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ググる/引く
インターネット上で検索したい言葉をググると、その言葉だけが表示されるのはなんだか物足りなくて、侘しい。
先日、母と出掛けた折、「買っちゃった」と手に抱えていたのは8センチもある分厚い、紙の辞書だった。今どき…とも思ったけれど、小説でも読むかのようにパラパラとページをめくって眺めている様子は、なんだか見ている私まで嬉しくなるようだった。
確かに 私は 今 ”その”言葉の意味を探したい。
だから、”その”言葉が見つかれば良いはず。
なのに、なんだが物足りないと感じるのは、意図せず出会ってしまう、偶然出会う言葉がインターネット上の辞書にはないから。
これが、紙の辞書だと「ま~み~む~、」みたいに50音順を唱えるようにしながら”その”言葉がいるであろう場所にひたひたと近づいていく。
その近づいていく過程で、”その”言葉の近くに整列している言葉たちにも出会うことができる。
そうなの。
道草、寄り道。
そういうものに飢えているんだな、私はきっと。
ピンポイントで、最短ルートでそこへ向かうと、その周りは見えないものだ。基本、地図が読めなくて、見知らぬ土地へ行くと決まって迷子になるのだけれど、今は迷子になるのが難しい。
それもちょっと残念な気がする。
変な話だ。
クドカンのドラマで1980年代にタイムスリップしたひとが、令和に戻ってきたとき「人の声があちこちから聞こえてて街が賑やかだった」という感想を言ってたのを思い出した。
神戸へ行ったとき、道を聞いたら人が集まってきてビビったのが懐かしい。
もう 道を聞くひとなんてほとんどいないものね。