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人工芝の下地は砕石路盤層のみで良いのですか?

スポーツに供する人工芝の下地はアスファルト舗装が基本なり!


先日のこと、あるお客様から「人工芝の下地って砕石路盤層のみで良いのですか?」との質問をもらいました。

でもね、その質問には「赤信号でも渡っていいのですか?」「いやダメです。青信号になってから渡って下さい」というように、単純な答えがあるわけじゃないんです。

うん、我ながら上手い例えですね。笑

そこで質問には質問で返すんです。

「どのような目的で使うのですか?」

とね。実に単純な質問返しなんですけどね。

「ラグビーやったり、サッカーやったりするんです」

「今の天然芝グラウンドはメンテナンスが行き届かず荒れ放題なんです」

「使い勝手を考えて人工芝にすることにしました」

そこで他社から提案書も出してもらっていたようですが、人工芝の下地が砕石路盤となっており、その際の説明によると「コストを引き下げることも出来るし、砕石路盤で十分いけますよ」とのことだったらしいです。

そんな説明に少し疑問に思った担当者から質問をもらった、という次第ですね。

天然芝グラウンドと人工芝グラウンドの比較は今回の主題ではないので割愛するとして、人工芝グラウンドの下地のあり方です。

ついでに、排水計画の話しも大事ですが、これも今回の主題ではないので割愛しますけど。でもここも大事ですからね。

さて、ラグビーやサッカーといった激しいスポーツで使うこと、これから長きに渡って使っていくこと、そして屋外のグラウンドであること、これらを考えるなら、答えは明白です。

「いやいや、人工芝の下地には5センチのアスファルト舗装層を設けて下さい。しかも、透水機能のある開粒度アスコンですよ。予算が全く合わないのであれば他の方法もありますので。わが社でも一度見積もり含めた提案書を出しますので」

と伝えました。

人工芝の下地には5センチのアスファルト舗装層を設ける理由は以下の通りです。

「20年以上耐えられる下地を構成しておくこと」

人工芝はその種類や使われ方、メンテナンスに応じて期間は異なるものの、8年から12年程度での張り替え更新がありますが、この時に下地改修費用まで発生させないことです。短期間で改修を終わらせることです。

そして、良好なプレイコンディションを長きに渡って維持することにあります。

そういう視点では、やはり砕石路盤層では問題があります。その最たるものが「激しいスポーツで路盤層が崩れてしまう」ということです。崩れないように砕石路盤層をガチガチに固めてしまっては、今度は排水性に問題が生じてしまいます。

凸凹な人工芝

ほんと、人工芝は下地の平坦性や排水性、透水性が大事なんですね。

そのための基準。そういった内容は、屋外スポーツ施設の建設指針(編集・発行:公益財団法人 日本スポーツ施設協会屋外施設部会)にも記されていますけどね。

下地の材料は開粒度アスファルト混合物を基本とし、 1層の場合は50mm以上、 2層の場合は70mm以上とする。 なお利用目的によっては開粒度アスファルト混合物を省き、 路盤層の上に施工する場合もある。

屋外スポーツ施設の建設指針

冒頭の質問に質問で返した通り、利用目的ありきですが、お施主様の予算の都合で、やむを得ず砕石路盤層の上に施工する場合でも、そういったことを説明しておくことは最低条件ですね。

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