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農家さんの牧場

うちの地域にいきなり出来た魔術師?占い師?祈祷師?みたいなとこに消防団で具合が悪くなった人間が出たら行ってみるとなったそうだ。
近所のタバコ農家が腕が上がらない(四十肩)のでさっそく行ったらちょっと上がったそうだ。
それは揉んだからと休んだから(アホほど働く)ではないかと誰もが思っているが本人が喜んでいるのでソッとしているとか(笑)

うちの従業員さんが興味津々なので肩が凝ってたら連れて行ってみようと思う。

今朝は近所のお客さんから妊娠鑑定してとTELがあった。うちの地域の獣医さんは忙しくてそんなことやってられない。診断書が必要な時は獣医さんがやるが普段の鑑定なんてとてもじゃ無いがやってられないって事で開業授精師が無料で呼ばれる。ぼちぼち車代くらい貰いたいくらいやってられないんだけど農家さんの事を思うとそう簡単には放り出せない事情もある。分娩末期まで入ってるか分からないなんて不安だよね。

ボクはオレが授精して留まらないなんて事があるかってくらいで授精しているんだけど問題がある牛はたまにいる。1%くらいとんでもない問題を抱えた牛が出てくる。

今回の牛は全く卵胞が出来ないマンで当然のように周期は狂いまくるわなんか発情はおかしいわで他の授精師が10回ほど授精していた。
そしてめでたくボクの方に回って来た。

なんで出さないの(出荷しないの)?と聞いても明確な答えはない。

手を入れると経管も変形していて尿膣、おまけに気膣だ。陰部から空気を吸い込むように呼吸をしている。こういう体型のこんな牛を保留しちゃダメよと言うが安福久だからと言われた(笑)

そもそも卵胞が出来てないから付けられないよ。付けても留まらないしと言うとだって良い発情だったと言う。

この手の牛の管理方法とどうやって授精までたどり着かせるか説明してやって貰った。

これで留まらない場合は出荷しなさいよってくらいに良い感じになって授精した。

先日うちに来て寝てたら粘液が出ていた。絶対付いてないから鑑定してくれとわざわざ言いに来た。
発情は?と聞いたら何も出ないと。

今朝みたら入ってた。農家さんは喜んでいたがこの牛は早く出しなさいと言ったが産ませるそうだ。産ませてもいいけどもう付けないよと伝えた。

難しい牛は腕がなる。これは授精師冥利に尽きるんだけどそれが経営にとって良いわけではない。ここは実験牧場ではなくこの農家さんが生活する為の牧場であるという事を忘れてはいけない。生産性の悪い牛の見切りをつけさせる事の方が寧ろ大事な仕事とも言える。

どんな授精師が来ても一発で止まる管理と生産性。ボクを褒めてるようじゃダメよとうちのお客さんにはいつも言ってる。

それでもお客さんが喜ぶのはボクも嬉しいですけどね。

今日は包丁が当たったのでイサキ釣りに行って来ようと思う。イサキは骨が硬いんだけど新鮮なイサキの刺身はめちゃくちゃ美味いんだ。


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