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2024221 トーキングヘッズ於名古屋センチュリーシネマ


映画観てきた。

『ストップ・メイキング・センス』

1983年。つまり今から40年前。
アメリカのとあるバンドのライブ映像を記録した映画である。

『題材にした』とか『ライブ映像をまじえて』とかではない。ガチでライブの映像のみだ。インタビューもなければアンコールも無い。
MCすらほとんど無い。

在るのは、ただただ80年代の伝説と呼ばれる圧巻のステージパフォーマンスのみだ。

でそれが2024年の今、錆びずに映画館で上映して商品になる(どころかスマッシュヒットしている)んだから。

凄い話だよねえ。

バンドの名はトーキング・ヘッズ。

ちなみにイギリスの今や大御所のバンド、レディオヘッドのバンド名はトーキング・ヘッズの曲名から来ている。



俺がトーキング・ヘッズを初めて知ったのはずいぶん大人になってからで。
2010年ぐらいだったと思う。運転中に何となくラジオを付けてたら演劇の松尾スズキがゲストで出てきた。『お、松尾スズキだ』つってボリュームを上げた。
その時、彼が最後にリクエストしたのがトーキング・ヘッズの『サイコキラー』だった。
なんだかずいぶん猟奇的で妖しい色気のある曲だなと思ったのを覚えている。確かすぐに最寄りのコンビニに車を停めてバンド名と曲名をメモした記憶がある。


あの頃は今のようにサブスクですぐにスマホに落とすなんて事は出来なかったから、そのメモを持ってツタヤに行ったのか結局忘れたのか、そこらの記憶は曖昧だ。


しかしそう考えると、今の音楽の環境は桃源郷かユートピアのように思えるよな。

なんせ洋の東西を問わず様々なアーティストの曲を瞬時に聴く事が出来る。

中学生の頃の俺に教えてやりたい。

キース・リチャーズのソロだって。
スプリングスティーンのサードだって。
ユニコーンもブームもオリジナルラブも。
聴きたい時に聴けるんだぞって。
教えてやりたい。

でも奴は言うかもな。

ブルーハーツが無いじゃないか。
マーシーのソロも無い。
BLANKEY JET CITYは?
ハウンド・ドッグ・テイラーはあるのか?
甲斐バンドのシークレット・ギグは?
中島みゆきも。

何より歌詞カードが無いじゃないか!って。


うるせえ。いいからそこの棚に置いてある聴き放題の音楽だけ聴いとけよ。写真とかは無いけど字だけなら歌詞も見れるよ!って。

言っても納得しないだろうな。ははは。




まあそんな事はどうでもいいや。




松尾スズキが教えてくれたトーキング・ヘッズ

ストップ・メイキング・センス

件のライブはロサンゼルスのパンテージシアターで行われた。
映画はリハーサルを含む計4回のライブを撮影編集して撮られているとの事だが、正直観ている側としては一夜の一回のライブにしか見えなかった。

それぐらい違和感なく繋がれていてバンドやダンサー達の各々のベストパフォーマンスを一秒もこぼさずカメラに収めている感がある。

このバンド、アートスクール出身なだけあって芸術的な感性が鋭い。
ライブを単なるロックコンサートでなく、衣装、照明、装置、演出、全て込みの舞台芸術にまで昇華させている。

冒頭、ラジカセを手に一人で現れたデヴィッドの『サイコ・キラー』からステージは始まる。

そこから二曲目、三曲目と一人ずつメンバーが増えてゆく。


登場時、神経症的な偏執狂的な一人の青年は、気が付けばライブの終盤にはもう一人ではない。

大勢の仲間達とカーニバルを繰り広げている。


その構成が見事である。


ビジュアル的な見所だとやはり。
このライヴの代名詞。ビッグスーツ。

デヴィッドが途中、お色直しして異様に大きなスーツを着て出てくるのである。
日本の能の衣装からヒントを得たとの事だ。


電気スタンドとチークダンスする箇所も退廃的で詩的で良い。

デヴィッドの歌詩は現代詩の分野でもトップレベルで。それは近年の『アメリカン・ユートピア』の大ヒットでも証明されている。


セットや楽器や機材をチェンジするために舞台上で働くスタッフは、全員黒の上下で統一されていて、日本の舞台の黒子の役回りを忠実になぞらえている。
キーボードやドラム等の楽器類のシルバーに光る部分も全て黒に塗られている。

その結果、パフォーマー達のシルエットや見せるべきセットだけ、観客が観るべきものだけが強調され大きく雑多に様々な物が存在しているステージなのに、驚くほどシンプルなイメージで観客の目に飛び込んでくる。

細部の細部に至るまで計算され尽くしているという事だ。

そして奇跡的なのは、そこまで計算していながらもステージは熱量を失っていないという点で、よく考えたらこれはもう奇跡の中の奇跡だなと思える。

監督はジョナサン・デミ。

後年『羊たちの沈黙』でアカデミー賞主要五部門とベルリン国際映画祭の銀熊賞を獲った超一流だ。

そんな彼が撮った1983年の『ストップ・メイキング・センス』の幻のオリジナルネガをA24が世界中捜索して見付け出し、4K版にレストアし、ライブの40周年に合わせて全世界での権利を取得した。

熱い話だなあと思う。





ちなみに俺が個人的に魅かれたのは、ベースのティナ。

メンバー紹介でティナの番が来た時に客席からひときわ大きく歓声が上がって、彼女がやはりこのバンドの要だなと思った。

絶世の美人とかじゃないけど、立ち居振舞いがなんかチャーミングで、しかも格好いいんだよなあ。

ソニック・ユースのキム・ゴードンとか、ティナに影響を受けたと公言するアーティストは多い。

何でこんなに引かれるんだろうと、ずぅっと謎だった。今回気付いた。


ティナは彼女に似てるんだと気付いた。

ミィは俺の理想のタイプなのだ。


ちなみにこの映画、2月の23~25日の連休中は全国的に各地の映画館でスタンディング上映もやってたみたいで。


これはこれで行きたかったなあ。
でもその場でビール飲みたくなりそうだな、。




映画館の帰り。
エレベーター前にタフ・ゴング。

おっと。次回はこれ観にこなアカンな、、。
こういう感じで数珠繋ぎでハメられてる美術館とかライブハウスとか映画館だらけやな、、。



さて。



帰りは松坂屋の九州物産展に道草。
物産展って、ついつい来てしまうよね。


宮崎の都城メンチに。

長崎のかんころもち。

熊本のうにコロッケに。

五島列島の鬼サバ寿司。

うはー。最高。
サイコキラーからのサイコー九州。

サイコ!サイコゥ!最高!

そういえばこの人もサイコキラーというかシリアルキラーというか、、。
名前が既に異常やもんなぁ、、。
じつに良いよねえ。
ミュージシャンも芸人もこのぐらい壊れた色気が無いと人の目を引く事なんか出来ませんよ。


最後なにゆえ空気階段の話になったんか。
意味わからんけど。


本日も仕合わせでした。




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