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情報社会とローカルと

自然とレトロと街並みと

2023年7月1日、1泊2日の1人旅が始まった。
行先は道東にある大きな町、釧路市である。

ぬさまい公園にて

なんとこの2日間、空はお天気さんさんでまさにピクニック日和。
気分が良くなった私は、電動付自転車を借り、気ままに街ブラをして1日目を終えた。
その感想として、街並みとレトロな建造物の融合、そして大自然の交わりあいが奇跡的な町だと感じた。非常に満喫できたのである。

釧路の街並み

喫茶リリーと釧路の歴史

2日目の午後、いよいよ今回の訪問の目的、お話を聞くこととなった。
今回、お話を聞く場所は私から指定させていただいた。
なぜなら、どうしてもこの重厚な雰囲気を楽しんで欲しかったからである。
(本音を言うと、私も味わいたかったからである)

レトロな雰囲気の純喫茶リリー 

創業88年になる喫茶リリーは、釧路市で1番古い喫茶店として、釧路市博物館にて創業当初の写真が展示されている。
私の祖母の妹である叔祖母が営むいわゆる純喫茶なのだ。

入るのに少し勇気がいるとよく言われる
リリーの店頭
体調と相談しながらもほぼ毎日開けている
地下1階を降りた先にお店がある

今では貴重なレトロな雰囲気を味わいに、最近ではいろいろなお客さんが見えるそう。
もし機会があれば、どうぞごゆるりと、、、
釧路市北大通の喫茶店リリー (peraichi.com)

~インタビュー開始~

さてさて、場所についてはこのぐらいにしておいて本題に参ります!
今回、お話をお聞きさせていただくお相手は、、、

釧路市在住で、ディレクターをされている須藤か志こさんです!!

本日は根ほり葉ほり、よろしくお願いしますっっ!!

釧路を好きとは言えなかったあの頃

須藤さんは生まれも育ちもここ、くしろ。
私はてっきり釧路が好きだから活動をしていると思っていた。
しかし、それとは真逆の答えが返ってきた。

釧路に向かう道中 in, 3月

須藤さん「むしろ苦手意識の方がありますね」
私「!!?
貧困問題などの地域格差が昔から今も残っている、、、
そのような背景をもとに徐々に苦手意識となったという須藤さん。

そんなじめっとした町でも、町での地域交流などをきっかけに、瞬間的ではなく何かしらの形で残り続けていく。そんな仕事がしたいと考えたという。

MOOから見た港

苦手だからときっぱりシャットダウンするなんてもったいないことなのかもしれない。納得いかない部分に対して「こうすればいいのに」と思う意欲的な部分を逃さなかったのではないだろうかと考えた。

発信をするその意義とは

一般社団法人:ドット道東」と「市民団体:クスろ
須藤さんはこの2つを通して、釧路や道東を発信し続けている。
2つとも団体としては違うものの、須藤さんの魅力を最大限に発揮させるものだと感じた。

クスろの活動では、キーホルダーを作り、クラウドファンディングによって継続的に応援してくれる仕組みをつくり、#(ハッシュタグ)を使ってSNSで拡散を募ったという。
その結果、どんどん拡散されたことから、巻き込み型の情報発信を心がけるようになったとお話された。

頂いたクスろのおふざけキーホルダー
ありがとうございます!

たしかに、友人からおススメされたものは興味を持ちやすい。
ただ、拡散希望ということは、一体全体どのようなニュアンスで拡散されるのかは分からない。
それでも、巻き込み型を押し進めるからこその達成感があるという意志をお話を聞きながら感じた。

誰でも発信できる時代~発信者としての視点

さて、私たちは日々いろいろな情報を見聞きして取捨選択をしている。
それは、映像であったり絵であったり、文字のみであったり様々である。
だがあまりにも情報量が多すぎて頭がパンクしてしまったことはないだろうか、、、
それもそのはず、現代人の1日の情報量は江戸時代の人の1年分に相当すると言われている。

頭を抱えているようなタツノオトシゴ in ぷくぷく水族館

そんなこんなで発信者としての意見をうかがったところ、
就職支援や移住支援を例にいろいろな意見をいただいた。
・自分の経験のみをつらつらというのみはかっこ悪い
・背中を押せる立場でありたい
私「なるほど、、、!」

幣舞橋付近にある出世坂

例えば、釧路市の移住情報を提供する際に、
移住の支持ではなく、アドバイス等でとどめること
なぜなら、失敗したときに相手側が何も学べないから
とお聞きした。

発信側の意見・経験は、結局N=1でしかないからこそ、背中を押してあげられる人でありたいとおっしゃっていた。

また、求人を紹介する際には、あまり幅広く拡散しすぎたくはないとおっしゃった。
その背景には、ドット道東の求人サイト道東の求人情報メディア
「#道東ではたらく」
では就職率がおおよそ100%という実績がある。

