「呼吸器外科専門医試験 過去問 2023年度版」について

2023年11月10日に開催された,呼吸器外科専門医認定試験についての記事です。
本編はhttps://note.com/jolly_swan998/n/n22bc2fcf1b58

であり,当記事はそちらを購入するか否かの判断材料にしていただければ幸いです。

本編は以下の3項目から構成されています。

1.試験概要
2.復元問題
3.勉強法および試験対策

購入判断の参考となるよう,各項目について書き出しを含め一部分を公開します。


1.試験概要

詳細は呼吸器外科専門医合同委員会のホームページ(参考URL)をご参照ください。
※年度が更新された場合を考慮して魚拓のURLも記載しておきます。
参考URL:http://chest.umin.jp/spl/spl_test.html
魚拓URL:https://megalodon.jp/2023-1209-2201-17/chest.umin.jp/spl/spl_test.html

●日時:2023年11月10日(金)
 集合時間12:30 ,試験時間13:00~16:00(3時間)
 
●会場:ベルサール汐留 2階ホール
 
●形式:マークシート試験,問題数119問,記述問題なし
 原則として2枝選択形式(5つの選択肢から自由な組み合わせで2つを選択する)。
 例外として1枝選択形式が数問ありました。
 
●試験当日の雰囲気:
 会場に入って2階に上がると,受付に数人の女性がおり,受験票を用いた受験者照合と体調確認がなされました。会場は非常に広く(ホームページの図面によると約20×50m),前方5m程度のスペースに司会+試験官代表の教卓があり,そのスペースを除いた会場の前方2/3を占める範囲で19行×5列の長机が置かれていました(机は1人1台)。後方1/3には,先ほどの体調確認で体調不良と申告した受験生のための長机が3行×5列ありました。着席状況に鑑みると,欠席がいなければ93人が受験したものと思われます。試験官は大学病院や高名な施設の先生方が務められており,20人程度いらっしゃったのではないかと思います。なお,体調不良の際の申し出については,受験票に同封された文書で予め指導されていました。
 試験10分前には着席しているよう,受付で指示がありました。12:50,日本呼吸器外科学会理事長の吉野一郎先生より,受験生に向けて激励のお言葉がありました。
(…以下本編へ)

2.復元問題

復元問題を示します。
以下の点にご注意ください。
・全119問のうち,110問が復元されています(問題文のみ程度の再現のものを含みます)。解答選択肢は,5つすべてが復元されているものが27問,4つが21問,3つ26問,2つ21問,1つ10問,復元できなかったものが4問,その他1問(問題番号106番:穴埋め問題のため)となっています。
・復元に際し,記憶が曖昧な箇所については混乱を回避するため空白とすべきか悩みましたが,受験生が少ない試験であるという特性を考慮し,たとえ誤りを含んだ内容であっても試験の雰囲気を掴むために情報を共有することが重要であるとの判断に至りました。記載内容に関しては責任を持てないことをご理解ください。

【以下,ランダムに問題を提示します】
1.特定療養制度等,保険診療に関して正しいものはどれか。 
 a 混合診療の禁止は療養担当規則に定められている
 b 第三者加害行為は保険給付の対象外となる
 c 高度医療は選定保険で保険診療と同時請求できる
 d 個室料金は●●保険で保険診療と同時請求できる
 e DPCに手術費と麻酔代は含まれる
(テキストに記載なし)

10.呼吸生理に関して正しいものはどれか。
 a 内呼吸/外呼吸の生理に関する選択肢(詳細不明)
 b 内呼吸によってATPが産生される
 c ●●●
 d ●●●
 e ●●●

27.画像シミュレーションで正しいのはどれか。
 a CT画像を構成するデータ最小単位の正方形をvoxelと呼ぶ
 b MD-CTで列の幅が小さい方が画素が小さくなる
 c DICOMは3D-CT作成のためのソフトウェアである
 d 3D-CTに拍動による時間的要素を加えたものをダイナミックCTという
 e 3D-CTの抽出方法はvolume renderingが広く用いられている。

32.隣接臓器合併切除について正しいものはどれか。
 a 前胸部第2-5肋骨合併切除した症例に再建は不要である
 b 左房合併切除の際はクランプ逸脱に備えて支持糸をかけておく
 c ●●●
 d ●●●
 e ●●●
(p.102)

