解が起こるためには、濃度が十分なレベルにあり、細胞内のスパイクタンパク質に局在している必要があります」

「科学的には合っていますが、主張が誇張されています」と、Perlman氏は2023年8月13日付の電子メールでLead Storiesに記しています。同氏は、ナットウキナーゼに含まれるプロテアーゼ、つまりタンパク質を分解する酵素は、実験室での結果(in vitro)をヒト(in vivo)で再現するのに十分な量「存在することはありません」と付け加えました。

「同様に、ナットウキナーゼがワクチンの有効性に影響を与えるという証拠(あるいは期待)はありません」とPerlman氏は述べました。

Lead Storiesが米国国立衛生研究所(NIH)のオンライン・データベースであるPubMedを検索したところ、100万もの生物医学・健康関連の学術タイトルが索引付けされており、ナットウキナーゼとSARS-Cov2に関する動物モデルや臨床研究は発表されていないことが判明しました。

「つまり、ナットウキナーゼがSARS-CoV2に感染したヒトに治療的に使用可能であるという主張は、現時点では科学的データに裏付けられていないのです」とDebbink氏は付け加えました。

HealthFeedbackは、WHOが認証した科学者の世界的ネットワークで、健康と医療に関するニュースのファクトチェックを行なっている機関ですが、同機関はMcCulloughの投稿に引用された研究結果は、「人体で起こることを反映していない可能性がある」と報告しています。

医師の指示がない限り、サプリメントは治療に使用しません

2023年8月11日に届いたLead StoriesへのEメールにて、 FDAは「一般の人々が、栄養補助食品として販売されている製品に使用されている成分を調べることが出来、その成分についてFDAが何を述べたか、またその成分についてFDAが何らかの措置をとったかどうかをすぐに見つけることが出来るウェブページ」である栄養補助食品成分ディレクトリを紹介してくれました。

2023年8月11日現在、ナットウキナーゼはFDAのディレクトリに含まれておらず、COVID-19治療薬としても認可されていません。NIHの栄養補助食品局も、そのウェブサイトにナットウキナーゼを掲載していません。

栄養補助食品は、ビタミンやアミノ酸のように、人の食事やライフスタイルに加えるものです。FDAは次のように警告しています

一般に、栄養補助食品と表示されていても、疾病の治療、予防、治癒、症状の緩和を目的とする製品は医薬品であり、医薬品に適用されるあらゆる要件の対象となります。

FDA 101: Dietary Supplements | FDA

ナットウキナーゼはFDAによってモニタリングまたは標準化されているわけではないため、サプリメントに含まれる品質や有効成分はメーカーによって大きく異なる可能性があり、用量を標準化することは困難です。

米連邦取引委員会は、ナットウキナーゼをCOVID-19治療薬として宣伝している企業や関係者書簡を送ったと、USA Todayが2023年7月21日に伝えています。専門家は消費者に対し、「今のところ、この製品には手を出さないように」とアドバイスしています

McCulloughはウェルネス・カンパニーの「最高科学責任者」

ウェルネス・カンパニーは、サプリメントや 「老医師が教えてくれない薬」を販売するインターネット上のオンラインショップです。McCulloughは同社のウェブサイトで「内科、循環器科の最高科学責任者」とされています。この会社のウェブサイトでは、「スパイク・サポート」というナットウキナーゼのサプリメントが約66ドルで販売されています

Lead Storiesはまた、ワクチンに含まれるCOVID-19スパイク・プロテインが人体のDNA修復を「ハイジャック」していることは証明されていないこと、CDCはmRNAワクチンの安全性に関する主張を2022年に「劇的に」変更したわけではないこと、ワクチンに含まれるスパイク・プロテインは人の精子の代わりにはならないことを伝えています。


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