ペットが虹の橋に向かった

軽く調べたら、虹の橋のたもとで待っていてくれるらしい。
嬉しいけど、いらんいらん、はよ渡って苦しんだ分以上に早くたくさん幸せになっててくれ。

セキセイインコを飼っていた。
朝から大声で鳴き、目覚ましより早く起こしてきた。
骨が悪かったらしく、飛べないため、移動したいときは呼びつけてきた。
好奇心旺盛で、あちこち動き回るから、足元や机にダメなものがないか、常に気をつけなくてはいけなかった。
飽き性なのかグルメなのか、しばらくすると同じエサを食べなくなり、何度かエサの種類を変えた。
ここ数年、原因不明の吐き気に見まわれ、月一で病院に通って薬をもらっていた。
啄いてくるので、手や顔や髪に日焼け止めや保湿剤を塗るのもはばかられた。

かわいかった。
ぜんぶ、かわいかった。

大変だったし、面倒だと思ったこともあったし、でも良い飼い主とは言えなかっただろう私のところに来てくれて、一緒に居てくれた。

かわいい。かわいかった。何もかも。

虹の橋を、飛んでいけただろうか。
羽ばたかせるしかできなかった羽が、飛べるようになっているといい。
そこでお腹いっぱい食べているだろうか。
最期は吐き気で満足に食べられなかったから、たくさん食べて、満腹になって、元気なフンをしているといい。
仲間を見つけて思う存分に遊んでいるだろうか。
うちではずいぶんと寂しい思いもさせてしまっただろうから、たくさん楽しんでいるといい。
満足に眠れているだろうか。
夜に起こしてしまうこともあったから、ぐっすり眠れているといい。

たくさん飛んで、たくさん遊んで、たくさん食べて、たくさん寝ているといい。
私なんて待たずに一刻も早く幸せであってくれ。

もう肩にのぼって顔をつついたり服の間にもぐってくることはない。
よくのぼってきてくれた、左の肩が寒くて仕方がない。

死んだあとのことを願うなど、不毛だという思いはある。
なら生きている間に大切にしろよと思う。
出来もしなかった後悔をならべて、自己憐憫に浸っているのではと自虐的なことも、思う。

それでも、絶望せずに生きていくために思う。
どうか私と生きてくれた命が報われますように。
ずっと、ずっと、幸せであってくれますように。
ありがとう。私はあなたがいてくれてとても幸せだった。
ありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?