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読書感想文#2 島を救ったシェフの奮闘日記

どうも!上西です。前回の投稿から一か月以上が空きましたね。色々ありすぎたので、今度まとめようと思ったりしてます(笑)。
今回の読書感想文は「島を救ったキッチン・シェフの災害支援日記 in ハリケーン被災地・プエルトリコ」です。実はこの本、二週間前に電子書籍で購入していたのですが、読み終わるのにかなり時間をかけました…。
そして偶然にも一週間前のゼミで山縣先生が紹介していたので、しっかり読み込みました!!


・島を救ったキッチン・シェフの災害支援日記 in ハリケーン被災地・プエルトリコ

この本は、2017年9月に発生した「ハリケーン・マリア」の被災地であるプエルトリコに、シェフのホセ・アンドレスが島のシェフたちとともに二か月にわたり、困難を克服しながら、島の被災者たちに「本物」の食事を提供した、ホセ・アンドレスさんによる日記です。内容がてんこ盛りなので、自分自身が大切だなあと思った箇所に焦点を当てて書いていきたいと思います。
と、その前に…


・ホセ・アンドレスさんについて

本書の中でも記述されているのですが、よほどのグルメか外食産業の関係者でない限り、彼にピンとくる人はいないと思います。
ホセ・アンドレスさんはアメリカで高級レストランを何軒も経営し、メディアに登場したり、大学で講義も行う一流シェフです。オバマ前大統領から人文科学勲章を授与されたり、『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」に二度選出されていたりと、とにかく調べればたくさんの功績があるシェフです。どんな料理作るんだろう、食べてみたい。
そんな一流シェフである彼は、NGO団体である「ワールド・セントラル・キッチン」の創設者、代表者でもあります。
本書では、そんな彼がプエルトリコで見たもの、災害地で本当に必要とされているニーズとは何か、そのニーズを満たすために彼が起こした行動、またアメリカの公的機関や巨大なNGOの怠慢や失策、彼の意見や奮闘などがリアルに書かれています。

では、ここからは自分が感じたこと、考えたことを本書から引用する形でまとめていきます。


・「食事」の本当の意味

被災地のプエルトリコでは、アメリカ合衆国からMREが提供されていたそうです。

MRE...Meals Ready to Eat (調理しなくてもすぐ食べられる食品の意)。高温や低温、洪水にも耐えることが出来る軍用飯。味は非常に不味いとされていて、ジョークで、「Materials Resembling Edibles」とか言われているようです。

これを長期間食べるしかない状況を考えるだけで…自分は筆舌し難いです。
一方、このMREに対して、ホセ・アンドレスさんはこう述べられていました。

MREは、あくまでも非常食だ。いっぽう地元の食材でつくる新鮮な料理は、家族や共同体と分け合いながら一緒に食べる、本当の意味での「食事」だ。私が普段から口癖のように言っているのは、温かい食事は単なる食べ物ではなく、それ以上のものだ、ということだ。温かい食事は、希望を載せた一皿だ。だがMREに、希望はほとんどない。一皿の料理をつくるときは、それを食べさせる相手について、さまざまな情報をもとに料理をする。MREは、被災地の状況など何も知らない人間が、ただごっそり送り付けるだけだ。(251ページ、4行目から9行目より引用)

私たちが普段から食べている「食事」には、おなかを満たし、栄養を蓄える以外にも、食事の時間を一緒にする共同体とのコミュニケーションや、または「食事」をつくる過程、提供する過程に、重要な気づきやひらめき、相手を理解するヒントがあるのではないかと感じました。
例えば、料理を提供する際に、単に料理された食べ物を提供するだけではいけない。受け取る側のニーズ(食べたいもの、食事をする空間、調理過程、提供過程)をくみ取って、それに沿った「食事」を提供する必要があるということではないか、と考えました。
そして、この「食事」という価値を提供する過程が、私が今後プロジェクトや学びを行う際に必要になってくることだと思います。(ちょっと無理やりすぎかも(笑))


