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「棋士と楽しむ高槻スイーツイベント」レポート

 9月末に旧Twitterを眺めていたら「高槻スイーツイベント」の告知が流れてきました。出演者の画像と名前を見て「えっ」と声が出ました。

 「激レアでは?」と動作と思考が停止するも、頭の奥で開催場所や日時や価格などが揺らめいています。でももう予定入っているし。旧Twitterに「もっと早く告知してほしかった」と未練たらしく書き込み、諦めつつ、でも横目で気にしながら1週間ほど過ごしました。

 気がついたら、本来早朝から旅行のところを夕方途中合流になんとか変更し、高槻スイーツイベントに申し込んでいました。

 あっという間に当日の朝に。目的地は高槻駅直結の阪急スクエア最上階の多目的ホール。レストラン街をキョロキョロしながら歩いていたら、途中で現地職員さんにお会いし「イベント参加の方ですか? こちらです」と案内していただきました。手厚くないですか?

 部屋の入り口で受付をし、小さなプラスチックを選びました。裏に数字が書いてあってこれが席番号になるとのことで「へぇ、公平だな」と思いました。小さく息を吸って、奥へと進むと他の参加者の方もいらしてました。

 この辺りはあまり記憶がなく、断片的に思い出すことを書くと、右側に「ロ」の字に机が配置されていて、先生方三名はその向こうにかたまっていました。まだ若く、盤が近くにないので棋士っぽくなく、わちゃわちゃした感じを受けたのですが、よく考えたら全員高校生デビューの天才軍団。わーお。ホワイトボードに手書きで「棋士と楽しむ高槻スイーツイベント」と書かれていたのも手作りイベント感があって、テンション上がりました。

 窓際の一辺に糸谷先生、澤田先生、高田先生が並び、後の三辺に参加者が番号順に着席。事前に選んでおいたスイーツと飲み物を職員さんが運んでくださったのですが、選択したものは皆バラバラなはず(2店4種類から2種類のスイーツを、飲み物は3種類から選ぶ)なのに、確認することもぎこちないこともなく、すっと目の前に差し出された手つきは洗練されていて、普通にカフェに来たみたいでした。

 参加者が事前に伝えておいた「質問事項」を拾って回答する形でトークショーがスタート。糸谷先生が司会進行をされ、澤田高田両先生が答える感じに。和菓子洋菓子何が好き? 同世代の棋士は? などなど。

 覚えている単語は澤田先生が「赤福。ここ数年食べてないけど」「リクローおじさんのチーズケーキ買ったことあります」高田先生「こんな体格ですけど、普段はスイーツ食べません」しぼり出すように「どら焼き」「カヌレ」。スイーツイベントにとても向いていなさそうなお二人。

 同年代の棋士は澤田先生は西田先生のお名前を。そして澤田先生は前泊されたとのことで、石川先生を電話で「食事するぞ」と呼び出したそうですが、その再現の様子が、澤田先生が先輩ぶりを発揮していて面白かった(実際にはこんな偉そうな言い方は絶対していないでしょうが)。石川先生は澤田先生より食べるの遅い、すき家大好き、野菜ちゃんと食べる、など石川先生情報が聞けました。

 「棋士になってよかったこと」に澤田先生が「ストレスがないこと」と。「負けた時は?」に「負けるのは自己責任。ストレスではない。上司部下みたいな関係性もないし」と発言して高田先生も同調。糸谷先生がそれはそれは驚いていました。「澤田君(棋士は)天職だね」2回言われたと思います。

 竜王のタイトルをとられた程の糸谷先生は、棋士は天職ではないのかな? とチラッと思ってしまいました。多才な方なので、将来的には連盟幹部だけでなく、糸谷先生しか出来ないことで二刀流もありで、いつかご本人の口から「天職でした」との発言が聞けたら嬉しいなと思いました。

 糸谷先生は常に全方位に気を配られてトークも止まることなく、弟弟子の発言を引き出して(高田先生の発言を心配そうに見守っていた?)まさにザ、お兄ちゃん、でした。このイベントの雰囲気は糸谷先生に寄るところが大きかったのではないでしょうか。常に身体のどこかが動いている印象があったので、感覚をフル回転させ、プレッシャーもあったかもしれません。

 澤田先生は安定してクスッと笑いをとるし、高田先生の遅刻ネタもきちんと擦り、なんでもそつなくこなす感じ。ケーキを一口食べる瞬間を目撃したのですが、なんというか、とても無機質。対照的に「棋士は曜日を実感しにくい」の話題の時に「ゴミ出しの日(で曜日認識しない?)」発言で、あ、人間っぽいと。

