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Day18】愛犬共生住宅時代の幕開け #11

24.犬共生マンション「 CoCo  Chez  Lien 」

ココシェリアン。 
周辺でもひときわ目立つ綺麗なマンション。

三重県は四日市にあるココシェリアンというマンションを見に行ってきました。
2020年に建ったばかりのこのマンションは、おそらく関西では唯一の大型の犬共生マンションとなります。

酒井さんと。 
すごく気さくで明るく犬への想いは人一倍。
人気トリマーさんでもある。

ペットに関わる事業者の集まりであるPBS (ペットビジネスサポート)という会で3年前に知り合った有限会社ペクロスcocoの酒井さんがオーナーで、多いときには50人以上集まるそのPBSでも、酒井さんの犬共生マンションの話はフードやトレーナー、トリマーさんなどが多い中で異彩を放っていました。

そのマンションが2020年の春にオープンするというお話でしたので、ぜひ見に行きたいと思っていましたがコロナ禍になり2年越しでようやく実物を見ることができました。

絆の家の意。
1Fの店舗。

3エリアの駐車場を擁する広い敷地に建つ7階建てのマンションで1階はcoco palfeという店舗と屋根付きの屋外ドッグラン、そして2階から7階が全24戸の賃貸住居となっています。
2階3階は大型犬と暮らせるようになっています。
犬共生マンションですのでペット可とは違い犬を飼っていない人は入居はできません。(猫はどうかと念のために訊きましたが、犬と猫両方を飼っている場合は可能ですが、猫のみは不可との事でした)

1Fのコミュニティスペース。
芝の洗浄、消臭にも工夫が。

1階の店舗には、入居者の人たちや、マンションすぐそばにあるトリミング店での人気トリマーでもある酒井さんのお客様など(もちろん一般の人も)が集まるドッグカフェスペースやドッグホテル、グッズショップ、犬の幼稚園があります。
そして店舗や幼稚園から直通のドッグトレーニングもできる2エリアに分かれたドッグランがあります。

ドッグランに使う芝や消臭のための塗布材など、酒井さんの経験からの様々な工夫がありました。

エントランス集合ポスト奥の犬用シャワースペース。
郵便屋さんはビックリかも。

その後、お部屋の中を見せて頂くためにエントランスに入りましたが、そこには犬の散歩で汚れた足を洗うシャワースペースが表からわからない場所に設置されていました。

構造スリットの例。

ペットボタン付きエレベーターで上階に上がり通路に出ましたが、RC造のマンションにある手すりの構造スリット(手すりの存在で柱が本来の長さより短い状態になる事によって地震の時にせん断破壊しやすくなるので、柱が本来の長さを維持できるよう手すりと柱の間に作る隙間のこと)から小型のワンちゃんが転落の恐れがあるという事で建設会社と話をしたと言われました。

愛犬共生住宅で施工する物件においても、やはり従来の人の安全性と快適性のみを考えて造る住宅とは、全く違う視点で考えねばならない施工というものが多く存在します。

部屋の中にも入らせて頂きましたが、愛犬共生住宅でも施している共通の工夫もあり、ボクのしっぽがフリフリし始めました(笑)

25.どの犬種をペルソナとするか

ジャパンケネルクラブ(JKC)が採用しているFCI10(10の犬のグループ)。
FCIは世界畜犬連盟の事。
世界的には7のグループ分けもある。

酒井さんとも話しましたが、犬と暮らす住宅を考えるときには色々な工夫や対策が考えられます。
ただ犬の場合は個々の性格のみならず、例えばジャパンケネルクラブ(JKC)が採用しているFCI10(10の犬のグループ分け)のようにその犬種の歴史による動作、癖、得手不得手、体型の違いがありどういう犬種をそのペルソナとして定めるか、また同じ犬種、個体でも年齢、疾病によって必要な工夫や対策が変化し、闇雲に犬を飼えるようにと色々な工夫を施したとしても大半が無駄になる事が多くなります。
犬共生だからといって最初から色々と工夫しすぎる事には善し悪しもあります。

プロダクトアウト、マーケットインという2つの開発提供における考え方がありますが、犬と暮らす住環境というのはまだまだマーケットインを出せるほどの実例は少なく、世に出ているいわゆるペットリフォームというものも、その犬本来の行動やボクがソフトと言うしつけ等との組み合わせはほとんど考えられてはいません。

ボクが子供の頃には番犬として外で飼われる事が多かった犬が今では家族として家の中で多く飼われるようになりましたが、その屋外飼いと室内飼いの割合が逆転したのは2005年頃と言われまだ20年も経っていません。
まだまだこれからの業界なのです。

犬と暮らす住環境を捉えた同じ志を持った酒井さんの豊富な経験から出るお話はほんとに興味深く面白く、4時間ほどがあっという間に過ぎました。

(もう少し踏み込んだ工夫や内容は、また追々酒井さんの承認を得て記事にできたらと思います。)

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