映画「サンセット大通り/ビリー・ワイルダー」レビュー ー 怪談の生まれるところと監禁される小説家ー 1話
評論家の種村季弘氏は、ビリー・ワイルダーの映画を「気分の好い、ある晴れた日に、ヨーハン・シュトラウスの音楽を聴いたり」するような贅沢な時間だと評している(「楽しき没落」)。彼の映画は「オーストリア=ハンガリー二重帝国という古いヨーロッパの文化の没落後の余韻を楽しむように作品は作られている」のだという。確かに、このビリー・ワイルダーの映画のタイトルの「サンセット大通り」は、よくある華やかな大通りの名前ではあるが、サンセットつまりは黄昏の時間を示していることにはすぐに気づく。