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初めて推し棋士の指導対局を受けたことを友人に報告したら

ウキウキ、ソワソワ。
これは初めて推しの指導対局を受ける直前の気持ち。
失神しませんように。呼吸するのを忘れませんように。鼻血など吹かず、絶対オナラもしませんように。駒の動きを間違えませんように。など「いい大人がそんなことを本当に真剣に思ってたの?」ということを、本当に真剣に神さまに祈っていた。

その後、この神体験を将棋に興味のない友人達に報告した。まずはA。
私「推しが目の前に座ったんだよ!」
A「そうなんだ。ニコッと笑顔で「大ファンです」って伝えた?」
私「...伝えてない」
A「どうして?」
私「どうしてって...緊張で顔がひきつった」
A「相変わらず可愛げないね」
私「え? 『不器用で可愛いね』じゃなくて、『可愛げないね』なの?」

次にB。
私「推しが目の前に座ったんだよ!」
B「へー。じゃあ事前に美容頑張った?」
私「指導対局だから。美容より定跡必死に覚えた」
B「何で? 素人だから将棋下手でも何の問題もないでしょ?」
私「それでも、勉強していかないと恥ずかしいから」
B「プライド高いね」
私「え? 『真面目で健気だね』じゃなくて『プライド高いね』なの?」

ラスボス実母。
私「Aがこんなこと言った」
母「あらまぁ。あなたも私も可愛げなんてあるわけないじゃない」
私「今回は初めてだったから。もし次回あれば、その時は『大ファンです、応援してます』って言うよ」
母「次回あっても無理。10年後でも無理。賭けてもいいわよw」

ことごとく腑に落ちない反応が返ってきた。

めげずにこの1年半後に2度目の指導対局を受けたけれど、ニコッと笑顔で「大ファンです」とは、やはり言えなかった。

賭けなくてよかった。

いざ指導対局が始まれば盤面に集中し、直前までのヘンテコな思いは吹き飛ぶし、なんなら推しの存在さえ気にする余裕がないほど必死になる。初心者なので優しい推しは勝たせようとしてくださるのだけれど、こちらの棋力がないので詰ます順が分からなくて、ひたすら焦る。大人になってこんなに必死に脳みそをフル回転させたことがあっただろうか? いや、ない。

そんな指導対局でしか味わえないシャレにならない程の緊張感は唯一無二で、将棋イベントとは違う良さがあり、思い出す度に勇気を出して申し込んでよかったと思っている。

全くの初心者でも8枚落ちならなんとかなるので、もし迷ってる人がいるならば気力体力があるうちに指導対局を受けることをオススメしたい。

駒の進む位置を間違えて推しに指摘される永遠の7枚落ちの私が言うのだから、大丈夫!

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