35.臨床問題。中皮腫に対する右胸膜肺全摘後。術翌日に呼吸状態の悪化を認めたが,血圧の低下はなかった。胸部X腺写真を示す。以下の選択肢で正しいものはどれか。
(X線写真は術直後と術翌日。術翌日に右肺野に縦隔陰影が拡大,p.155図2と似ているが心陰影は左肺野にも見えており,右胸腔への心臓脱を疑う画像ではなかった。右胸腔ドレーンは留置されている状態の画像であった。)
 a 心胸郭比は100%である
 b 心ヘルニアである
 c 右胸腔内の多量血腫である
 d 横隔膜ヘルニアである
 e 緊急手術の適応がある

40.術中のPaO2改善に寄与するのはどれか。
 a HPV
 b ●●●
 c ●●●
 d ●●●
 e ●●●

54.臨床,画像問題。皮膚からの排膿を主訴に病院を受診した。正しいものはどれか。
(肺のCT写真と,放線菌のような顕微鏡写真あり。)
 a 病変中心のlow attenuation areaが特徴である
 b 肺切除は不要である
 c 診断は容易ではない
 d 抗真菌薬を投与する
 e ●●●

72.術後UFTが推奨されるのはどれか。
 a 腺癌,全体径2.1cm,充実成分径1.5cm,pl(-),病理病期IA2
 b 腺癌,全体径1.8cm,充実成分径1.8cm,pl(+),病理病期IB
 c 腺癌,全体径3.5cm,充実成分径2.7cm,pl(-),病理病期IA3
 d 扁平上皮癌,全体径2.8cm,充実成分径2.8cm,pl(-),病理病期IA3
 e 扁平上皮癌,全体径4.2cm,充実成分径3.8cm,pl(-),病理病期IIA
(※ガイドライン参照。扁平上皮癌は推奨ではなく提案。)

83.右肺上葉に腫瘤あり。切除する際の術式で誤っているものはどれか。
(Vincent等で3D再構成された,気管支と腫瘍の関係を示した画像,色分けされた動静脈と腫瘍の関係を示した画像,CT水平断あり。)
 a 右肺上葉切除
 b 右スリーブ上葉切除
 c 奇静脈合併切除
 d 肺動脈形成
 e 横隔神経合併切除 

110.CYP3A4で代謝されるものはどれか。
 a モルヒネ
 b オキシコドン
 c フェンタニル
 d タペンタドール
 e ●●●

3.勉強法および試験対策

呼吸器外科専門医試験について,その出題範囲は呼吸器外科専門医合同委員会のホームページで「呼吸器外科専門医試験は主として「呼吸器外科テキスト~外科専門医・呼吸器外科専門医をめざす人のために~改訂第2版」に準拠し出題される予定です。」と明記されています。
参考URL:http://chest.umin.jp/spl/spl_test_dsc.html
魚拓URL:https://megalodon.jp/2023-1225-0044-03/chest.umin.jp/spl/spl_test_dsc.html
 皆さんお気づきのことと思いますが…(中略)…

具体的な勉強開始時期ですが,筆者はこれまでにテキストを一度も読んだことがなく,通読に非常に時間がかかることが予想されたため,2ヶ月半前から勉強を開始しました(読み始めたのが8月4週ごろでした)。1ヶ月程度で読み終える予定でしたが,生来の計画性のなさにより,1週目を読み終えたのが10月15日ごろとなりました。ただし,1週目の時点で,わからないところや曖昧なところのみを記載してあるメモ(A4×50ページ)を作成しており,2週目はメモと照らし合わせてわからないところを重点的に読んだため,1週目ほど時間かかりませんでした。ガイドラインと規約は診療時間の合間を縫って少しずつ読む形をとりました。試験前々日から試験開始直前までは,自身の作成したメモを読み込み,最終的にはメモの大部分を記憶しておりました(テキストの内容の9割以上は覚えていたと思います)。

 得点率は公表されないためあくまで推測ですが,自身の印象として,①それなりに確信をもって解答できたものが40~45問程度,②2択程度までしぼれた,つまり半分程度は正解となっているはずであるものが50~55問程度,③「なんだこれ…(中略)…

(教科書の記載についての矛盾に関して)
●横隔膜弛緩症:p125では横隔神経麻痺を含んでいるが,p473の文頭には「横隔神経麻痺が原因の横隔膜弛緩は除外される」との記載がある。
 ●中皮腫に対するP/Dの剥離層について:p112には「通常は内・外弾性層間が剥離面となる」とあるが,p408では「すべて肺実質内で剥離が行われている」と述べられている。
 ●乳糜槽:p427では第2腰椎,p468では第12胸椎レベルとなっている。
 ●肺Langerhans細胞組織球症:p298では…
(…以下本編へ)


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