夜の路上でのシマウマとライオンの動画は、2023年のフランス暴動より前から存在していた動画です。

動物園の動物達がパリの通りを徘徊しているとする(偽の)動画は、最近のものではなく、また2023年6月と7月にフランスで発生した暴動とは無関係のものです。

「パリ動物公園やMénagerie、パリ植物園の動物園の動物達が、フランスの首都やイル・ド・フランス周辺の市町村の通りを徘徊している事実はありません」、 と同公園の広報担当者は述べています。

Ménagerie:日本語にし難いのですが、動物園のように動物が生活している自然な姿を見学する施設ではなく、サーカスの玉乗りする熊とか象、パン君みたいなチンパンジーを見せる見世物小屋の意味です。

ソーシャルメディア利用者により、動物が夜間に市街地を徘徊している様子を映した無関係の映像がまとめられ、「フランスの暴動で、多数の動物園の動物が解き放たれていることが報告されている」というキャプション付きでFacebook(こちら)やTwitter(こちら)に投稿されています。

しかしながら、この動画は6月27日にフランスで起きたアルジェリア系とモロッコ系のティーンエイジャーの警察による射殺事件(こちら)を巡る暴動よりも前のものです。

車の車載カメラから撮影された疾走するシマウマの映像は、2020年4月11日に公開されたツイート(こちら)から辿ることが可能な映像でした。当時《Le Parisien誌》が掲載したオンライン記事には、パリ郊外のChennevières et Champigny-sur-Marneで、サーカスの動物達が囲いから脱走した後に起こったエピソードとして紹介されています(こちら)。

この編集に含まれる映像は、道路脇のライオンを映しているとされ、音声にはビープ音が聞こえ、パリ北郊のサン・ドニと表示されていますが、YouTubeにアップロードされているものを見ますと、少なくとも2020年2月からネット上に存在した物のようです(こちら)。

2023年の同じ動画のファクトチェックで、ニュースメディア《Libération》は、2020年2月にサン・ドニで実際に野生動物が目撃された報告はなく、不鮮明な動画に映っている動物がライオンかどうかも不明だと報じています(こちら)。

ゾウの映像はネット上では確認出来ませんでした。

パリ動物公園(こちら)の広報担当者であるMathieu Descombes氏は、7月4日付の電子メールで、フランスで野生動物が自由に歩き回っていると主張する動画について同機関は認識しており、「誤解を招く情報を伴うこれらの映像は、数年前にフランス国内または海外で起きた事件の際に撮影されたもので、動物園の動物ではありません」と述べています。

メールでの声明にはまた、こうも書かれています: 「国立自然史博物館は、パリ動物公園や Ménagerie、パリ植物園の動物園の動物がパリやイル・ド・フランスの市街地を徘徊していないことを保証します」

ロイターでは以前にも、警察の発砲に端を発した2023年6月から7月にかけての抗議行動中にフランスで解き放たれた動物が映っているとされる他の映像を取り上げたことがあります(こちら)、(こちら)、(こちら)。

【評定】

誤りです。2023年にパリの動物園で暴動が発生し、動物が解き放されたという証拠はありません。動画は事件より前のものです。

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