初めてテンガを買った

初めてテンガを買った。ドン・キホーテで買った。赤い、普通のやつ。

2023年12月。
その日は、家に誰もいなかった。夕方まで誰も帰ってこない。午後1時、私は思い立った。そうだ、オナホを買いに行こう。

近所で買うと、知人に見つかるかもしれない。5km離れたドン・キホーテまで自転車をぶっ飛ばした。

チャㇼを止めドンキに入店。例の愉快な曲。1階を探索。食品しかない。2階を探索。どうやら2階にもない。

残るは3階のみ。

肩を怒らせ、階段を上る。家電コーナーの隅に、18歳未満立ち入り禁止、ピンク色のカーテン。見つけた。

周囲、そしてカーテンの向こうに人がいないか、見回す。意を決し、突入。

意外とコーナーは小さかった。テンガシリーズの商品いくつかと、なんか女優さんが書いてある箱に入ったやつ、アニメ調のイラストが描かれた箱のやつ、棚一つ分の区画に押し込められたオナホールたち。

私は唾をのむ。どれを買おうか。

そのとき、人の足音が聞こえた。
まずい。ここにいるのを見られるわけにいかない。いや、別にみられてもいいけど、なんかやだ。怖くなった私は、勢い余って店の外へ。

仕方あるまい。戦略的撤退。

ドンキの向かいにラーメン屋がある。そういや昼ごはん食べてない。食うか。食ったらテンガ買おう。そんでもって、全速力で家に帰ろう。

ラーメン屋で何を頼んだか、どんな味だったか、もはや覚えていない。食べてる間も私のアレはずっとアレだったので。

ラーメンを食い終わり、再戦。鼻息荒く、階段を上る。

この時、私の心は決まっていた。テンガを買う。赤い、普通のやつ。

カーテンを開け、目的のブツをさらう。
脇に抱え、見られないようにしながら、階段を降り、レジへ…

レジのおばさんはなんだか怪訝な顔をしてたような気がするが、そんなことは私の前で何の意味もなさない。テンガを持って、レジの前に立った時点で、私は世界で最も強い。この瞬間ならだれでも倒せる気がした。

758円になります。袋お付けしましょうか?
あ、はいお願いします。

退店。

勝った。私の勝ちだ。

時刻は午後3時を回っていた。

日が傾き始めている。私は自転車に飛び乗った。



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