デート?

犬のイラストを彼女は大変喜んでくれた。
そして、僕は彼女との1日数回のメールのやり取りがとても楽しみになっていた。
話の内容はまだ犬中心だけれども、どんどん彼女のことが気になってしかたがない。
ある日、仔犬を公園デビューさせたいという話しに、僕も写真や動画を撮りたいから、一緒に行きたいと言ってみたら、なんとオッケーをもらえた。
まだ携帯がスマホではなく折りたたみのガラケーで、写真の画素数が35万画素だったあのころ、僕はちょっと面白そうなガジェット好きで、サンヨーのデジタルカメラXacti (片手で操作するビデオ機能が付いたカメラ)をもっていた。
これで写真や動画を撮影して、仔犬を撮りながら彼女も撮って(ぐへへへへ)と期待を膨らましていた、しかしメールではいろいろな話ができても、会ったら何も話せ無い。
実際、ほとんど喋らず、変態カメラを振り回し、カメラ越しに仔犬がかわいいねぇと彼女をチラチラと盗撮するだけだった。
それでも公園の芝生でレジャーシートを広げて、仔犬を微笑ましく見てる姿はカップルだったと思う。
依然として、年齢や彼氏の存在はわからないままだけど、仕事モードじゃない時の彼女は優しい顔をしているし、歳上だろうということもあり、一緒にいるととても安らぐ。
その日、僕は家に帰ってすぐに、動画を編集した、可愛く走る仔犬達の映像にサザンの曲をつけて、短い動画を作った、クオリティはそれほど高くはないけど、興味があることについては仕事が早い、思いついたらすぐ行動で一晩で完成した(最近なら、勝手に携帯が1ヶ月分の写真を音楽に合わせて、自動で編集し、もっとカッコよく動画を作ってくれる機能があるけれど)彼女はそんな素人編集した動画をとても喜んでくれた、そして!彼女から次のお誘いメールがきた!
「今、姫路城で夜桜のライトアップをしています。今度、一緒に行きませんか?」と、これはデートのお誘いですよね?
これは犬が関係ない明らかなデートですよ。やったぁ。

つづく

そして…
僕の携帯には無事、動画の端に写り込んだ彼女の写真の切り抜きが保存されました。

次回、トータルおいくら?値札の無い老舗おでん屋