銅のブレスレットが血糖値を下げ、糖尿病を治療する証拠はありません。

CopperHealの銅製ブレスレットは、血糖値を「大幅に下げる」効果があり、糖尿病を治療することが確認されているのでしょうか?いいえ、それは事実ではありません:米国FDAのLead Storiesに対する電子メールでの報告によりますと、この発表の時点では、こうした用途の製品は承認されていないとのことです。銅イオンが糖尿病の発症に関与しているという予備的な証拠があり、科学者が治療法を開発するのに役立つ日が来るかもしれませんが、この研究は主に摂取された銅に焦点を当てており、身につけるものではありません。銅を身につけることが健康に良いという決定的な証拠はありません。加えて、医療機関に相談せずに銅のブレスレットを身につけると、特定の健康状態にある人は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

この主張は、Ddhdstionというアカウントによって2023年3月9日にFacebookにシェアされた投稿に端を発し、CopperHealの銅製ブレスレットが血糖値を下げることが「有意に示されている」と示唆するものでした。投稿に添えられたコピーには、次のように書かれていました:

「私は糖尿病患者ですが、現在CopperHeal™を使用しています。血糖値を大幅に下げることが証明されています!」

どのように作用するのか見てみましょう:

https://www.facebook.com/100090168558455/posts/965912337886848/ 

以下は、本記事掲載時点の動画の様子です:

(出典:2023/03/13 月曜日 21:57:47 UTCに取得されたFacebookのスクリーンショット)

「FDAは、ブレスレットを装着することで血糖値を下げたり、糖尿病やその症状を治療することを目的とした、販売認可された装置を知りません」と、FDA広報担当のCarly Pflaum氏は述べています。2011年11月のメディアリリースで、同機関は、特に関節炎の治療のための銅製ブレスレットを、「有害である可能性があり、高価で、役に立つとは思えない」医療詐欺であるとして警告しました。

この投稿が掲載された26秒の動画のナレーションでは、正体不明の2人の録画が継ぎ合わされて、以下のような台本になっているようです:

銅で科学的に血糖値を下げよう。銅は体内のブドウ糖の代謝に影響を与えることが出来る。このブレスレットは、ブドウ糖を分解し、糖尿病を改善するための最良の選択だ。

[スクリーンに映し出された1人目の正体不明者] 浸透することが出来るんですね。

[ナレーション] 生体分子で、血糖値を下げる効果があるとか...自然にね。

[スクリーンに映し出された2人目の正体不明者] 銅は、体内のエネルギー製造において非常に重要な役割を果たすんだそうですね。

[ナレーション] 耐糖能に非常に優れており、血液中のブドウ糖を吸い取り、健康的なパターンを作るのに役立つんですよ。

https://www.facebook.com/100090168558455/posts/965912337886848/ 

上記の動画は、Facebookページ《Ddhdstion》によって共有され、その「ページの透明性」欄には、2023年2月16日に作成され、パキスタンから管理されている「服屋」であると説明されています。同ページの「いいね!」は3つ、フォロワーは6人であるにも関わらず、問題の動画は本誌発行時点で1万回以上再生されています。

動画の投稿の下にあるリンクには「もっと詳しく」というリンクがあり、ブレスレットを1個24.97ドルで購入することの出来るウェブサイト 《washcloth.shop》(アーカイブはこちら) に誘導しています。このウェブサイトは、大部分が別のサイト、uubeskinny.comからコピーされたものです。例えば、両ウェブサイトの「会社概要」欄には、次のように記述されています:

uubeskinnyへようこそ。強力な天然成分、古代の儀式、そして現代科学を組み合わせることで、斬新な体験ができる健康的な製品を作り出しています。

https://uubeskinny.com/ 

Washcloth.shopは、科学的な証拠を提示することなく、銅のブレスレットに関して一般的で曖昧な主張をしています。また、銅の効能を巡っては引用されていない「研究」を提示し、CopperHealブレスレット製品が治療反応を呼び起こすと暗に示しています。具体的には、washcloth.shopは、CopperHeal™ 糖減少治療ブレスレットが「効果的に糖レベルを調整し」、「抗炎症と抗酸化の効果をもたらす」と根拠なく主張しています。これは、「銅イオンを体内に放出する」ことによって行なわれるとされています。

このような主張は、少なくとも2022年3月以降、Facebookに投稿された広告で行なわれてきたとAFPは報じています。Lead Storiesは、washcloth.shopのウェブサイトから引用した様々な文章を逐語的にGoogle検索して、この製品が他の 疑わしい ウェブサイトでも販売されていることを突き止めました。

体内の銅レベルが病気の発症に関与している可能性があるという証拠はあるものの、銅を身につけることが健康に役立つと証明された決定的な証拠はありません。2016年2017年に発表された既存の科学文献のレビューによりますと、2型糖尿病と診断された人は、血漿と尿中の銅のレベルが高いことが示されています。

以下、銅と糖尿病の関連性を研究したいくつかの著名な研究を簡単に紹介します:

  • 2009年、日本の研究者は《Endocrine Journal誌》に、銅イオンがマウスの2型糖尿病の発症に関与している可能性がある証拠を見つけたと書き、銅の血清が今後の治療研究の分野になる可能性を示唆しました。

  • 2019年の《Scientific Reports誌》に掲載された研究では、体重は正常でも代謝性肥満と考えられる人の中で、銅血清と亜鉛の濃度のバランスが崩れると、糖尿病等の疾患を発症するリスクが高まる可能性があることが示されました。

    • 2020年、研究者らは《Current Medicinal Chemistry誌》に、「銅が過剰になると、2型糖尿病の発症と進行の要因である酸化ストレスが生じる」と記しました。

  • 中国の研究者は、《Frontiers in Public Health誌》に掲載された2022年の研究で、高血圧の中国人成人の血漿に見られる高い銅濃度は、糖尿病のリスク上昇と関連すると書いています。

  • Lancetの《eBioMedicine誌》に掲載された2022年の研究では、2型糖尿病の人は、脳の海馬領域で銅の濃度が「予想外に」高いことが分かりました。

  • 最後に、1型糖尿病の人も、2023年に《Metabolites誌》に掲載された研究によりますと、銅のレベルが上昇していることが明らかにされました。

ペースメーカー等の電子機器やインプラントを使用している人、インスリンポンプを使用している人、妊娠中の人、ニッケル等の金属にアレルギーがある人が銅のブレスレットを使用すると有害な可能性があるとFDAは警告しています

Lead Storiesは以前にも、銅のブレスレットやその他のジュエリーが健康に良いという主張を否定したことがあります;これらの記事は、こちらこちらこちらでご覧頂けます。

また、Lead Storiesは、黒ゴマが「100日後に全ての慢性疾患」を治癒することは不可能であることを報告し、「ハーブ、水、ジュース」の90日間ダイエットで糖尿病を解消出来る証拠はないことを確認し、コーラやペプシを飲んでも睾丸は大きくならず、テストステロンを増加させることもないと明らかにしたこともあります。

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