・企業者職能・意思決定の重要性

では、こういった災害時に効力をもたらす意思決定はどうあるべきなのか。
本書のエピローグでは、医師でハーバード大学の教授でもあるアトゥール・ガワンデの、ハリケーン・カトリーナの被災地ニューオリンズでの、民間と公的機関の対応の違いの例の説明を引用しています。
ここで例として出されているのは、FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)とウォールマートです。FEMAはプエルトリコでも支援を行います(先述したMREを配給していたものFEMAです)。
アトゥール・ガワンデ氏は、FEMAが行った災害支援用のリストの内容を中央集権型の統制の原理にもとづいているとしています。その結果、彼らは失敗したとも。理由としては、ハリケーン・カトリーナの規模と複雑な状況に対応しきれなかったと説明しています。また、このようにまとめられていました。

「彼らは、いうなれば、水を運ぶ仕事は自分のリストには載っていない、と言って、何も行動しないでいるのと同じでした。(437ページ、11行目~12行目から引用)

対して、民間企業であるウォールマートの対応は、このように述べられていました。

それとは対称的に<ウォールマート>は、状況に対処するにあたって、まず各店舗のマネージャーに言いました。『この状況は、われわれが対処できる範囲を超えている。きみたちには、給料等級以上の仕事をしてもらうことになるだろう。しかし、必ず守ってもらいたいことが、いくつかある。ひとつは、何がベストか自分で判断して、住民を救うためにできることはなんでもやること。もうひとつは、毎日、自分がやっていることを逐一、われわれやセンター、司令部、従業員同士で報告することだ』。その理由は、店舗ごとに状況に対処できていたり、できなかったりしている場合、お互いに連絡を取り合って全店舗が対処できるようにするためです。そのため、彼らはこまめに連絡を取り合いました。その結果、すばらしいアイデアが、すぐに共有されました。そして、ドラッグストア三店舗が経営を再開し、地域住民が常備薬を入手できるようになりました。また、店内に救援活動に役立つ商品があれば、すぐに救援隊に提供しました。それに、FEMAより二日も早く、都市部に水を運びました。(437ページ・13行目~438ページ・7行目から引用)

企業者職能は、簡単に言えばリーダーシップのことかなあと柔らかく考えています。この企業者職能をどのように行使するかの違いで、こんなにも差が生まれるのだなと感じました。トップダウン型の、できるだけ組織を統制したいという企業者職能、姿勢はダメだというわけではなく、それは状況によるのではなかなと感じました。
また、私はこの例から「直観的、断片的な意思決定は非常にリスクを伴うものではないか?」と考えました。何かプロジェクトを行う際に、さまざまな観点から客観視し、さまざまな方面から意見やアイデアを取り入れることが大切で、それにより思いがけないアイデアやニーズを見つけることが出来るのではないかなと考えました。
ウォールマートのこの例は、企業者職能により、従業員たちに柔軟な意思決定を促した一例だと思います。

・今後必要なこと

最も印象に残ったのは、ホセ・アンドレスさんが自分の立場や環境、情報、資産や仲間などの「経営資源」を巧みに利用し、困難を乗り越えていく姿勢です。被災地についた彼は、この経営資源を最大限に活用し、「食事」を提供します。
その姿勢は今後見習うべきだと感じました。特に今後のゼミ活動においては重要になると確信しています。プロジェクト先の企業様や、プロジェクトに必要な情報、プロジェクトを行う際に必要なモノ、共にプロジェクトに励むゼミの仲間を常に意識し、プロジェクトを行おうと思います。

・まとめ

noteを書き始めて2時間、ようやくここまで来ました(笑)。
以上が、「島を救ったキッチン・シェフの災害支援日記 in ハリケーン被災地・プエルトリコ」を読み終えて感じたこと、学んだことでした。
この本、本当に内容がてんこ盛りで、全然まとめられませんでした。あーまとめるのって難しいな!
この本は、プエルトリコでの出来事や、ホセ・アンドレスさんが体験し、感じたことがアリアリと書かれているので、とても読みやすかったです!(ただ文量は結構ありました(笑))
タイピングで指が取れそうなので今回はこの辺で終わります!ありがとうございました!



[参考文献]

・「島を救ったキッチン・シェフの災害支援日記 in ハリケーン被災地・プエルトリコ」
https://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-31513-4.html?c=30598&o=&

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