 森一門は二派に分かれる(この一文を聞いた時はドキッとしました)。1つは糸谷、大石など「失言しない派」で、もう1つは澤田、高田の「失言する派」。山﨑先生は意外にも中間か、あるいは糸谷派、との澤田先生談でした。(ここで終われば美談? ですが、糸谷先生は山﨑先生を当然失言派入りだと思っていたようで、え? 押し付け合い? とツッコミを入れたのは内緒です)

 高田先生はイメージより口数も少なくて、緊張したような初々しい張り付いた笑顔と、遅刻ネタを名刺代わりにできるあっけらかんさを持ち合わせていました。スイーツ食べない、失言派、負けはストレスではないなど、澤田先生と共通点があるのを発見。逸材ですよね。今後、のびのび発言するようになった時に兄弟子をどう表現してくれるのか楽しみです。

 あっという間に時間が経ち、記念撮影タイムに。各先生とのツーショットと先生方と自分との集合ショットの計4種類をそれぞれ3枚ずつくらい撮ってもらえている様子。自分のスマホを渡して撮ってもらうのですが、なんと! 角度を上から、並行、下からと微妙に変えてくださいましたよね? こんなこと出来る男性がどれだけいるでしょうか? それとも、最近の記念撮影マニュアルにはこうしろと書いてあるのでしょうか。もしアドバイス無しなら、写真係の職員さん絶対仕事出来るマンあるいはモテるマン確定。

 すごくないですか?(言ってみたかった)

 棋士の先生方も毎回毎回その度に静々と移動。糸谷先生はそっと寄り添うような感じだったり、ガッツポーズしてくださったり。高田先生は大きな体格を手も足も笑顔もキュっとする感じ。そして

「澤田先生、笑ってください」
「笑ってます」

 このやりとり、5回は聞きました。

 確かにご本人比で笑顔でした。

 人の心配をしてる場合ではなかったと気づいたのは、自分の撮影の時。緊張して顔も身体もひきつってしまいました。『棋士と楽しむ高槻スイーツイベント』と印刷された五角形のかわいいボードを持っての撮影だったのですが、指もガチガチにかたまってしまいました。

 トーク中や他の方の撮影待ちの時に手持ち無沙汰になったらどうしようと焦ったのですが、パンダさんのケーキと目が合いながらどこから食べたらいいのかなと考えたり、参加者の紙皿はピンクで棋士の先生は青緑だなとか、沢山撮ってくださるのにストレージ大丈夫だっけと慌てて確認したり、手持ち無沙汰になる暇がなかったです。

 トークショーの時はそこそこ距離があり、撮影時は横並びだったので、棋士の先生を間近で拝見できたのは、帰りでした。まずは男性職員3人?(連盟職員? 高槻現地職員?)にありがとうございましたと会釈、そして受付をしたところに先生方が並ばれていて、目を合わせてくださいました。

 糸谷先生、スター棋士で『本物だー』
 澤田先生『1人だけ違う材質で出来てますか?』
 高田先生『笑顔が爽やか』

 でした。感謝の気持ちいっぱいで退室。糸谷先生から手渡していただいた高槻市からのパンフレット類も「なんだこれは」だったのが、中を見たら将棋駒のクリアファイルやかわいいはにたんのメモ帳などが入っていて嬉しかったです。

 小さなイベントだったからこそ出来たことも沢山あるのでしょうが、この内容でこのクオリティでこの金額。とても満足でした。また開催してもらえるのなら、また行きたいと思えました。
 帰りに参加した方と少しお話したら「先生方はノーギャラに近いのでは? お忙しいのに普及を頑張りすぎて体調が心配」と。

 そうなのですね。思ってもみませんでした。「緊張で粗相をしないように、とにかく迷惑かけないように、無事に終わりますように」とだけ思っていた自分とは次元が違いすぎて、ただただ驚きました。

 そして、その方は最後に
「また他のイベントでお会いした時はよろしくお願いします」と言われました。

 将棋ファンかっこいい。こうなりたいと思いました。

 帰りの電車が遅延して、予約した新幹線に乗れなかった時は涙目で高田先生を思い出し、記念撮影の画像をいそいそと確認したら、上からの角度は頭がデカく見え、下からは下膨れに見え、自分のスタイルの悪さが写真係さんの労力を無駄にしてしまったと申し訳ない気持ちになりました。

 でも、1枚ありました。澤田先生の柔らかい笑顔(多分)。

 途中参加の旅行に無事合流した途端に爆睡しました。ホッとしたと同時に思ったことは「高槻スイーツイベント本当に楽しかった」です。

 イベント参加後の感想を書く用紙とか無かったですし、企画してくださった方に、あるいは「高槻スイーツってどうだったんだろ?」と気になってる方がもしいたら、届けばいいなと思いました。

 スマホ音痴の為にこんなに遅くなってしまいましたが、ありがとうございました。

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