【あたおか】VAERSデータは、COVID-19ワクチンが「1,000接種につき1人」を死亡させていることを示す「明確な」証拠にはなりません。

ワクチン有害事象報告システム(VAERS)から収集されたデータは、COVID-19ワクチンが「1,000回の接種につき推定1人を死亡させ」、その結果「676,000人のアメリカ人が死亡した」ことを証明しているのでしょうか?いいえ、それは事実ではありません: この主張は、COVID-19の誤報を広めたことで知られる人物が、医学専門家が明確に禁じている方法に則ってVAERSのデータを使用したブログ記事に端を発しています。VAERSはCDCが運営に携わっている自己報告型のデータベースであり、「新しく、珍しい、または稀なワクチン有害事象」を検出するための報告メカニズムとして機能しています。VAERSは、ワクチンが健康問題を引き起こしたかどうかを判断するためのものではありません。加えて、ワクチン副反応は保健当局によって分類された死因として挙げられているわけではありません。

この主張は、Lead Storiesが以前にファクトチェックを行なった、COVID-19誤報の拡散者として知られるSteve KirschによるSubstackブログ(アーカイブはこちら)に端を発しています。2023年8月6日に投稿された記事には次のように書かれています:

VAERSのデータははっきりしている:COVID-19ワクチンは1000回接種につき推定1人を死亡させている(676,000人のアメリカ人が死亡)。

COVID-19ワクチンが致死的であることを示すVAERSクエリを実行するのに約30秒かかる。このことは、「発症曲線」の形状から一目瞭然である。推定676,000人のアメリカ人が死亡している。

VAERS data is crystal clear: The COVID vaccines are killing an estimated 1 person per 1,000 doses (676,000 dead Americans) (kirschsubstack.com)

このブログを書いた時点では以下のように表示されていました:

(出典:2023/08/06 日曜日 23:55:00 UTCに取得されたSubstackのスクリーンショット)

VAERSは、ワクチンが健康問題を引き起こしたかどうかを判断するためのものではありません。VAERSは自己報告型のデータベースですから、誰もが想定される出来事を報告することが可能であり、その報告は医学の専門家によって検証されることはなく、 「新しく、珍しい、または稀なワクチン有害事象」を検出するためのメカニズムとして機能します。VAERSは健康事象の傾向監視装置として使用されていますが、死亡例はありません。ワクチンの副反応は、米国保健当局が追跡している死因のカテゴリーには含まれていない、とCDCの広報担当者はLead Storiesに語っています。

VAERSデータは追跡ツールであり、因果関係を証明するものではありません。

VAERSは、米国CDCと米国FDAが共同で管理する「早期警告システム」として機能し、米国で使用許可された後のワクチンの安全性を監視するものです。(「有害事象」とも呼ばれる)ワクチン接種後に起こりうる健康上の問題は、誰でもVAERSに報告することが可能です。このため 、VAERS報告書は、医療専門家によって独自にレビューされ、確認されたものではなく、ワクチンが原因となった事象を証明することは不可能です、とCDCの広報担当者はLead Storiesに語っています。

「ワクチン接種後にVAERSに報告された死亡例が、ワクチン接種による死亡例と同じであるかのような発言は、科学的に不正確であり、誤解を招き、無責任なものです。COVID-19ワクチンは、米国史上最も厳しい安全性監視を受けております」、と同機関の広報担当者は2023年8月8日付けの電子メールで述べています。

「現在までのところ、CDCは、ヤンセンのワクチン接種後に確認された9件のTTS(血小板減少症候群を伴う血栓症)死亡例以外には、COVID-19ワクチンが死亡の原因或いは一因となっていることを示すような、予防接種後の死亡例の異常或いは予期せぬパターンについては検知しておりません。CDCは、対象者全員が予防接種を受けることを推奨しています」

Kirschは「1,000回接種につき1人」という主張のためにVAERSのデータを使用しましたが、このデータは実証的な方法で収集されたものではなく、医療専門家によって実証されたものでもありません。

専門家は、COVIDワクチン接種の利点は潜在的なリスクを上回り、アナフィラキシー、心筋炎、心膜炎、ギラン・バレー症候群、TSSといった予防接種後の重篤な反応は稀であることに同意しています。CDCは次のように書いています

COVID-19ワクチン接種後の死亡報告は、COVID-19ワクチンに対する社会的認知の高まり、COVID-19ワクチンのFDA認可の下で医療従事者がCOVID-19ワクチン接種後の死亡を(ワクチンが原因かどうか不明であっても)VAERSに報告するよう求められていること、CDCのワクチン提供者契約における報告要件等、複数の要因が関与しています。COVID-19ワクチンの接種を受けている人は、COVID-19、及び、その合併症で死亡する可能性は低く、COVID-19以外の原因で死亡するリスクはワクチン未接種の人よりも高くありません。

Selected Adverse Events Reported after COVID-19 Vaccination | CDC

VAERSにおけるCOVID-19ワクチンの追跡に関する更なる情報について、CDCはLead StoriesにSelected Adverse Events Reported After COVID-19 Vaccination | CDCを紹介しており、選択された有害事象の下に記載されているCDCの科学的発表が全て含まれております。

計算が合いません

Lead Storiesが以前報じたように、ワクチンの副反応は保健当局が記録する死因のカテゴリーには含まれておらず、死亡者のワクチン接種状況や記録も追跡されていません。

CDC国立保健統計センターは毎年死亡統計を追跡しています。例えば、2022年に発表されたデータでは、3大死因は心臓病(699,659人)、癌(607,790人)、不慮の怪我や事故(218,064人)であることが報告されています。

同様に、2021年の死因のトップも心臓病(695,547人)、癌(605,213人)、COVID-19(416,893人)でした。

2020年主要死因も心臓病(696,962人)、癌(602,350人)、COVID-19(350,831人)でした。

この「676,000人のアメリカ人の死」というKirschの外挿は、実際の数字と比較すると単純に辻褄が合いません。

Lead Storiesは、2021年と2022年に「ワクチンの副反応」が65歳未満の米国人死亡原因のトップになったという主張、COVID-19ワクチンが死亡リスクを増加させることをメディケアのデータが示しているという主張等、Kirschの他の虚偽の主張を論破してきました。

COVID-19ワクチンと死亡に関する他のLead Storiesの論破はこちら

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