【誤解しないで】 福島原発付近のベージュ色の海面は処理水排出とは無関係です。
トリチウム水は無色です。
海岸線の変色は、放流前から観察されていた土砂の攪拌によるものと思われます。
8月24日、日本が福島第一原子力発電所の廃水処理水の放出を開始した日、日本のあるツイートは、近くの海水が「普通ではない」色をしていることを指摘し、海が既に汚染されていることを仄めかしました。
投稿には、日本語で「放出後」と記されたベージュがかった海水を示す画像が含まれていました。これは、「放出なし」と書かれた防波堤内のターコイズブルーの海水と対照的でした。
このツイートは、記事執筆時点で1,600件以上のエンゲージメントを獲得し、微博(例えばこちらやこちら)やその他の中国のウェブサイトで拡散し、合計で22,000件以上のエンゲージメントを獲得しました。
日本の30年排出計画は、近隣諸国、特に中国で政治的、環境的、社会的な懸念を巻き起こしています。
しかしながら、この主張は誤解を招くものです。
ベージュ色の痕跡がある海水は、排水が始まる前から定期的に目撃されていました。
当日は、テレビ朝日(ANNニュース)をはじめとして、多くの報道機関が原発の排水を生中継しました。YouTubeにアップされたライブストリーミングの録画では、放水前(例えば、放水22分前と放水12分前)に何度も同じパターンで水が変色しているのが確認出来ます。
防波堤を囲む水の変色は、放出の22分前のANNニュースのライブストリームでも同じパターンで見ることが出来ます。
Annie Labはまた、Google Earth Proを通じて、2011年3月と2019年3月に撮影されたものを含む、長年にわたる原発防波堤の外側の様々なレベルの砂色調の海面変色を示す、過去の衛星画像を多数見つけました。
以下の共同通信が2016年11月に撮影したAlamyの写真や、読売新聞が2021年10月に撮影した写真といった他のストック画像にも、同様の変色パターンが見られます。
香港大学地球科学部の地球化学者で助教授のChristelle Not博士によりますと、変色は、降雨後の流出水に含まれる土のような水中の堆積物、或いは水中に生息する小さな生物であるプランクトンの繁殖が原因である可能性があるとのことです。
「どちらの原因も自然なものであり、海洋動物への影響はありません。放出された廃水は、これらのどの原因も引き起こさないはずです」とNot氏は述べています。
彼女は、汚染水がそれ自体で堆積物を含むことを除けば、「放出された水は色合いを変えることはあり得ません」と指摘しました。
Annie Labは、福島第一原子力発電所を運営する東京電力による2022年の実施計画を調査しました。
この文書には、海岸線付近の地質組成に関する情報が含まれています。原発の防波堤とそれに隣接する海底は、大小様々な砂、岩、瓦礫に囲まれているようです。
この文書の図には、長さ1kmの処理済み廃水海底排出トンネル(青で表示)の位置も示されており、海面変色の大部分からは離れているように見受けられます。
IAEAの福島原発に関する安全審査報告書によりますと、汚染された廃水は高度液体処理システム(ALPS)で処理されており、それは厳格に監視されたポンプと濾過システムで、一連の化学反応を利用して汚染水からトリチウム以外の62種類の放射性核種を除去しています。
トリチウムは主にトリチウム水(HTO)として原子力施設から放出されるとのことです。カナダ原子力安全委員会によりますと、トリチウム水は無色無臭だそうです。
トリチウムを含む廃水は、更に100倍以上の体積の海水で希釈され、日本の安全基準で許容されるトリチウム濃度の1/40(2.5%)まで希釈されてから排出される予定です。
IAEAによりますと、トリチウムは自然界にも存在し、太陽からの直接降着だけでなく、宇宙線、太陽コロナ質量放出に由来する高エネルギー粒子によって大気中で生成されます。
IAEAは、地球上に200万テラベクレルのトリチウムが存在すると推計しています。福島原発で1年間に放出される処理水中のトリチウムの限界は22テラベクレルです。
IAEAの審査では、放出された水が人や環境に与える放射線学的影響は無視し得るものであると結論づけられ、世界中の原子力発電所が低濃度のトリチウムや放射性核種を含む汚染処理水を定期的に環境に放出していることに言及しました。
2011年3月、マグニチュード9.0の東日本大震災は津波を引き起こし、日本の沿岸部を広範囲に渡って破壊しました。福島第一原子力発電所は、稼働中の原子炉3基と燃料プールの冷却機能を失うという大きな被害を受けました。
日本ファクトチェック・センターも同じ主張を論破しています。
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