先へと続く、長く暗い道。
振り向くと、さっき自分が通ってきたはずなのに記憶がない。
いま、まさにこの瞬間、生を受けたかのよう。
誰もいない、前にも後ろにも。
ただ、自分だけがその世界の空気の冷たさを感じている。背中にのしかかる確かな重みも。
私は静かにその道を歩き始めた。

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