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【JOMYAKU法律解説】廃棄物処理法の成り立ち

皆様お久しぶりです!越後谷と申します!
静脈産業に長年従事し、法令関連の記事制作を担当させていただきます。
今回から廃棄物処理法についてテーマごとに解説していきます。
今回のテーマは廃棄物処理法の成り立ちです。

源流は明治時代の汚物掃除法

日本で最初の廃棄物に関する法律である汚物掃除法は明治33年(1900年)に施行されました。
その内容は土地所有者が汚物を掃除し清潔を保つ義務を負うこと、市が汚物を処分する義務を負うというものでした。
市区町村の一般廃棄物の処理責任はこの頃からあったと見ることができます。

汚物とは現在でいうところの廃棄物のことで、汚物掃除法では塵芥・汚泥・汚水・し尿と定義されていました。
当時の世情は開国して以降、都市部への人口移動と貿易の拡大に伴って伝染病が流行していました。
特にコレラの相次ぐ流行により当時の人口で約3%の人命が1年間に失われたそうです。

汚物掃除法は公衆衛生を改善し伝染病の流行に対抗する目的でできました。同時期には伝染病予防法(1897年)、海港検疫法(1899年)、下水道法(1900)など伝染病対策の法律も成立しています。

公衆衛生の向上が目的の清掃法

汚物掃除法が施行されて50年以上が経過し、都市の発展、人口増加、産業の発展等により現行法では対処が不十分になりつつありました。
清掃事業の効率的な運営により公衆衛生の向上を図ること目的として清掃法が昭和29年(1954年)に制定されました。
清掃法で定義された汚物はごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿及び犬、ねこ、ねずみ等の死体とされ、汚物掃除法から変更されています。
限定的ではありますが、汚物の不法投棄を禁止する条文や汚物取扱業に市町村長の許可が必要になることなど、後の廃棄物処理法に共通するものが垣間見えます。また、面白い条文としては建物の占有者に大掃除を義務付けたものがあります。

産業廃棄物の処理についてはどうなっていたかというと、いわゆる産業廃棄物に該当する物は“特殊の汚物”とされ、“必要な処理を施し、又は衛生的な方法で当該汚物を市町村長の指定する場所に運搬し、若しくは処分すベきことを命ずることができる”という弱い表現に留まり現在のような委託基準のようなものではありませんでした。

奇しくも清掃法が成立した1954年頃から日本では高度経済成長期に入り、高度経済成長期の大量生産・大量消費社会による廃棄物に関わる諸問題に対し清掃法は限界を露呈し始めることになります。

廃棄物の諸問題や公害を含む環境問題についての法律の整備は1970年の公害国会を待つことになります。廃棄物処理法はこの公害国会において清掃法を全面改正するかたちで誕生します。

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