例えば、大手採用サイトなどはとにかく幅広く求人の募集を募る。
しかし、そのような媒体では小さな会社+ローカルは埋もれさせてしまうという。(大企業と比較される点、業界をひとくくりにされてしまう点など)

釧路で働きたい、この仕事に関心がある、そのような届くべき人に届けるためにはこのようなドット道東のような1本釣り形式が良いとおっしゃっていた。
イベントに足を運んだり、釧路に来てくれたりと、そこまでの熱量があって初めて釧路というフィールドでの働きを考えられるのだという。

まなぼっとロビー

インターネットで調べることから始める今日この頃、
表面的な情報ばかり鵜呑みにして、動き出そうとしない私たちがいる。
調べただけのうしろめたさがあるにもかかわらず動こうとしないのである。
その反面、自分から動いて得た情報ははるかに価値が高い。
そんな足を運んで1を知る尊さを私たちは今一度、重要視するべきなのかもしれないと、、、とお話を聞きつつ感じた。

今の若者について考える

お話を聞く中で、1つ気が付いたことがある。
私たちはなんて受動的なんだと、、、
相手側が誘ってくれた情報に対してばかりアクションしていないだろうか
大学3年生から始まったキャリアデザインプログラムでも、早めのインターンシップにとりあえず行きなさいと催促される。
大手採用サイトを駆使して何とか自分の興味の幅を広めなさいと催促される。
催促されて初めて動く気になる、、、そんな日々を送っているのかもしれない、、、今の若者は、、、、と

釧路地下歩道美術館

須藤さんのお話でも、大学等でドット道東で連携している企業さんのインターンシップを募集した際に、あまりピンときていない様子に感じたとおっしゃった。
また、ある企業さんの社長は「元気があった、大きく挨拶できる人材が欲しい」とおっしゃっていたという。

須藤さん 「今の若者にとってそれが難しいことも否定はできないように感    じるかもしれない」

私も同意見であった。

なぜ今の若者は内気に捉えられるのだろうか。
ありのままの自分をさらけ出すのが怖いのか、はたまたできないのか。
憧れのつきたい仕事を目の前に、現実主義を見過ごせなくなっている私たちにとって、主体的に動く意志を考える時間はあるのだろうか。
マルチタスクに拍車がのしかかる今、自己理解にはせる時間はあるのだろうか。

そんな堂々巡りをしつつもぼんやり大人の敷いたレールをただ眺めている。

その背景として、インターネットが良くも悪くも逃げ道となり、現実から距離を取っているのではないかと考えられた。

まなぼっと展望台

しかし、それは受け取る側も発信する側も同じ立ち位置にある。
とくに、受け取る側はそれが内容の1部であるにすぎないということを忘れてはいけない。
また、発信する側も客観的に受け取る側の視点を想像しなくてはいけない。

そういった考えをもちつつ、須藤さんは釧路を発信し続けていることがわかった。

苦手意識のある釧路と向き合い続ける力強さ
情報をつなげる際の、ミスマッチに努める客観力
ユーモアな視点として一歩離れた場所から見て表現するその力が
純粋に凄いお仕事、凄い魅力だと感じた。

私も、将来双方に目を向けつつ、自分のルーツや経験を発信してみたいと思った。

幣舞橋の銅像

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番外編:リリーのマスターの生きざまから考える

釧路で長年愛され続けている喫茶リリー
マスターは嫁ぎ先としてこの喫茶で働くことになった。
夫亡き今は、夫がこだわり抜いたこの喫茶を守り続ける毎日。

店内の様子
カウンターに常連さんが足を運ぶ

マスター 
「昔からの常連さんのたまり場をなくすわけにはいかないんだよね」
「初対面の人でも知らず知らずに、どこかで繋がっていることがよくあるの、それってすごいことよね」
釧路というローカルの背景だからこそかもしれないが、そういった場所を休まず続けられる叔祖母さんを私含め家族は尊敬している。

1つのことを継続して向き合い続ける能力は、私を含め現代の若者にとって、耳の痛い話に違いない。

頂いたチョコレートサンデーと
キャラバン珈琲

1つのことに集中しづらくなった今、ながらスマホやゲームなどで一息つくのではなく、ただぼーっと何もせずに思いをはせてみるのもいいのかもしれない。
そういった頭の疲れを癒してあげることで、自分で行動する力に再度スイッチが押されるに違いない。そう思う。

Special Thanks~

須藤か志こさん

喫茶リリーマスター











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